表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/28

骸骨騎士の使者‼︎マァティス‼︎

 

 刀を構え、マァティスの動きを待つ雅斗。マァティスも雅斗の動きを見ながら、ジリジリと近づく。

 兵治はマァティスの姿を見てある事を思う。


「マァティス……何故あのような奴が現世なんぞに……」

「どうゆう事だ?」


 清政が聞くと兵治は、静かに語り始めた。


「マァティス……奴は魔界に君臨する大軍隊サクリファイスの3番隊隊長でもある……軍の数はおよそ5000以上と聞く……なのに奴は今、1人……他に魔力の気配は一切ない……」

「くぅ〜‼︎とことん訳わからん‼︎」


 美呼も屋上階段ドアの後ろで雅斗の戦いを見守る。


「雅斗……」


 そして雅斗とマァティスの距離が1m切った瞬間、マァティスに向かって雅斗は大声で叫んだ。


「来いっ‼︎」

「ふんっ‼︎‼︎」


 その瞬間、マァティスは野太い声と共に右拳を雅斗目掛けて素早く振り下ろした。

 マァティスの拳はコンクリートの地面にめり込み、雅斗は上手いこと後ろにジャンプし、右手を地面につけて着地した。


「おい影山‼︎学校に傷つけるんじゃないぞ‼︎」

「そんな事言ったって無理だ‼︎」

「喋っている暇があるのか‼︎小僧‼︎」


 兵治と喋った隙に、マァティスは右拳に闇の粒子を集めだし、思いっきり前に突き出す。ビーム状のエネルギーが手から放たれ、まっすぐと雅斗の方向へと向かう。


「こんな技‼︎……⁉︎」


 後ろには屋上のドアから美呼が雅斗を見守っていた。


「美呼っ⁉︎」

「雅斗危ない‼︎」


 このまま避けたら、美呼に当たる……雅斗はすぐさま手をクロスさせ、防御態勢に入る。


「ぐわっ……‼︎」


 マァティスの攻撃は雅斗に直撃した。砂煙が舞い、学校全体が揺れる。下の階の生徒達も不振に思う。


「何?地震?」

「さぁ?」


 砂煙が吹き去り雅斗の姿が現れた。雅斗は一歩も引かずに防御態勢のままだった。多少服や身体に傷が入っているが、雅斗は余裕のある顔だ。


「この程度か……お前の力は……」

「しぶとい人間め……」

「くっ……このままじゃ学校が持たないぞ……」


 下手に学校を傷つけたら大変な事になる、ましてや学校を崩壊させるなんて事起きたら……そう思った兵治は右手を前に出す。


「はぁ‼︎」


 すると屋上内に見えない円状の壁が美呼がいるドアの前までの屋上を包み込む。


「これは……」

「影山‼︎俺の力で屋上全体にバリアを張った‼︎あまり持たないと思うが、早く倒すんだ‼︎」

「あぁ……ありがとな‼︎」


 雅斗は両手で刀を握り、走りながらマァティスに立ち向かう。するとマァティスも雅斗目掛けて特攻して来る。そして再び右拳を雅斗へと振り下ろす。


「うらぁぁ‼︎」

「こなくそっ……‼︎」


 マァティスの攻撃を身体を捻り、紙一重に避ける。そのまま刀でマァティスの横腹を一撃で斬り、マァティス後ろにつく。


「ぐっ……」


 雅斗はマァティスの方へと向き飛びかかる。そしてマァティスが振り向くと同時に背中に一撃切り裂き、血が飛び散る。


「ぐはっ……‼︎」


 苦しみながら、膝をつくマァティス。雅斗はマァティスの前へと着地する。

 雅斗は着地したのもつかの間、追撃するように飛びかかり右ツノを切り落としてマァティスの背後に着地する。


「ぐぉぉぉぉ‼︎‼︎」

「おい‼︎雅斗の奴、勝ってるじゃねぇか‼︎何が隊長だ‼︎」


 雅斗の優勢にガッツポーズをする清政だが、兵治は浮かない顔をしている。


「もっと喜ぼうぜ‼︎雅斗が優勢なんだぜ‼︎」

「……でも何かおかしい……魔力だけなら弧凛魔より上……こんなにあっさりと負けるものなのか……?」


 そして雅斗自身も不振に思っている。パワーはかなりある。だけど、こんなにも簡単に倒せるものなのか……と

 するとマァティスは口から血が混じったヨダレを垂らしながら、立ち上がる。そして不気味に笑い始める。


「やはりまだ生きてたか……」

「へっ……へへへ……いい痛みだ……特にその剣さばき……俺の心から嬉しさと快感が同時に押し寄せてくる……まさに歓天喜地‼︎」

「な、何言ってるんだ……こいつ……」


 狂気のごとく理解不能な事を叫ぶマァティスに恐怖すら覚える雅斗、そして美呼や兵治達も不気味に思う。


「……痛みが俺を刺激する……刺激が俺を強くする……」


 ニヤリと口を開き、そこから鋭利な牙が姿を現した。


「……⁉︎」


 マァティスの背後にいる雅斗はゆっくりと近く。すると突然マァティスの裏拳が雅斗を襲う。油断した雅斗は裏拳を腹に直撃し、屋上のフェンスに思いっきりめり込み、口から少量の血を吐き、死んだように目を瞑る。


