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襲来‼︎骸骨騎士‼︎


 夜中……静まり返った静観高校の屋上……普通の馬の一回り大きな黒い馬に乗っているのは、鎧を着てマントを羽織った骸骨の戦士だった。


「この街にも面白い戦士達が揃ったな……」


 そして馬が大きく鳴き、その時にはもう屋上には何も居なかった……



 ーーーーーーーーーーーー


 次の日……学校で生徒達は謎の馬の鳴き声の話題で一杯だった。


「昨日の夜中にこの学校で馬の鳴き声が聞こえたらしいぜ」

「落ち武者の馬説が有力らしい」

「野生の馬の可能性も……」


 教室で様々な憶測が飛び交う中、美呼の友達が話していた。


「今日も雅斗君教室にいないね」

「兵治君と清政君もいないわね」


 教室に美呼が到着し、ため息を吐きながら椅子に座る。


「どうしたの?美呼?」

「雅斗がまた清政君達に屋上に連れてかれたの」

「いいじゃない、仲のいい友達が出来て」

「そうだけど……」

「まさか……雅斗君が美呼を見ないからヤキモチ焼いているの⁉︎」


 すると美呼は顔を真っ赤にして立ち上がる。


「そ、そんな事ないわよ!!」


 たしかに雅斗と兵治と清政は教室にはいなかった。


 ーーーーーーーーーーーー


 屋上で真剣な表情をしながら話をしていた。清政が話を切り出す。


「学校で話題になってる話だが、お前らは昨日何か感じたか?」


 最初に兵治が口を開いた。


「夜中に大きな魔力を感じた、そして馬の鳴き声と共にいなくなった。あんな大きな魔力ここに来て初めてだ……」


 雅斗も口を開いた。


「ロジが言ってた。危険な魔力だと……」

(あの魔力……何処か感じた事がある……)

「弧凛魔よりも大きな魔力だった……僕にはそう感じた……」


 清政が導き出した答えは……


「とにかくだ‼︎お前らが戦って来た奴らの中で1番大きな魔力を感じたって訳だな」


 2人は静かに頷いた。すると突如街全体に強風が吹き荒れた。3人の髪は風に揺られ、空を切るような風は何が通り過ぎるような感覚だった。その後風はすぐに収まった。清政は山の方角を見る。


「……通り風か?……雅斗⁉︎」


 雅斗に異変が起きていた。膝をつきながら体全体に力が入り、何かに魘されているように自分の胸を押さえていた。身体中から汗が流れ、雅斗の目は赤く光り輝いていた。そして身体からは黒いオーラが煙のように出て来ている。


