悪役令嬢と海の国2
あれ?なんかみんなシーンとしてる?
クラスメイト達が戸惑うよう様子でこちらをチラチラ見てくる。そしてラメールさんのにこやかな表情が消え、
「君、あの醜悪な魔物を食べるの?」
不気味な物を見るような顔でそう言われた。
え?タコとかイカだよ?あれ?みんな食べないの?こっそり様子を窺うが食べるなんて信じられないみたいな雰囲気である。こ、これは誤魔化さないと。
「海の生き物だから焼いたり炙ったら美味しいのではないかと……いえ気のせいですわ」
「お姉様ったらまた冗談ばかり言って。ラメール様失礼しました。姉の戯言をお許しください」
いつの間にかやって来たルーナがラメールさんと私の前に立ってそう言った。
「なーんだ、おちゃめな冗談か。まさか本当に魔物食べちゃうのかと思ったよ」
再び元のニコニコキラキラ笑顔に戻ったラメールさんがルーナに返す。でもちらり冷たい眼差しで私見てきたよ。やはり攻略対象者、用心しなければ。
ラメールさんはルーナに改めて挨拶をしている。するとアレス様もやって来てルーナのことを紹介し始めた。
「ねえねえリュシアさん。海の生物は食べちゃダメなの?」
隣りにいたフィーリアさんに服の端をちょいちょいと引かれ小声で尋ねられる。いやでも魚は食べるだろうしそんなことはないはずだ。
「これだから物知らずは困るわね」
後ろから割り込んで来たのはマルグリットさんだった。
「海の生物でも特に闇を吐き出しし存在は体内に闇の力を宿すのよ」
「闇を吐くんですか?」
フィーリアさんが目を丸くしている。でもそれってイカ墨とかだよね?美味しいやつ……。
「大体あんなおぞましい生物を食べようなんて貴族の令嬢が思うわけないでしょう?」
そう言うとマルグリットさんは馬鹿にするような顔でこちらを見る。ぐぬぬ、いつかタコ焼きの美味しさをわからせてやるっ。今は無理そうだけど。そんな事を話しているうちにクラスメイトがまたラメールさんに質問を始めた。
「海の他に珍しい生き物はいないの?例えば空とか」
「空、空といえばやっぱり」
プテラノドン?!恐竜とかいないのかな。
「龍だね」
龍!!!それって……。
「もしかして七つの球を集めて会いに行ったら……」
「喰われるよ?」
「え?」
「問答無用で喰われるよ。まあ彼らからしたら人間は食べ応えがなさそうだけどね」
「お姉様、また変なことばかり言ってラメールさんに迷惑をかけたらダメよ」
ルーナに強めに怒られてしまった。
「それにしてもリュシア嬢は面白いね。龍に会って何をするつもりなの?」
顔はにこやかなのに目が全く笑っていないラメールさんは口の端をにやりと釣り上げた。これはやばい。
「いえ、私の兄がそちらに留学して、それで私も行ってみたいなと思っていて」
「お姉様?!」
「ふーん、でも残念。今年の枠は……」
ラメールさんが言葉を続けようとしたその時。
作者はたこ焼きもいか焼きも大好きです。




