第二の奇跡2
いつまでもやってこない衝撃。痛みを感じることなく天国へ行けたのかと少女はおそるおそる目を開いた。
薄目を開けば暖かな光が自分を包んでいることに気がついた。まるで柔らかい日だまりの中にいるようだ。ポカポカして温かい。なんだか懐かしい感覚がする。そういえば昔迷子になった時、こんな優しい光が帰り道を教えてくれたな、と少女は思い出した。
何かが浮いているな、と辺りを見回せばふわりふわりと色とりどりの切り花が浮いている。
きれいだな、と思った反面、やはり自分は死んでしまったようだと少女は思う。
そして視線を上に向けた。
浮いている。
馬が、浮いている。
正確には馬車が浮いていた。
目を丸くした少女は思う、馬って飛べるっけ?、と。
混乱した頭でそんなことを考えると馬車がふわりふわりと浮きながらもゆっくりと下へ降りてきた。
ようやく少女はここが天国ではなく、先程の道であることに気がついた。やがて喧騒が耳に届き、その中に聞き覚えのある声が混じっていることに気がついた。
「フィーリア!!!」
「おねえちゃーん!!!」
駆け寄った兄弟は顔をくしゃくしゃにして少女に抱きついた。
「二人共無事だった?」
その問いに二人は呆れたような表情を見せる。
「それは僕らのセリフだよ」
馬車は先程浮いていたのが嘘だったかのように道に停まっている。平謝りの御者のおじさんが抱えきれないほどの花束を少女に渡した。心なしか馬も申し訳なさそうな表情をしているように見える。
花の甘い匂いを吸い込み微笑んだ少女は再び祭りを堪能しようと兄弟と共に広場へ向けて歩き始めた。
そんな三人に二人の少年が近づいてきた。




