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祓魔師の少年(2)


「強くなりたいか……」

「どうゆう事だ」

「そのまま通りだ。強くなりたいかと聞いているんだ」


強くなりたい、簡単な事だがちょっと分からなかった。あの時みたいに悪魔になるのか、それとも俺自身を強くすことなのか、分からない。


「修行って事なのか……」

(それもあるが、悪魔の力を操れるかの修行もしたい)

「また戦いが起きるのか。今回のように」

(可能性は十分にある。お前の身体を借りた時、一度魔力を解放した。それでこの付近の悪魔らは感づき始めるだろうな)

「つまり俺は悪魔と戦いながら生活しろって事か」

(そうゆう事だ)


意気消沈する雅斗。するとドアが開き、美呼がゆっくりと部屋へと入って来た。


「雅斗、大丈夫?」


普段とは違い、ちょっとぎこちない喋り方に内心困惑する雅斗。だが美呼は平然を装い、普通の顔をして喋る。


「何とか怪我もなく助かったよ」

「よかった……」


やはり今の美呼はちょっとおかしい。ずっと何かを考えている感じが見て分かる。すると美呼が暗い声で言い始める。


「あの時の生物?って何なんだったろうね……それに私達が見た、宮下先生も何だ立たんだろう……」

「それは……」


静まり返る病室。昔から幽霊が見えるとか、言っていた雅斗だが、今回は悪魔。それに美呼もはっきりと見た。そして雅斗は攻撃を実感し、学校も一部破壊された。そして悪魔を血まみれにして倒した。それに悪霊の力で戦い、その時は美呼がすっと気絶してると思い込んでいた。だから悪魔の力を言わない雅斗だった。


「分からない。俺あの化け物が何なのか」

「……」


美呼も言い出せなかった。雅斗の悪魔のような姿の事と一瞬だけだが見ていたことも。そして美呼は明るい顔を無理やり作り、話題を変えて別の事を言い始めた。


「医師の人にも聞いたけどもうすぐで退院出来るみたいだから」

「本当か⁉︎」

「うん。それにパパもママも心配しているから、早く帰って来てほしいって」

「ありがとう」


雅斗も不器用ながら無理やりな笑顔を作り、その顔を見た美呼は思わず笑ってしまった。


「ど、どうしたんだよ!」

「いや、雅斗の作り笑顔がおかしくて」


雅斗も内心嬉しかったようだ。美呼が元気そうで良かったと。


「今回の事件は忘れよう!そしていつも通り、また学校に行こう!!明日来るから、まだ安静にしていてよ」


美呼は軽く手を振り、雅斗もそれに応え軽く手を振る。そしてドアをそっと閉じ、美呼は帰って行った。悪霊が再び話しかけて来た。


(いいのか言わなくて、悪魔の力の事や俺の事は?)

「言ったって信じてもらえるか分かんないさ。言うと美呼を不安にさせるから言わないさ」


美呼の為にも言わないと誓う雅斗。それをよそに話を進める悪霊。


(まっ、どうでもいいけどな。それより、修行はするのか)

「今すぐにでもしたい気分だ」

(なら行くぞ)

「あぁ!」


体を起こし、3段ほどある小さな棚の上にある、綺麗に折りたたまれた私服が置いてあった。多分、美呼が持って来てくれた服だろう。その服と黒いパーカーを着て、病院を抜け出した。

そして近くの山へと走って行った。山の頂点にある広場。真昼で誰1人いなく古く錆びている遊具がある公園だ。周りは森に囲まれて、地面は草が生い茂っており、修行場にはもってこいだ。


(いい場所じゃねぇか)

「ここにはあんな人はこないから、集中して出来るな」

(早速だが修行を開始するぞ。まず心を落ち着かせ手先に力を意識し、剣を出してみろ)

