来栖貴志君は嫌われ者です

　来栖貴志はコミュ症でボッチでありながら、貧乏人の高校生。極力、人と関わりたくないと思っているが、妹を高校に入れる為、割のいいバイトを探していた。

　そんな来栖の携帯に、一通のメールが届く。

【バイト急簿！】というタイトルに続く本文は、

　明るくて、優しくて、コミュニケーション能力があり、友達が多い人はお断りします。
根暗で、捻くれていて、コミュ症でボッチな人。人に恨まれようが、なんとも思わず、淡々と依頼を遂行してくれる腐った人を求めています。

　バイトの内容は面接時に説明致します。

　入会金は十万円。依頼は遂行事にお支払い致します。バイトは歩合制です。依頼を遂行出来れば、依頼達成ごとに高額報酬をお約束致しますが、遂行出来なければ０円です。

　特別な能力は求めておりません。人に嫌われ、恨まれることを苦とせず、依頼を遂行出来る方であれば、誰にでも出来る仕事だと思ってください。

　という内容のものだった。

　来栖はバイトの面接を受ける為、指定された場所に行くと、そこにはクラスメイトの八重桜琴音の姿があった。

　八重桜は、同じクラスメイトの小日向みかんが、クラスメイトの女子に、金魚の世話を押し付けられる為、小日向が金魚の世話をしなくて済むようにして欲しい。後、世話を押し付けた女子達に、これほどにない屈辱を与えて欲しい。そしたら、十万円の報酬にプラス、３万円加えると約束される。

　その後、来栖は自分の独特のやり方で、その依頼を達成。報酬を手にする。

　その後も八重桜からは、依頼が舞い込んでくる。来栖は面倒臭いと思いながらも、妹の為、嫌われ役を演じながら、仕事をこなしていく。

　ただその横では、嫌われ役を演じている来栖を面白くないと思う小日向の姿があった。

　コミュ症でボッチの来栖が、最初は金の為に動いていたが、いろんな人達と出会い、関係を持つことで、来栖の視点、行動は少しずつ変わっていくのであった。

　※【2019年4月完結作品】
　※【第27回電撃小説大賞】三次選考通過作品をWeb用に改稿した小説です。