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ハイエルフの人間学入門  作者: みし
第三章 アルビス市民国編
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アルビス市民国編15 冒険者戦その四

「さて我らの連携攻撃をお見せしよう」


 剣士が剣を構えます。


「これは先程の練習用の剣とは違うぞ。金剛鋼(アダマンタイト)を打ち据えても砕けぬ剣。それがいかなる名剣であろうと一歩も譲らりはせぬ。さらにこうだ」


 剣士が剣に念じると剣が焔を纏います。どうやら火属性を付与した魔剣の様です。金剛鋼に耐えると言うのは土属性で強度も増しているのでしょう。


「グラハ、《神速》だ」


 後方に要るハーフエルフが剣に焔を纏った剣の上に魔法をかけます。自ら《神速》と言っているるので恐らく《神速》の魔法でしょう。


「さてお嬢ちゃん、この速度についてこれるかな?受けても避けても焔が追撃するジャハンの神速の剣裁きをお見せしよう」


 そう言うと剣を構えて、こちらに飛び込み剣を打ち下ろします。剣で受けても良いのですが魔法使いと僧侶の動きが気になるので魔法で受けることにします。


(ユンネス)!」


 そう叫ぶ必要は無いのですが気分的な問題とサービスでやっています。叫び終わる前に剣を魔法の盾が受け止め、焔も《盾》が全部防ぎきります。


「その短い詠唱は、あらかじめ用意していた呪文だな。さては遅延発動を使うのか?どうやら見た目より達人の様だな」


 ——直前に用意したものですがいちいち説明するのも面倒なので言葉の代わりに剣で答えておきます。


 盾越しに剣を振るうと剣士が一歩下がり変わりに剣闘士が前に出てきます。


「要するに盾ごと打ち砕けば良いのだな」


 剣闘士は連接棍(フレイル)を振り回し、魔法の盾に何度も叩き付けます。この《盾》の呪文は効果時間が短いので、叩き付けているうちに時間切れになるので、そこで魔法の盾にもう一つ呪文を付与して剣闘士の立ち位置を移動させておきます。


砕けろ(プリグォッティ)!」


 そう呟くと魔法の盾が砕け、剣闘士は自らの連接棍(フレイル)の勢いで前につんのめります。


 それを見て背後から剣闘士を剣で打ち据えようとすると魔法使いの《火球(ファイアボール)》が飛んできます。呪文詠唱が無かったという事はあらかじめ準備していたか、無詠唱でしょうか……先程言っていた遅延発動魔法の可能性が高そうです。威力的にはまともに食らっても問題ないぐらいの弱い魔法ですが取りあえず一旦回避することにします。


「〔狂焔の〕助かったぞ!」


 剣闘士がそう言いながら体勢を立て直し、こちらに向かってきます。その間に剣士は私の背面に周り込もうとします。神速を名乗るだけあって足はそこそこ速そうです。


——あくまでも他に比べればです。


 この速度であれば立ち位置を少し変えるだけで対処できそうなので、足さばきで剣士を右側、剣闘士を左側に位置する様に誘導していきます。


「さてここまで粘ったようだが、ここからお嬢ちゃんどうするのさ?」


 右側に回り込んだ剣士が言います。


「右には俺、左には連接棍、正面から槍、背後から《追尾》の弓矢、上から《火球》。これを全部裁けるかな?」


 そう言い終えると後ろからチャージを準備を終えたらしき槍使いが突撃してきます。


 魔法使いは再び呪文を唱え《火球》を山なりに打ち飛ばし、付与術師は弓を構えると矢に魔法を付与すると私の後ろ側に矢を放ちます。


 僧侶は何やら念じています。《士気高揚(ライジング・モラル)》の信仰魔法でもかけている様です。


「|巨大盾《ユーリネル=リ・ユンネス》!」


 避けても良いのですが大きな盾魔法で全部弾き返します。最初に槍使いが《盾》に弾かれふんぞり返ります。次に《火球》が頭の上で炸裂します。


 剣と連接棍は透明な壁を叩いている様に空を叩きつけます。背後に回り込んだ矢は大きな盾にそのまま打ち砕かれます。


「どうやら防御魔法はいっちょまえに使える様だな。だがそろそろ時間いっぱいだからさっさと終わらせてやろう」


 《巨大盾》は《盾》より持続時間を短く設定したてので一瞬でかき消えます。長く維持すると反撃出来ませんので……。


 私は、剣を握り直すと剣士と剣闘士に剣で殴りつけます。横なぎにふるうとその勢いで剣士と剣闘士が一、二歩下がります。


 そこにふんぞり返っていた槍使いが体勢を立て直しこちらを突いてきました。


 ——どうやら槍には風属性の魔法が付与されているようです……おそらく《鋭刃(シャープネス)》か《疾風(ゲール)》だと思われます。どうやら強引に防御を貫通させる気の様です。私は、丁度、剣を振るった状態なので胸の部分ががら空きになっています。そこで体勢を横にずらして穂先をスレスレでかわします。


「ちっ薄い胸に助けられたか」


 槍を外した槍使いが小声で言っていますが、何やら無礼に聞こえたので、その体勢から左手で槍をつかんで下に叩き付けます。


 その瞬間に右手を引き戻し剣士と剣闘士の追撃に備えます。


 ——結論から言う剣士と剣闘士は追撃せず槍使いを引きずって後ろに下がりました。僧侶の魔法を唱えます。


「我が神よ。我らに恵みと施しを」


 そう唱えると私の周りに白い粉が漂います。


 ——これ小麦粉ですよね?小麦粉が私の周りに漂っています。


「これぞ我が〔金獅子の夜明け〕の秘策その一、小麦の舞じゃ。この秘策は有名だからなここで見せておいても良いだろうて?敵に向けて直接害意のある魔法の発動は出来ないが恵みを与える魔法は必ず発動するそれを利用した秘策じゃ」

 

どうやら毒の類は私の周りに出現させる事はできないが小麦粉なら出来るって理屈の様です。言い方からすると信仰魔法は元素魔法や付与魔法では出来ない事が出来る代わりに厳しい制限があるみたいです。


「そして某が(シールド)の呪文を汝にかける。これで汝は小麦粉の檻に閉じ込められた訳だ」


 魔法使いの《盾》の魔法が発動すると小麦粉が私を中心にした賽子状の空間に閉じ込められていきます。


「そしてこれでとどめだ」


 剣士が賽子の角に向かって剣を振り落とします。


「こいつで終わりだ。物理攻撃だから物理攻撃が効かない敵でも無い限り一撃で吹き飛ぶ名付けて〔金獅子の夜明け〕の秘策《粉塵爆発》だ!!」


  --どうやら空間上に散布した小麦粉に火の粉を飛ばし高速かつ連続的に発火させる事で大威力の衝撃を引き起こす秘策の様です。さてどうしたものでしょう?と思い軽く腕を振ります。

 ……

 ……


 ……いつまで経っても何も起きません。おかしいですね。


「おい、《《お前》》何をした?」


 予想した爆発が起きず小麦粉が下に落ちる様子を見た剣士が言います。


「どうせなので派手にしようと思って《(ミスト)》の魔法で小麦粉のカサを増やしただけですよ」


 《霧》の魔法で水分を吸った小麦粉は重さで下に落下しています。床の上に小麦粉が積もっています。流石に食べ物を踏むのは問題あるので、その場所から移動することにしました。


「派手にって……《《お前》》命しらずか?……どうやら偶然に助けられたな」


 ——口調が《《お前》》に変わっていると言うことはそろそろ余裕が無さそうな感じです。


「それではそろそろ反撃する事にします」

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