047: 門を叩く者たち(裏話)
この話は『物語の設定』を語る話です。
長いですが、勇者世界が滅びている理由を書いております。
――これは、ひとつの世界が崩壊する真実。その全てである。
勇者と魔王がいる世界。
本人たちですら、失敗を認識できていない世界崩壊の真実を語る。
ここまで、不思議に感じなかっただろうか。
ひとえに『世界が終わる』なんて、簡単に発生する事態ではない。
例えば、『惑星が消える』くらいの『人類が住めなくなる』『生物が存在できなくなる』程度の問題であれば、特別な力がなくても地球でだって起こりうる。
核兵器、生物兵器、民族間の絶滅戦争、大気の組成を狂わせて人類を死滅させる、方法はたくさんある。
――では、何が起きたのか?
勇者たちの世界は、人間が認識できる速度で『無』が生まれた。
不思議なことに、形あるものの半分が『無くなった』のに、まだ『在る』部分は何事もなく存在を続けるという状態。
全てが飲み込まれれば『昨日まで在ったものが、無かったものとなる』という現象であり、物理法則を超えた異常事態が発生した。
最初はゆっくり、目に見えないほどの速度、今では人間が走るくらいの速度で、崩壊が始まった世界。
地面も、空間も、接続が失われ続ける『無』の拡張。
何もないのに、まだ在る地点は形を維持している、歪な世界。
誰もが望んでいなかった終焉の始まり。
彼らの世界は、それまで『魔力』に満ちており、常に『魔力』によって維持される世界であった。
物理法則も、魔法的な法則も、全ては『魔力』を基準にされていた。
それが『とある理由』で魔力が枯渇した結果、魔力の『真空状態』と呼べる状態となり、崩壊を開始した。
――それだけ聞くと、自然現象に思えるだろう。
真の原因は、勇者たちの世界でひとりの天才が生み出した『技術』が発端で起きた。
ひとりの魔導士が『聖剣量産計画』という研究を開始したことがきっかけであった。
その後、数十年という短期間で、世界の特定の座標でのみ魔力の極端な現象が観測された。
聖剣、魔剣とは何か。起源は、神々が願った聖なる祈り。
人類や魔族が『安寧の地を見つけ、移り住める力』をと、空間の壁を超える力を彼らに与えた。
人々にとって『兵器』の側面を持ったソレは、一対の性質を備えた『聖剣』『魔剣』と呼ばれた。
勇者は聖剣を持ち、魔王が魔剣を手に入れた。
それは数千年を遡るが、宇宙規模で言えば些細な揺らぎで済む……はずだった。
だが――それは入口に過ぎなかった。
『聖剣』と『魔剣』は、確かに神が託した奇跡の産物。
その強大すぎる力に、人々は所有権を争ったが、欲しい者が多いからと次々に複製を生み出していった。
その時だろう。
世界の法則は、静かに確実に、綻びを始めてしまった。
聖剣を複製したのは、魔導技術の極致にいた一人の研究者。
彼は神の力を模倣し、奇跡を再現しようとした。
結果として成功した。
しかし、それは『地獄の入口』だった。
聖剣と魔剣に必要な材料は、別次元とを隔てっる壁の一部であり、魔力を生み出すのに必要な『世界の存在核』とも呼べる特殊な材料だった。
人間も魔族も。
同じ場所の壁を削り、削って、削って、また削った。
それが目に見える悪影響を及ぼすまでに、時間はかからなかった。
人類の欲望が、世界を滅ぼすきっかけを作った。
複製された聖剣と魔剣には、それぞれ異なる個性的な能力が宿った。
中には異なる世界の座標情報を読み取り、並行世界にある「人類の存在する座標」を見つるものもあった。
異世界転移の技術は、その副産物だった。
“異世界転移”とは、異なる世界同士の繋がりを作るということ。
そこに必要なのは、異なる世界同士の“重ね合わせ”。
そして、研究の結果に生まれたもの。
本来閉じていたはずの世界同士が接続されたことで、ひとつの世界に、無数の法則と魔力が流入した。
それ自体は、存在核を削ることに比べれば些細な事にすぎなかったが、転移した先で勇者も魔王も、魔力を使うことに支障がでない環境となった。
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『世界の存在核』――それは、世界を隔てる壁であり、世界そのものを構成する基盤情報の集合体。
本来、触れてはならない宇宙の中枢。
だが、聖剣と魔剣を創るために、製作者は知らずの内に削っていった。
結果として、数多の聖剣と魔剣が作られ、それに応じて“存在核”が摩耗した。
それが緩やかな行為であれば、自然に修復した、短期間の内に実害が出るほど、同じ場所は削られなかっただろう。
しかし、ある時に『穴』が開いた。
世界にぽっかりと空いたその穴は、次第に“魔力真空”を引き起こした。
魔力が存在しない空間。
それはこの世界における『死』の領域。
禁断の扉がそこにあった――。
死神の住む地獄の門を、人類が叩いてしまった。
そして、崩壊し、加速した。
原因もわからず、ただ“何か”を失い続けていく世界となった。
それに気づいたのは、彼らが『魔法少女の存在する世界』へ侵攻する数十年前だった。
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勇者たちは知らない。
自分たちの剣の製法が、異世界から来た彼らの知識そのものが、異世界すら崩壊させるきっかけだったことを。
いや、たとえ知ったとしても、それを止める術はない。
なぜなら“剣”は、既に数千と存在しており、世界各地に散らばっているからだ。
そして――今この瞬間も、“剣”は誰かの手で、新たな世界の扉を開こうとしている。
これは、滅びに抗う物語ではない。
世界が崩れる音に耳を塞ぎながら、それでも生きようとする誰かの、断片の記録である。
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もう一つ、語るべき世界の真実がある。
地球において、太陽の周りを惑星が回っている。
平面的ではなく、立体的に、楕円のように、あるいは螺旋のように。
それは常識であるだろう。
しかし、もっと大きい規模の話をすれば、銀河自体も、大きな引力や重力の作用圏を回っている。
異世界転移に関して、宇宙の『絶対座標』を超えた転移など可能なのだろうかと、考えたことはあるだろうか。
答えは、否である。
観測可能な宇宙の、無数の可能性。
その平行宇宙を形作っている時間、空間、因果、すべてが微細にズレたそれらの世界は、互いに交わることなく存在するはずだった。
だが、そこには一つだけ、決して変わらぬ“座標”があった。
それは『人類が存在する座標』である。
もちろん、人類とて一つではないし、同じ並行世界にも無数の人類圏があるが、銀河の中のある一点、恒星を周回するとある惑星。
地球の存在する座標。
その惑星の表面に、必ず“人”が存在するという絶対的な因果があった。
宇宙がどれだけ無数に存在していようと、物語がどう変わろうと、その“場所”には必ず人類が立っている。
それは、あたかも“宇宙そのものが人類という存在を固定点として設計されている”かのようだった。
この奇妙な一致は、“偶然の積み重ね”では説明がつかない。
むしろ、“宇宙が人類を生むために最初から定まっていた”と考える方が自然だった。
聖剣と魔剣は、その絶対座標にアクセスするための鍵に過ぎなかった。
空間を繋ぐ術ではなく、座標を呼び出す呪文。
だからこそ、どの世界でも異世界転移の行き先は、常に『人類がいる世界』だった。
人類という存在は、平行世界を超えた因果の中に在る。
本来、交わるはずのない者同士が出会う時、世界はその結果を想定していなかった。
故に、一つの世界は滅び去った。
次に、既に滅びた世界について語ろうと思う。
次話は、魔法少女世界の現在を書きます。
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