「分かった」


一呼吸をして、手を前に出し手先に力を込める。すると手の中に粒子が集まり、黒い刀が形成された。


(これくらいは楽だな。次は剣を振る練習と動く練習だ)

「マジかよ……」

(当たり前だ。あんな動きじゃ次こそ死ぬぞ)

「その時はまたお前がやればいいじゃんか」

(あれはほんの僅かな時間しか出来ない。言わば奥の手だ)

「すぐ倒せばいいじゃん」

(もし倒せなかったらどうする)

「……」


悪霊の言葉に頭を抱える雅斗。言っている事が正しくもあるので、大人しく素振りを始める雅斗であった。


(もっと強く振れ!!)

「はいはい」


力強い言い方で言う悪霊、雅斗はやれやれとゆう感じで、ひさすら素振りを続ける。

そして1時間後、素振りのやり過ぎで手が痛くなり、一旦中止になった。


(おいおいもうバテたのか?)

「一応俺は病人なんだぞ……」

(次は動く練習だ)

「もう少し休ませろよ!」

(うるせぇ!無駄口叩く暇あったら少しは努力しろ!!)

「分かったよ!!」


無理やり足を立たせ、手足を伸ばす運動を軽くする。


(足に力を入れろ。そして軽くジャンプする気持ちで飛べ!)

「よし(集中……集中……)それ!!」


軽くしゃがみ込み、バネのようにジャンプした。風を感じながら段々上へと飛んで行き、20メートルくらいジャンプした。


「うおっ!!すげぇ……」

(後は着地出来るかが問題だがな)

「えっ……」


あまりのジャンプの高さに、ついはしゃいでしまった。着地の事を完全に忘れ、完全にバランスを崩してしまい、そのまま背中から激しい音と共に地面に激突した。


「痛たた……」

(バカか!ちゃんとバランスを取って着地しろ!!)

「う……すまん」


その後何回も練習し、通算26回目のジャンプ。


「行くぞ!」


バネのようにジャンプし、空中でひっくり返りそうな体を、うまく態勢と整え地面に足から着地した。


「よし!」

(やっと出来るようになったか)


言葉だけだが、悪霊の声はどこか嬉しそうな声だ。


(次は結構重要な事だ。覚悟しろよ)

「あぁ」

(左手全体に力を込めろ。悪魔の力を解放する気でやれ!)

「分かった!!」


左手を力強く握りしめ、全ての力を左手に集中した。腰を少し低くし、自然と足も強く踏み、地面に軽くめり込んでいった。


「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

(そうだ!そのままだ!!あの悪魔を思い出せ!)


あの悪魔を想像し、雅斗の体と声に更に力が入り、指から徐々に悪魔の手へと変わり始めた。それと同時に地面に落ちている半径5メートル圏内の落ち葉が、ゆっくりと浮き、森に生息する鳥達も怯えるように飛び去っていった。


「はぁ!!!!」


力強い叫び声と共に左手が完全に悪魔の手へと変わった。そして浮いていた落ち葉が地面へと落ちた。

それと同時に破壊された学校の付近を歩いていた黒いロングコートの少年が何か反応した。


「今の魔力は……あの時の」


ロングコートの少年はすぐさま森の方へと魔法陣を出し、その中へ入って行った。


「何とか出来たな」

(中々出来るじゃないか小僧)

「小僧じゃなくて雅斗って呼んでくれよ」

(……)


突如1メートル先から魔法陣が現れた。


「何だこれ?」


すると、魔法陣から黒いロングコートの少年がいきなり刀を突き出した状態で特攻して来た。いきなりの攻撃だが、雅斗はギリギリ右に避けた。

少年は数メートル離れた所で止まり、再び刀をこちらに向けている。


「誰だ⁉︎それに何だ今のは⁉︎」

(あれは、悪魔を倒す祓魔師だ)

「何だよ、それ……」


刀を構えたロングコートの少年が口を開いた。


「さぁ……お前の中の悪魔を洗い出してやる」

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