9話 特訓
どれくらいでちょうどいい文章になるのか・・・むむむ。
「え、えっと、カノン君、リンさん、ジェイン君。
君たちには立派な才能が今ここにある事がわかりました。」
先生があせあせと褒めてる、あせあせってどういう意味だろ、自分で言っててよくわかってない。
「でも先生、実際すごいのはリンとジェインじゃないか?」
正直な所俺は二人の方がすごいと思う、リンは魔法に関して本当にすごいし、ジェインは体術の授業では常にトップ、まぁあくまで本来は剣がメインだから評価はされにくいけど。
「いえいえ、カノン君はもっとすごいですよ。ユニーク魔法は10年に1人と言われている程です。」
へぇ、そんなに確立低いんだ。
「ですので、私は3人を昇格試験へ推薦します。」
・・・ん?
昇格試験?え、俺たち昇格できるの?
「あ、ありがとうございます!!」
ジェインがおもっきり頭を下げる、リンも「ありがとうございます」と礼をしている。
「あ、ありがとう、ございます。」
一応俺も礼をした、別にFからEへの昇格は案外よくある事だ。
俺がこのクラスに入ってから三日で昇格した奴もいる。
「では、私は教頭に推薦状を書いて渡してきますので、皆さんは今日は家へ帰りましょうね」
先生はそういうと手を振りながら魔法訓練所から出た。
「やったなカノン!リン!俺たち試験受けれるんだぜ!!」
ジェインが厚かましく俺とリンの肩をつかみ上機嫌になっている。
「カノンの言ってた3人で昇格が叶ったね!!ふふっ!」
リンがすごく楽しそうだ。
「そういえば、昇格試験って何をしたらいいんだ?」
ふと疑問に思った、昇格試験はあるものの試験内容は公開されておらず、また試験時も生徒は観戦する事が出来ない。
「えっと、噂じゃ召喚した魔物と戦うとか聞いたことあるけど、噂だからなぁ。」
ジェインはうなりながら言う、ジェインの噂は案外当たってる事が多いから戦闘系なのだろうか。
・・・戦闘か、ならこの魔法をしっかり鍛えた方がいいな。
「なぁ、今から修行しにいかない?あの場所で。」
それを聞いたジェインが「おお!いいなそれは!」と元気よく言う。
「じゃあ今から行きましょ!早く行けばたくさんできるよ!」
リンがそわそわしながら言う、するとジェインは「よし!じゃあいくぞ!」と走り出した。
本当にあいつは自己中心的なやつだ、リンに俺たちも行くぞと言おうと思ったら・・・
「カノーン!はやくはやくー!」
リンも走っていった、本当にお前らは・・・。
俺もあとを追っかけるようについていった。
勇者学校から西に行くとちょっとした森がある。
この森は危険な魔物もおらず、中心部まで行くとひらけた場所がある。
入学した当初、俺はここを見つけ一人で修行をしてた。
いつの日かこっそりついてきてたジェインが俺もすると騒ぎ出し、それ以来二人で特訓したりもした。
それからまたしばらくするとジェインがリンを連れてここにきて、なんやかんやで結局3人で特訓だった。
今となっては俺たちの場所だ、太く大きな木は木刀で削った後がしっかり残っている。
他にもジェインが思いのほか器用で魔法の練習用に作った的や、急に雨が降った時の為に作った壁のない小屋。
そういえばキャンプもしたっけかなあの時はジェインが全然寝なくて鬱陶しかった。
「さて、やるか!」
2人は「おー!」とぐーの手を天に掲げる、さぁ特訓開始だ!
「ふぅ、つかれたー」
俺がその場で大の字になって寝転がる。
「そんな所で寝たらきたないよー?」
リンがのぞき込むように俺の視界に入ってくる。
「ジェインは元気だな、まだやってんのか。」
一人的にむかって必死に魔法を打つジェイン、しかし全然的には当たらない。
「ぬぬぬぬぬ!まだあきらめない!!」
汗だくになりながら必死に魔法を放つ。
あいつMPそこまでなかったけど、大丈夫なのか?
