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カタコト転校生がうざすぎるのでどうにかして欲しい。  作者: チーズは苦手です
第一章 人生は思ったより甘くない
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5.協力関係

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

 


 話が急展開すぎて頭が追いついていかないが、確実に俺の平穏は崩れ去ったということだけは理解することができた。


「私ね、家柄を理由にしてくる人は大嫌いなの」


「――まってくれ、それとさっきの話は関係がないだろう? あれはただの君の願望じゃないか」


「そうよ? 凄くムカついたから貴方のお願いは聞いてあげないことにしたの」


「横暴な話だ、腹が立ったから何でもしていいなんて理由にはならないだろ」


「人の気分を悪くさせておいてよくそんな生意気なこと言えるわね」


 説得を試みるが彼女の怒りが収まる気配はない。

 起こり得るなかで最悪の結果になってしまったので、どうにかして打開できないか模索する。


「さっきの発言に関しては本当にすまなかった。

 できる限りのお詫びをするから許してくれないか?」


「謝って済むと思ってるの?」


「……思ってないから何かしらでお詫びをするよ」


「じゃあ協力しなさい」


 ……この転校生、話が通じない。

 その後も同じような問答の繰り返しがしばらく続いたが話は一向に進まない、この無駄なやり取りのせいで授業も欠席が確定した。

 ここまで頑固だと流石に呆れてくる、段々と面倒くさくなり不本意だがこちらが折れることにした。


「……はぁ。わかったよ」


「最初からそう言いなさいよ」


 イラッとしたが反応はせずに問いかける。


「とはいえ協力とはいっても俺にできることは少ないぞ、具体的には何をしたらいいんだ」


「大したことはしなくて大丈夫、どのみち今の貴方じゃできないだろうし」


「今まで通りでいいってことか?」


「残念ながら不正解ね。

 これからはどこに居ても私が話しかけたら必ず応えるようにしなさい」


「なんだそれ、君はそれでいいのか?

 持て囃されたいんだろ?」


 もし、教室で俺に話しかけたら評価がマイナスされることくらい解りきっている。

 あえて逆のことをするメリットがあるのだろうか。


「そうね、じゃあ陰気くさくて誰にでも無愛想な人が私だけに心を開いていたら貴方はどう思う?」


「……そういうことか」


 彼女の言いようは酷いものだが、要約するとマイナスにマイナスをかければプラスになるみたいなものだろう。

 現状に合わせて言えば、俺というマイナス要素に彼女にとってのマイナス行為をぶつける、そうすれば犠牲を顧みずに誰にもできないことを成し遂げたというプラス要素が生まれて結果的にクラスでの評価は上がるということか。


「期間は?

いつまで続ければいいんだ?」


「私がいいと言うまでよ、やっぱり辞めたは許さないから」


「……肝に銘じておくよ」


 途中で有耶無耶にしてフェードアウトしようと考えていたが先手を打たれてしまう、途中離脱は許されないみたいだ。


「あと名前は下の名前で呼び合うこと」


「下の名前って、そこまでする必要あるのか?」


「文句はおありでしょうか?」


「――ございません」


「よろしい」


 まさか天真爛漫で穏やかそうな転校生が俺の高校生活を脅かす存在になりうるなど予測できるはずもない。

 おそらく、しばらくの間は目の前にいる強引なお嬢様に振り回されることになるだろう。


「よろしくね? 恭矢?」


「よろしく、えーっと……」


「可憐よ」


「よろしく…………可憐」



 まるで台風のように突然現れて平穏な日々を掻き回していく転校生、果たしてこのイレギュラーがこれからどのような影響を与えていくのだろうか。


 ――――募る不安とともに何故だか心の奥底に広がる靄が微かに揺れ動いた様な気がした。




もし気に入っていただけたのなら、評価をよろしくお願い致します。

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