隣のあの子
こんにちは。朝霧千景です。2作目となりました。
今回は、恋する蒼のお話です。
無事に今日が終わり、バイトが決まった僕は、ベットの上で考えをめぐらせていた。
——隣の女の子が可愛い……
初日に、「あんた、どっからきたん」って尋ねてきた少女。どうやら、東雲夢花というらしい。
自己紹介の時、「東雲夢花です。よろしくお願いします。」と、短い言葉で終わってしまったが、彼女はとても可愛らしかった。
クールに振舞っているが、顔つきが幼くて、肩まで伸びた髪の毛も愛おしい。そして、無口で無表情な所に惹かれた。
「一目惚れ?」
それに気づいた瞬間、明日から毎日話しかけることにした。
「おはよ!」
「……」
え?無視??え???
そんな毎日。
何日も話しかけた。かといって、1週間話しかけて、毎日無視をされるとかいう、凄く心が折れそうだった。優斗は、もう諦め?って言ってたけど、絶対諦めない。
ある日の話。
「おはよ!東雲さん!」
「…」
無視された…
心の中で思いっきり泣いて、立ち直る。
「今日って1時間目なんでしたっけ。」
我ながらとても辿々しい…恥ずかし……
「数学。」
はぁぁぁぁ!返してくれた!言葉を発した!!今日一日頑張れる!!!
本当にその日幸せだったため、学校で気持ち悪いとか言われたけど、気にしないことにしていた。が、優斗が現れる。
「お前、ほんま気持ち悪いで。」
かなりのガチトーンで言われて、傷つきました…
「いや!聞いてくれよ!」
「どーしたん?」
いつも通りの声。関西人というものは、たまに怖くなる…
「耳貸して!」
「食べやんといてなっ!」
耳を隠す素振りをしたが、すぐに貸してくれた。
「今日、東雲さんが返事してくれたんだよ!」
「ほんま?おめでとう!やったやん!!」
自分のことのように喜ぶ優斗を横目に、明日も声をかけようと決意する僕であった。
「おはよ!」
「……。」
机に突っ伏している東雲さん……可愛い…。
「ね、ねぇ。」
顔だけこちらを向く。
クリっとした目が僕を捉える。
「なんなん?毎日毎日。飽きへんの?」
まともな会話。
「話しかけたいから、話してる。」
「なにそれ」
一瞬笑った気がした。彼女が。凄く小さな声で。ふふって。
可愛すぎてもう無理。
「あのさ。」
「おっはよー!蒼!!!!」
……。優斗……お前いつか……
「え?どうしたん?」
「なんにもないよ……どうした?」
ぱっと彼女を見ると、机に突っ伏していた。
優斗の野郎…
「優斗…こっちこい…」
「なになにー?告白ー?嫌やなぁ照れるわぁ」
僕よりでかい優斗が照れた素振りをしながら廊下についてくる。
「お前なぁ!僕今、東雲さんとまともな会話出来たんだぜ!?なんであそこで声をかけたんだよ!」
「あ、そーやったん?いや、俺が声掛けたら明るくなるかなーって思ってさ…ほんまにすまんな…」
どうやら、反省したようなので、許してあげることにした。
「ったく。次から見守る事に徹してくれよ…」
「ひゅー!やっさしぃ!」
一発、優斗の腹に拳を入れた。
「うっ…」
その場に座り込む優斗を背にして、教室に入る僕。
6限目とかいう睡眠時間が終わり、優斗が目の前にたっていた。
「帰ろ。」
「これから、ホームルームだろ?」
「せやったな。忘れとったわ。」
「おまっwww忘れることなんてあるのかよ」
いつもの優斗のボケが入る。
担任が入ってきて、室長が「きりつ!気おつけ!お願いします!」毎時間飽きないな……その声を聞いて、次に記憶があるのが、
「きりつ!きおつけ!さよなら!」
だった。
「さて、ほんまに帰りましょーか。」
「おう!」
教科書を全部机に突っ込み、軽いカバンを持った僕と、優斗は帰路につく。
「今日バイトじゃん。」
「俺もやぁ。あの店長さん怖いわぁ」
「だったらなんで俺を紹介した!」
「嘘嘘!ええ人やって!」
いや、確かにいい人なんだけど、あの見た目が…そして、見てしまったんだ……
あの顔で、可愛い人形を愛おしそうに見つめる店長を…そして、ニヤニヤしてた……
「どうしたん?」
「…なんでもない!」
「ならええけど!」
鴉が鳴いている。夕日が綺麗な空。いつか、東雲さんと見たいな。
「んなら、このままいくか!」
「ばいとー?」
そして、思ったことがある。こいつ…優斗は案外マイペースでのんびりしている。
「金ガッポガッポ稼ぐでー!」
「おー!」
やはり慣れない初めてのバイトは失敗続きで、優斗に何回助けられたか分からなかった。
その度に感謝して、入学式に話しかけてくれた優斗に感謝した。
「はぁぁぁ…終わった!」
「お疲れ様です!店長!」
会釈をして、バイトから上がる。
若干暗い帰り道。そこに並ぶのは男。
早く、東雲さんに気持ちを伝えたい…
”好き”って。
いつ誰かに取られるか分からないから
そんな嫌な記憶。
今度は、絶対に失敗しない。幸せにしたい。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
細かく書くことが苦手ですいません…
もっと繊細にできるように努力しますね!
また、アドバイス等頂ければと思います。
ではまた。