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ハイエルフの人間学入門  作者: みし
第二章 デレス君主国編
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デレス君主国編21 出立の巻

 掃討戦に入ったところで実質族長率いる中軍以外は引き上げてきました。戦勝に喜ぶというより、ほっとしたという空気が流れていした。


「ご先祖様に勇武を見せたところで新年の仕切り直しだ」


 〔大ハン〕が軍隊に向かって叫びます。


 次男は、危なげない運用で犠牲を最低限に最小限に抑えていました。その代わり戦果も多いとは、言いがたい状態でしたが危なげない兵運用でゴブリン軍勢を壊滅に追い込んで居ました。


 三男は、言いつけどおり無理をせずに無事に戻ってきました。三男が対峙していたのはゴブリン右翼ですから五男の横方向からの繰り返しの突撃で陣形が崩壊していたので割と楽勝だったと思います。戦から戻ってきた三男の足を見たところ悪化している様子は無く、このまま治療を続ければ問題無さそうです。薬を調合し1日数回忘れず塗るようにもう一度指示しておきました。


 五男に関しては、上手くやってくれたと褒めておきました。なんだか少し態度も優しげに変わったようです。


 族長は、六男を引き連れ、まだゴブリンを追っかけており戻ってませんでした。どうもゴブリンを全滅させるまでは引き上げる気が無いらしく現在説得に当たって居るようです。


 それから宮殿天幕で意見交換を行いましたがキメラ・デーモンは恐らくゴブリン巫術師に呼び出されたものが逆にゴブリンを支配したのでは無いかという話でまとまりました。ただキメラ・デーモンの魔王様がからのくだりが気になるのですがその部分は紫の魔女のくだりと共に一切話して居ませんし風評被害が増えても困るので胸にひめておくことにします。なぜ彼等がこの時期を狙って一直線で冬の都に向かって来たのかなど多くの謎が残りましたがその辺りは魔王の配下の生き残りなら知っているだろうと言う話で終わりました。要するにキメラ・デーモンはゴブリン巫術師に召還された元魔王の配下ではないかと言う事でこの時期を狙ってきたのは夜が長くて夜行性の彼等は長時間移動に避けるからだと言う事で話はまとまりそうでした。問題はあのゴブリンがどこからやってきたのかという事ですが話が通じないので分かるわけもありませんしキメラ・デーモンはお話する前に逃げられてしまったので聞くことも出来ません。また似たようなゴブリンの軍勢が現れるかと言う情報がかけているのですが、それについては我々で対処出来ると言う話でした。


 そのころ四男は、息絶え絶えにその辺に放置されていました。


「治療しなくて良いのでしょうか?」


「他の兵が優先だろう。待機命令無視の上、部下を見捨てての敵前逃亡だ。首をはねられないだけでもこれでも温情溢れる扱いだ」と〔大ハン〕は言います。確かに死傷者が戦場から続々と運び混まれており、そこはさながらもう一つの戦場でした。


「他の兵士の治療にエレシアちゃんを向かわせましょうか?」


「それは望まぬ。我らの事は我らだけで成し遂げねばならぬ。何時もそのような幸運に頼れるとは思わぬからな」


 〔大ハン〕はその点はどうしても譲れない線らしいです。


「それでは最初に引き受けた時の要求を言わせてください」


「そうだな好きな褒美をやろうぞ。だが先程言った話に関して蒸し返す事だけは無しだぞ」


「……それではデレスの歴史について分かる限り詳しく教えてください。もちろん今回は明後日に出立するのでまた来た機会にお願いします」


 十年後か百年後かは分かりませんがまたここに来る機会があると思いそう言う話を持ちかけてみました。やはり最大の報酬は信頼と知識だと思うのです。お金は既に国が買えるほどあるみたいですし、魔王を退治する道具とか貰ってもは嬉しくありませんので、ここに出入りする権利と知識を報酬として得るのは間違っていないと思います。


「ふむ、その頃、我が生きているか分からぬが良いだろう。好きなだけ滞在して好きなだけ話を聞くことが出来る権利をそなたに与えよう。デレスの永遠の友人として口伝することを誓おうぞ。しかし、羊の群れを丸ごと持っていっても良いのだぞ?なんなら氏族の一つや二つ支配する権利も譲ろっても良いのだぞ。むしろ〔大ハン〕の地位を望んでも良いのだぞ。〔大ハン〕は最も勇敢で公平で賢きものがなるものだからな賢者殿にはそれがあろうと我は思うが?」


 何やら話が大きくなってきたので、その話は辞退した後、その場辞してエレシアちゃんの居る天幕まで戻りました。


「フ……フレナ様お疲れさまです」


「疲れましたよ」


 エレシアちゃんは、やはり癒やしです。その後は特にする事も無いのでゆっくり過ごすことにしました。その間に次男と三男にはこっそり傷に良く効く膏薬を作って渡して起きました。それをどの様に使うかは彼等の判断に任せることにします。


 翌日、昼頃に族長がやってきました。まだゴブリンを狩りたらないそうですが〔大ハン〕の命令で無理矢理戻らされたそうです。


「まぁまだ死刑にはなりたくないからな。それより土産の鹿と兎じゃ今から捌くが食べるか?ご先祖様に捧げてからだがな」


 そして、今からご先祖様もお見送りする時間だそうです。外を見ると既に日が暮れていました。


 お見送りは、先と逆に静かに執り行われます。色々な肉や白い液体が並べられ色鮮やかな服を着た女性達がゆっくりと舞踊ります。そして夜空を見上げながらご先祖様が去って行くのを見届けます。


 その後食べた焼いた鹿と兎肉の汁は中々に美味しかったと思います。


 翌日、見送られながらデレスの都を発ちます。


「お主が〔大ハン〕になると良いのじゃがな」


 見送りにきた族長が言います。


「そんな仕事は私には似合いませんし、それを何百年とかキツいです」


 そもそも面倒ですし……もう一度断りを入れておいておきます。何故か握手して欲しいと沢山の人が集まってきましたがエレシアちゃん達は既に馬車に乗車していますし、時間がないので慌てて馬車に乗り込みました。


 そもそもここは薄い本に出てくるよくあるパターンで四男が会心し、それを兄弟がも受け容れ仲良く国を守る流れでは無いでしょうか?何故、口々に私を〔大ハン〕にしたいと言ってくるのでしょうか?


 フェルパイア連合内の最初の目的地アルビス市民国に車列は向かうのでした。




 これで2章は終わりです。遊牧民族×ファンタージーみたいな文化を書こう思ったらイメージがまとまらず難航しました(ロー○ンとモ○ゴルを混ぜた感じをイメージしたはずなんだけど……)


 しかも祭祀の最中なので普段の生活については全く書けずに終わっております。


 3章はまた少し先になると思います。

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