入学式
「好きです!」
その日は桜が舞い降りる暖かな春だった。
~入学式~
ピピピピ
朝…カーテンからこぼれ落ちる朝日を手で遮りながら煩く鳴り響くアラームを止める。
次に聞こえてくる煩い声は決まって母だ。
「蒼〜起きてるの??」
ほらやっぱり。
「起きた…うん。起きてる!」
寝ていたい……日付をみる
今日は高校の入学式ということを思い出して布団から飛び起きる。
「やばい…時間…」
電車が出るのは20分後で、10分前には家を出なければならない……
「蒼!!」
「起きたってば!」
半ばイラつきながら、溜息をついた。クローゼットから、少し大きく、新しい匂いのする制服に腕を通した。
慣れないネクタイを締めて、少し大きめのブレザーの腕をめくり、寝癖を直し、顔を洗う。
天パが目立つ茶髪に、男らしくない白い肌。
少し痩せたかな……
ふと時計を見ると、
「やっば!」
気づけば時間が経った5分後である。
急いで階段を降りると、パンとバターを焼いたいい匂い。
「朝ご飯食べないの?」
「時間ない!」
すると、お母さんが、僕の口の中にそれを入れた。
「ちゃんと食べていきなさい?」
多少の恐怖を覚えた僕は、口にパンを入れたまま玄関を開け放った。
全力で駅まで走り、なんとか電車に間に合った。家族一同、中学卒業を機に地元から離れた。それこそ本当に未知の世界で、田舎に住んでた頃とは忙しい世界だった。
鳴り響くパトカーの音。夜も眩しい夜道。
それは田舎に住んでた星の代わりで、虫の音の変わり。
正直、慣れなかった。うるさくて忙しい世界が同じ日本とは思えなかった。
校門前にたつと、学校の大きさと、桜に驚愕した。
桜並木が目立つ僕が新しく入る学校は、偏差値が60あたりといった、そこそこな学校で、普通科のため、これといった特徴がない。
ただ、珍しいといえば、男子が多いことだろうか……
「彼女欲しい……」
今や口癖になった言葉を声に出す。
「わかるわかる!俺もほしいわ!」
「だよな……って誰ですか!?」
隣に立った高身長で、黒髪にメガネといったいかにも優等生な感じの人。今の発言とは似ても似つかわしくないイメージでした。
「あー、初めて見る顔やから声掛けてしもた!」
関西弁……??
「あの、誰ですか……」
「すまんすまん!自己紹介まだやったな!俺な、優斗ゆうねん!松田優斗!あんたは?」
「僕は、青木蒼」
「ええ名前やなぁ。これからなかよーしてな!」
なんだ、いい人みたいだった。こいつは、僕の一生の親友で、一度きりの、トラウマの原因となる男になった。
「同じクラスやん!」
「あ、あぁ…そうだね、」
関西人という気迫。否、明るさに若干押されつつ新しいクラスに入る。
ザワザワとやかましい関西弁が飛び交っていた。何故か僕に紙をクシャクシャにした物を投げつけられたが…
「あんたどっからきたん。」
隣の人が話しかけてきた。
クリクリとした目で、僕を見つめてきた。
ハーフアップにした可愛らしく小さい子だ。
「茨城……」
「そう。」
このあとの会話はなかった……
「蒼〜」
優斗だ。
「どした?」
「部活どーする??」
「考えてなかった……」
この学校では、運動部と、文化部があって、
運動部は、サッカー部、野球部、バスケ部にアーチェリー、卓球部と陸上部だった。
文化部は、吹奏楽部、合唱部、美術部、茶華道部、英語部。
「バイトしたい…」
「そーなん?なら、俺とやらへん?」
そして、強制的に連れていかれたのは、可愛らしい雑貨が並ぶお店だった。
「お前、いつからバイトしてんの…」
「まぁまぁ!気にしやんといて!」
僕が初めてはいるお店であるのに、グイグイ入れてくるあたり、店長は優しい人なんだろうな…
「あ?誰だよ」
……怖い。
髭が生えてて、ここのお店の雰囲気とは似合わない。毎日ビールをのんで、タバコを吸ってそうないかつい男。
「あ、えぇと。失礼しましたぁ…」
ゆっくり部屋を出ようとすると、気味の悪い笑顔で、優斗が僕の方を掴む。
「どこいくん?」
「ヒェッ…」
このあと、とてもとても、優しい面接と軽い筆記試験を受けて、来週から行くことになった。
全作品は没になりました…すいません。
というわけで、新しい小説を書こうと思い、知り合いが無口な彼女との恋愛長編のリクエストを貰ったので、新しく書いてみます。
今までと違って、楽しい世界をかけれたらと思います。アドバイスがあれば、教えて下さると嬉しいです。