「誰だ……俺を呼んでいるのは……誰だ……」


 この声は影山とは違う……兵治は雅斗の異変にすぐさま感づいた。


「この声……まさか……雅斗が言ってた悪魔……ロジなのか」


 この異変は教室にいる美呼も気付き始めた。


「この胸騒ぎ……まさか雅斗⁉︎」


 そして美呼は席から立ち上がり、教室を出て行った。美呼の友達も急な美呼の行動に、驚いた。


「美呼どうしたの⁉︎もうすぐで授業の時間よ‼︎」

「すぐに戻ってくるから‼︎」



 一方雅斗は未だ心臓を抑えており、右手が悪魔の手に変わり果て、更に魔力を放出している。


「はぁ……はぁ……あの山から奴が呼んでいる……」

「これが雅斗の悪魔の力なのか……」

「影山のオーラが僕達の動きを抑制している……⁉︎」


 清政も兵治も雅斗の異様なオーラの前に動く事が出来ない。

 そして雅斗は辛い体を起こして足に力を入れ、地面にヒビを割り山の方へとジャンプして飛び立って行った。


「影山⁉︎」

「お前どこ行く気だ⁉︎」

「僕達も追うぞ‼︎」

「おう‼︎」


 2人が雅斗を追うと屋上のドアから息が荒い美呼が出て来た。


「2人共……雅斗は……どこなの……⁉︎」


 美呼の目に写ったのは、何かを心配している顔の屋上から飛び降りる2人だった。慌てて美呼はフェンスを掴み、下を覗いた。

 2人は綺麗に着地し、静観山の方へと走って行った。


「……静観山……」


 学校のチャイムが鳴る中、美呼は屋上を後にし、走って階段を降りた。



 ーーーーーーーーーーーー


 静観山に向かう兵治と清政。清政が兵治の後に続き走っている。


「この先にいるのか⁉︎雅斗の奴」

「魔力はこっちに感じるんだ‼︎」


 山の頂上に到着して、2人が目撃した物とは……


 普通の馬より一回り大きく、鋭い目をした黒い馬とそれに乗った鎧とマントを羽織った骸骨騎士だった。その前には雅斗が居た。


「これが巨大な魔力の正体……なのか……」

「雅斗の奴もあそこに……」


 ロジは骸骨騎士を睨みつける。


「お前は……骸骨騎士か……」

「……その通り……我が名は骸骨騎士……魔帝(まてい)十隴死団(じゅうろうしだん)の1人……」

「貴様が魔帝十隴死団の1人だと……」


 魔帝十隴死団……その言葉を聞いた瞬間、兵治の顔が真っ青に変わった。


「魔帝十隴死団……伝説が本当に存在しただと……」

「兵治?どうしたんだ……その顔……」


 すると兵治は静かに語り始めた。


「魔帝十隴死団……それは魔界の頂点に立っていると言われている悪魔帝に従えている10人の集団……悪魔帝ですら神話上の話だと聞き、作り話だとばかり思い込んでた……だがそれが今目の前にいる……だと……」


 ロジは骸骨騎士を見るとニヤリと笑う。


「そうか……貴様が魔帝十隴死団か……話には聞いて居たが本当にいるとはな……そんな奴らが俺に何のようだ……」

「人間と契約を結んだ悪魔がいる聞いて確かめに来た……」

「人間と契約を結び自体不思議な話じゃないはずだ」

「なら……その人間と共に何故生きる……我々悪魔は醜い人間を滅ぼすのを使命だ……契約もその人間の中身を見るために存在し、そして自分の身体として再生する為のものだ……」

「あぁ……そうかもしれないな‼︎」


 ロジが右手を爪を掻き立て、ジリジリと骸骨騎士に近づく。


「今の俺にはこの身体の中で色んな世界を見るのが結構楽しくてね‼︎それにこんな大物で出会えるなんて、やっぱり人間の身体って面白いよな‼︎」


 そしてロジは馬の目の前に立った瞬間、骸骨騎士目掛けて飛び掛かる。


「影山⁉︎何する気だ⁉︎」


 兵治の言葉も耳に入れず、爪を振りかざした。目の前でかつ、不意打ちの如く素早い攻撃が骸骨騎士の顔を襲った……だが


「ふっ……面白い奴よ」

「何っ⁉︎」


 ロジの悪魔の爪は骸骨騎士の顔1cmの距離を剣で受け止められた。全力で爪を押し込むロジとは真逆で骸骨騎士の剣は軽々とロジの攻撃を受け止め、剣は微動だにしない。


「くっ……何故だ‼︎何故攻撃が押し込めないんだ‼︎」


 兵治と清政はこの状況に唖然としていた。


「今の影山の攻撃、目に見えないくらいの素早さだった……だが骸骨騎士も影山の攻撃の速度を超える速度で防御したと言うのか……」

「あの骸骨野郎……何て余裕のある顔だ……まだかなりの力を隠し持ってるに違いない……それも底知れぬパワーを」


 ロジは1度攻撃をやめ、後ろに引いた。そして左手も悪魔の手になり、両手を右腰に寄せ、球体を握りこむように手を形取る。


「何をする気だ影山の奴……手の中に魔力が集まりだしている……」


 すると手の中に細かい黒い粒子が集まり始め、球体になり始めた。それと同時にロジの周りから強風が吹き荒れる。山にいる小鳥達も逃げ羽ばたく。その様子を山の頂上へと走っている美呼も目撃する。