「ぐはっ……‼︎」

「雅斗‼︎」


 美呼の声も虚しく、ぐったりする雅斗。

 そしてマァティスは雅斗の方へと向き、フェンスにめり込む雅斗を制服ごと掴み上げる。


「小僧……如何なる場合も油断は禁物だ‼︎」

「うるせぇ‼︎」


 雅斗は目を開け、掴まれている状態で右手で持つ刀をマァティスの目の下に振る。 目の下は切れ、マァティスは自分の目を抑え雅斗を離す。


「ぐっ……‼︎」

「お前自身も油断してたようだな‼︎簡単には倒れねぇよ‼︎俺は‼︎」

「それでいい……それでいいんだ……」


 そう言うとマァティスは背中の白い羽を広げ、そしてゆっくりと羽ばたかせ宙に浮いた。


「……」


 雅斗も息を呑み、マァティスの行動を待つ。兵治らも静かに見守る。そして5mほど宙に浮いた瞬間


「はぁ‼︎‼︎」

「⁉︎」


 宙に浮くマァティスは突如急下降し、猛スピードで頭から突撃する。鋭利なツノが雅斗を狙う。


「危ねっ……‼︎」


 雅斗は紙一重で横に回避する。マァティスはそのままフェンスを貫き、バリアをも打ち破った。

 自分のバリアを破壊され、びっくりする兵治。


「僕のバリアを貫いただと⁉︎」


 マァティスは屋上を超えて、上空で急ブレーキをかける。そして雅斗の方へと向き、雅斗が振り向く前に勢いよく突撃する。


「ぐぉぉぉぉ‼︎‼︎」

「くっ……‼︎」


 一本しかないツノと共に空を切る様に雅斗の横に通り過ぎる。ツノは雅斗の腕を擦り、切り傷が出来る。


「ちっ……外したか……?」


 マァティスが雅斗の後ろに着地したと同時に残った1本のツノの付け根に一本の線が入る。


「な、何⁉︎」


 マァティスのツノがゆっくりと地面に転がり落ちた。

 そして雅斗はドヤ顔でマァティスに刀を向ける。


「魔界の軍隊ってのはこんなにも弱いのか‼︎もっと本気でやっくれよ‼︎」

「ほざけっ‼︎」


 マァティスは再び剛拳を雅斗に振りかざす。地面に剛拳はめり込んだ。雅斗は華麗に一回転しながらマァティスの後ろにジャンプし、攻撃を回避した。


「オラよっ‼︎」


 雅斗はマァティスの背中に自分の背中を向けた状態から、身体を捻り、刀で片方の白い羽を切り落とした。


「ぐはっ‼︎」

「ツノも羽もない様じゃ、お前に勝ち目はなさそうだな」


 優勢の雅斗、だが兵治はやはり不思議に思う。


「やはり、何かがおかしい……」

「どこがだ?雅斗の優勢じゃん」

「……」


 美呼も雅斗の戦っている姿を見て、不安な顔になる。


「雅斗……なんか楽しそう……学校の騒動の時と同じみたいに……」


 雅斗は笑っていた。だけど、美呼には何で笑っているのか分からなかった……


「はぁぁぁ‼︎」


 マァティスが言うと、口を上空に向けて開けた。すると口から闇の正気が放出され、徐々に学校の空を黒く染め上げる。雅斗や兵治達も空を見上げ、呆然とする。


「な、何だ⁉︎これは⁉︎」


 そして辺り一面の空は黒い雲に染まり、街中から雷があちこちで降り注ぐ。


「我々悪魔の力を最大限に引き出す空、それが炫煌魔(げんこうま)の月だ‼︎」

炫煌魔(げんこうま)の月だとっ……⁉︎」


 兵治が口を大きく開け、唖然とする。そして雲の群から現れたのは……


「あれは月……なのか⁉︎」


 空に浮かんでいるのは太陽ではない。それは黒く怪しいオーラを放っている巨大な赤黒い月、炫煌魔の月だった。月を見た瞬間、急に雅斗が頭を抑え、膝をついた。


「ぐっ……この月……見たことがある……」


 雅斗の頭の中に、赤黒い空の中で炫煌魔の月が空に浮かんでいるのが見えた。

 そして雅斗は両手で頭を抱えて、倒れ込んだ。


「雅斗‼︎‼︎」


 学校の屋上に美呼の叫び声が響き渡る……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