第1話 新年明けましておめでたくない
おひとりさま大好き男の異世界現実奮闘記。
丘山正と申します。
自分がおひとりさま大好きなのでおそらくそういう話ばっかり書くと思います。
小説なんて遥か昔、ほんのちょろっと書いただけなんですが
皆様の小説を読ませて頂いて創作意欲がむくむくと出てきまして
挑戦してみようかな?と思った次第です。
ちょうど明日から会社と言う方も多い今日、小説になろうでの初投稿となりました。
内容もそれに合わせたものになっています。
よろしくお願いします。
「あああああ……今日で冬休み終わっちゃうよ……ああいやだもう会社行きたくない、行きたくない!」
新年が始まり、三が日が終わってから数日……カレンダーを見ながら俺はため息をつく。
しかし何度見返しても会社発行のカレンダーは無情にも今日で冬休みが終わることを告げている。
明日は新年最初の出勤日、正直地獄の釜に片足突っ込んだ気分である。
「あーあ、会社やめたい。会社の連中に会いたくない。やだなあ、会社やめたいなあ」
でもそんなこと出来ないのはよくわかっている。
当たり前のことだけど金がないと生きていけない。
そして現状、働かないと金は手に入らないのだ。
宝くじを買ってはいるが当たり前だがそうそう当たるわけはない。
年末ジャンボもいつもの通りハズレ。
そらそうだ、そんな簡単に宝くじが当たってたまるもんか。
そもそもなんで俺がこんなに会社行きたくないかって、仕事そのものよりも会社の環境と人間関係 だ。
俺はとにかく他人が、人間が嫌いだ。
俺のパーソナルスペース、つまり他人が入ってくると不快に感じる範囲はとてつもなく広い。
部屋などの閉じられた空間なら同じ部屋に誰かいるだけでもう不快度数が上がる。
今の俺の職場環境はそういう意味で大変よろしくない。
会社と言う場所柄ある程度他人との距離が狭くなるのは致し方ないのだが、今の俺の職場は非常に狭いくせに大量の人数が詰め込まれている。
しかも休憩所の隣なので、休憩時間にはパートのおばはんたちのけたたましい笑い声が響き渡る。
なんであんな声で笑えるのだろう。
奴らに他人に迷惑をかけてるかもしれないと言う考えはないのか。
ないんだろうな。
そういう人種と同じ職場にいることの不幸よ。
ただでさえ神経質気味な俺にとって、会社は耳栓が必須の場所なのだ。
あいつらの声を聞くだけで頭痛と耳鳴りがする。
改めて部屋を見回す。
自分のいる空間に他人がいないと言うのはなんと素晴らしいことなのだろう。
明日からまたあの地獄に戻らねばならない。
この部屋でずっと一人でいられるのも今日まで、明日からまたあの地獄に戻らねばならない。
そんな俺が最近はまったのは今流行りの異世界トリップものの小説。
もともとRPGが大好きな俺は子供のころからありとあらゆるRPGをやっている。
その中でも好みは昔からよくある中世ヨーロッパ風の世界観が舞台のやつ。
あの世界でゆるりと、可愛くて無害な魔物とのんびり一人で生きてみたいななんてよく夢見る。
「異世界転生かあ。自分の望むような世界に行けるのなら行ってみたいなあ」
《じゃあ、行ってみますか?》
「は?」
何? 今の声なに? 俺あまりにも会社行きたくないもんだから幻聴聞いちゃった?
声を殺して耳をすませる。
聞こえてくるのはいつもの部屋の中の家電やパソコンの微かな機械音だけ。
「やっぱり幻聴か……まさかこんなもんまで聞こえてくるなんて俺そこまで会社に行きたく」
《いいえ、幻聴ではありませんよ》
白土秀樹 29歳、産まれて初めてガチの超常現象に遭遇しました。
いかがでしたでしょうか。
少しでも多くの方に読んでいただけたら良いのですが。
感想等頂けたら幸いです。