祭りの日2
串に刺さった肉をそのまま豪快にかじりながら歩く少年二人。街いっぱいに広がるのは芳しい香りだ。
この祭りの間、街の人々は自宅に、店先に、とにかくどこにでも花を飾るのだ。
街の広場には花売りの屋台がやってくる。色とりどりに咲き乱れた花を人々は買い求め飾るのだ。
運ぶ途中で茎が折れたものは子どもたちへのお零れだ。自分用の飾りにしてもいいし、髪飾りとして売り、ちょっとしたこづかい稼ぎをし、祭りの出店を楽しむのだ。
子どもたちがきゃっきゃとはしゃぎながら花冠をつけてはしゃいでいる。
「のどかだな」
「本当にそうですね」
広場では手を取り踊る人、歌う人、皆祭りを楽しんでいた。
まだ彼らが生まれる前、闇の存在がこの国に現れた。
人々は闇の力の影響か、互いに疑い合い、欺き合い、憎み合い、歌うことも踊ることも忘れていた。
幸いにも先代の聖女の力を宿す存在のおかげで闇の力は消えた。しかし一度傷つけ合った人々の心はなかなか元には戻らなかった。
長い長い時間をかけてようやく彼らは歌い、踊れるようになったのだ。
この平和を守ることが王族の勤めの一つである、ということは両親、すなわち国王、王妃から常に言い聞かされていることの一つだ。
平和なのはよいことだ、とアレスは思う。
「いつかルーナを連れて来たいなあ」
思わず口から零れ出た思い。そうはいっても未来の王妃であり、貴族の娘である。それは叶わぬ望みであると彼もわかっていた。




