悪役令嬢と海の国3
「おい!お前誰だ?ここはミラ嬢の席だぞ」
顔を真っ赤にして声を荒らげたのは軽薄男ローランドだった。ラメールさんに今にも掴みかかろうとしている。だがラメールさんはそれを軽くあしらい、にこりと笑んだ。
「初めまして、ボクはラメール。海の国から来た留学生だよ」
「はあ?留学生?席なら他のところに座れよ。ここはミラ嬢の席だ」
ローランドがミラさんの名前を出してラメールさんを威嚇している。彼が隣国の王子だとは思ってもいないのだろう。知らぬが仏だ。
「んー?ミラちゃんはいないよ?」
「ちゃん呼び?!じゃなくて。いないって、どういうことだよ」
飄々としたラメールさんに苛つくようにローランドが噛みついた。そこへ血相を変えイリスさんが割り込む。
「ローランド君、落ち着いて。ラメールさんは隣国からの客人だよ」
「知ったことかよ。それより俺のミラ嬢をどこにやった?」
俺の?誰の?頭の中にハテナが浮かんだところでロザリーさんまで身を乗り出す。
「ちょっとミラちゃんが聞いたら気絶しそうな妄言はやめてくれないかな」
「なんだと!」
「こらこら、君たち喧嘩はいけないよー」
「おまえのせいだろ!」
わー、収拾がつかない。そう思った時授業開始の鐘が鳴った。ナイスタイミング!教師が入ってくるや生徒達を見て慌てたように声をかけた。
「君たち、何をしてますか。席につきなさい」
その声に皆が静まり返る。そしてぞろぞろ席に戻っていった。もちろん私もだ。お馴染みの教室の一番後ろ廊下側を陣取った。しかしローランドだけはまだ立ったままだ。
「でも!先生、こいつがミラ嬢の席に」
「ローランド君、その言葉遣いは正しいものですか?ミラ嬢についてはこれから説明します。席に戻りなさい」
そう窘められローランドは舌打ちして席にどかりと腰を下ろした。態度悪っ。
「ラメール君、大変失礼しました。我が国の未熟さに呆れたことでしょう」
「いえいえ。元気があるのはいいことですよ」
ペコペコする教師に対しラメールさんは気にする風でもなく返す。




