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カタコト転校生がうざすぎるのでどうにかして欲しい。  作者: チーズは苦手です
第一章 人生は思ったより甘くない
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1.嵐の前の静けさ

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

 


 登校後予鈴がなるまでの十数分、普段ならほとんどの人がこれから退屈な授業が始まるのを気怠そうに待っているのだが、今日はざわざわと騒がしい。


「大河、今度来る転校生の話は聞いているかい?」


「ああ! 転校生すげぇ美人らしいぜ!

 かぁ〜可愛い彼女欲し〜」


「噂でだけどあたしも聞いたよ。ハーフの子とかって」


 クラスの上位カースト達の話し声が耳に入る。

 興味がないので聞きたくもないのだが、クラスの中心で声量を抑えずに喋っているため、耳を傾けずとも聞こえてしまう。


 話しているのは上位カーストの内3人。

 髪はショートで1年にしてサッカー部のレギュラーとなった爽やかイケメン山本ヤマモト 聡太ソウタ

 ウェーブがかかった金髪が特徴的で姉御肌な高橋タカハシ 咲紀サキ

 背丈が大きく筋肉質でバスケ部に所属している大木オオキ 大河タイガ


 騒がしさの原因として思い浮かぶのは、高校生活2年目の始業式で自分達のクラスである2年C組に転校生がくると伝えられたことだ。


 俺の通っている高校は1学年につきAからDまでの4つの組に分かれている規模的に県内でもそこそこ大きい学校で、転校生が来ることはそこまで珍しくもない。


「…………よりによって俺のいるクラスに来るとは、俺の運は最悪だな」


「心の声漏れてますよー」


 そんな思いに耽ていると、いつの間にか目の前に来ていた女子生徒がじーっとこちらを見つめながら話しかけてきた。

 普段人と喋らないせいか考え事をすると独り言が出てしまうときがある。


 気を抜いて隙を見せてしまったことを少し後悔しつつ、何も無かったことにするため顔を机に伏せた。


「無視ですかー?

 幼馴染が心配してるんですよー?」


 そう、本人も言っているがこいつは俺にとって幼馴染という関係にあたる飯田イイダ 綾美アヤミだ。

 髪はショートボブ、くりっとした目が特徴的で結構人気があるらしく、俺とは大違いでカースト上位のメンバーに入っている。


 中学生の頃までは家が近かったのでよく買い物や遊び出かけたりもしたが、俺が家を出て一人暮らしを始めてからはたまに会話する程度になった。


「寝たいから喋りかけないでくれ」


「はいはい、わかりました」


 一瞬寂しそうな表情を見せて自分の席へ戻っていく、この学校で俺の過去を知っているのは綾美だけだ。

 ある出来事があってから、俺は中学の知り合いと被らないように家から少し離れた高校を選んだ。


 まさか誰とも被る筈はないと思い込んでいただけに、綾美と志望校が同じことを知ったときは幼馴染の縁に少し恐怖を感じてしまった。


「……はぁ」


 目立たず静かに学校生活を過ごしたい俺にとって、先程のような綾美の行動は迷惑でしかない、我ながら優しさのかけらもない受け答えで自分の性格が腐っていることを再認識するが、現状を維持する上でそれは仕方のないことだ。




キーンコーンカーンコーン――。

予鈴が鳴り、HRホームルームが始まる。


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