静かなる抵抗
トイレに足を踏み入れた。
暗闇に、パッと明かりが灯る。
このトイレは、センサーが反応すると明かりが灯る仕組みだ。
そして、いなくなるとセンサーが反応しなくなり、消灯する仕組みだ。
今日も戦いは続いてゆく。
いつもは便器の前でずっと動かないせいで、存在感がなくなり、明かりが消えてしまう。
だから、今回はするスピードは変えずに、変化を与えようと考えた。
今日は用を足している間に、横揺れダンスをして存在を知らしめた。
センサーに【ここにいる】ということを、ダンスをすることで証明しようとした。
まるで、ダンスの独演会のように、しなやかに動いて見せた。
しかし、横揺れは暗闇に飲み込まれてしまい、あっという間に、ステージの幕は降ろされた。