「あ、ああ・・・眩暈が・・・」
あ、倒れた。ほら言わんこっちゃない。
俺はあれから素振りやすぐに出した木刀を瞬時に盾に変えるなど色々やってみた。
他にも木刀を飛ばしたり、なんとか二本出せないかとしたり。
結果的に飛ばせる木刀も一本まで、飛ばした木刀を消せば出せるという事だった。
だが、木刀を瞬時に盾に変える事には成功、案外スムーズにできた。
リンは新しい魔法に挑戦していた、飛行魔法だ。
飛行魔法はかなりの集中力がいるらしく難易度が高い。
もし発動はできても空を自由に飛べるようになるのは更に難易度が上がる。
そのためこの魔法は上級魔法とされている。
だがリンは少しだけだが体が浮き始めていた、初日で発動できるのはすごいと思う。
ジェインは魔法の精度を上げる為にこうして的にヒートボールを放っていた。
ヒートボールは初級魔法、レンが使っていたファイアーボールは中級魔法とされている。
つまりはあのレンには魔法の才能はしっかりあったってことだな、別にどうでもいいけど。
俺は起き上がり、ジェインの元に行く。
「ほら、手を貸してやるから起きろよ」
手を差し出し、ジェインはその手をつかみ起き上がる。
「さんきゅ!そろそろ帰るかー?」
起き上がったジェインはその場でぐーっと背伸びをした。
「俺はもう少ししてから帰ろうかな。」
もう少しこの魔法に慣れておきたい、魔力は結構使ったが自動回復のお陰でまだ頑張れそうだ。
「なんだ、お前がいるんだったら俺も残るよ」
ジェインは親指を立てて俺ににひっと歯を向けて言う、こういう時イケメンだから本当に腹が立つ。
「じゃあ私も残ろうかな、どうせ帰っても一人暮らしだから特にすることもないし。」
その時ふと思い出した
「あ、俺そういえばお金ないんだった」
ジェインが「何言ってんの?」と頭に?マークを浮かべる。
「カノン、まさかまた滞納してるの?」
リンはもしやといった顔で俺を見る。
「いや、滞納はしてないんだけどな?救護室で泊まっただろ?なんかあれで宿泊費で3銀貨取られたんだよ」
この星での通貨は金貨、銀貨、銅貨だ。
銅貨が10枚で銀貨1枚、銀貨が100枚で金貨1枚で、実は金貨より上に白金貨といったものもある。
「え、何それめっちゃ高いじゃん!!私の借りてる部屋の家賃より高い!」
相場だと1ルームの部屋であれば銀貨2枚と銅貨30枚くらいで借りることができる。
安いところであれば銀貨1枚なんて部屋もあるらしい。
俺が借りてる部屋は銀貨3枚の部屋なのだが、それと同値段を取られたわけでお金がないのだ。
「俺みたいに実家で住めたらいいんだけど、カノンもリンも遠い所から来てるから大変だよなぁ」
そうなんだよね、学校から村まで半日くらい歩かないとたどり着けない距離、リンなんて馬車に乗って半日の距離だ。
「そういえば明日休みか、ギルド行ってくるかなぁ。」
正式名は冒険者ギルドで様々な仕事がある。
虫を追い払うとか代理で買い物なんて依頼もあるし、魔物討伐の依頼もある。
俺は気分でどっちにするか選んでるが、基本は討伐がメインだ。
依頼を受ける時にギルドカードがないと受けれない、そして人によってここでもランクというのがある。
ギルドではSからGまでランクがあり、俺はGランクだ。
実はここにも色々あり、本来はFから始まる、だが俺は勇者学校を通ってる事から本職にはなれない。
そういった人達はGランクとなる。
Gランクから昇格するにはメインとして動ける事が条件だ。
「あ、なら私も明日ついていっていい?」
ちなみにリンもギルドカードを持っている。
「俺は明日親父と出かけるんだよなぁ、ついて行きたかったけど諦めるわ」
誰もまだ誘ってねぇよって言いたかったけど黙った。
よし、明日は仕事するぞー!
ギルドのシステム分かりづらい気がするけど、あれです。
Fクラスでギルドカードを受け取る=正社員
Gクラスのギルドカードを受け取る=バイト
こんな感じです。