「……雅斗……」


 美呼は更に足を早めて頂上へと向かう。

 ロジの球体は次第に手の中に収まらないほど大きくなり、膨張しそうな勢いになる。だが骸骨騎士は平然としている。兵治は必死にロジを止めようとする。


「やめろ影山‼︎そんな巨大な魔力をぶつけたらこの山ごと吹き飛んでしまうぞ‼︎」


 だがロジは耳を傾けずに、力をため続ける。


「ダメだ‼︎今の雅斗には何も聞こえない‼︎あいつの中の悪魔、ロジがその力を操っている……雅斗の心の奥に直接何かが届けば……」

「喰らえ‼︎魔箋烈龍弾(ませんれつりゅうだん)‼︎」


 そして十分に溜まった魔力の弾を、骸骨騎士に放とうと前に突き出した瞬間、


「雅斗……清政君……それに兵治君……」


 美呼が頂上に到達し、悪魔の力が宿った雅斗を見た。その表情はどこかしら怯えていた。怖いものを見るように……


「くっ……み、美呼……うっ……」

「雅斗……あれは何……」


 骸骨騎士を見る美呼の顔を見たロジは攻撃を辞め、雅斗の意識と声に戻った。だが雅斗は両手頭を抑え、両膝を地面につき悶える。


「うっ……うぅぅ……」


 すると骸骨騎士は不敵な笑いを起こす。


「ふっふ……この女……心の中に大きな迷いがある……貴様に対する迷いが……」


 骸骨騎士は美呼に向けて手を差し伸ばす。


「うっ……やめろ……美呼に手を……出すな‼︎」


 雅斗は力を振り絞り、刀を出して骸骨騎士に飛び掛かる。

 すると骸骨騎士が跨っている黒馬が大声で吠えた。


「ヒヒィィィン‼︎‼︎」

「ぐっ……⁉︎」


 馬の甲高い鳴き声と共に飛びかかった雅斗の動きが止まり、その態勢のまま地面に倒れた。


「雅斗‼︎」


 倒れた雅斗を見て、美呼は雅斗に駆け寄る。そして兵治と清政も雅斗の前に立ち、戦闘態勢に入る。


「……やるしかない……」

「貴様をぶっ飛ばす‼︎」


 2人が骸骨騎士に立ち向かおうとした時、骸骨騎士は左手を軽く前に出した。その瞬間2人は石像になったように動きが止まり、そのまま倒れた。


「兵治君⁉︎清政君⁉︎」

「お主幾度か悪魔を見ておるな……」

「そ……それが何が悪いの‼︎雅斗達も元に戻して‼︎」

「ふっ……変わった奴よ……」


 すると骸骨騎士は美呼の方へと右手を前に出した。そして倒れた雅斗を見ながら言う。


「悪魔の小僧よ……そんなにこの娘が大事なら守って見せよ……」

「……」


 手を前に突き出した瞬間、美呼は崩れ去るように倒れ、意識を失った。



 ーーーーーーーーーーーー


「……呼‼︎起き……美呼‼︎」


 誰かが私を呼ぶ声がする……この声は雅斗……なの?


 薄っすらとする意識の中、目を開けると雅斗が必死な顔で美呼を呼びかけていた。


「まさ……と……」

「美呼‼︎大丈夫か⁉︎何も起きなかったか⁉︎」

「清政君と兵治君は……?」

「あいつは……」


 雅斗が向けた目線の先には悔しがっている2人がいた。清政は木を殴り、自分の怒りをぶつけていた。


「クソっ‼︎手も足も出なかった‼︎無力だったあんな奴に……」


 兵治は両手膝を地面につけて真っ青な顔になっていた。


「あれが魔帝十隴死団の力……僕達が束に勝てない……」

「み、みんな……」

「ごめんな……美呼……」


 いきなり雅斗が深く頭を下げてきた。


「どうしたの急に⁉︎」

「お前にこの力を隠していた事だ……悪魔の力を……それに俺は悪魔と戦って殺しもした……」


 急に震えた声で謝り出す雅斗。だが美呼は静かに聞いていた。


「雅斗……」

「お前にまた何か起きるのが怖かった……学校の時みたいに美呼に危険が起きるのが嫌だった……」

「私もごめん……」

「な、何だ美呼⁉︎」


 急に深く顔を下げ、謝る美呼に今度は雅斗が驚く。


「私もあの時の学校で雅斗があの……悪魔の力?って力を使っている雅斗を見たの……目が赤く光っていてとても怖かった……」

「……」

「私も言うのが怖かった……雅斗が雅斗じゃ無くなって居なくなっちゃうと思って……」

「本当にごめん……美呼……」

「私こそ……ごめん……」


 2人は軽く抱き合った。だけど雅斗は力一杯美呼を抱きしめた。


「オホンっ‼︎感動的な場面で悪いけど、僕達がいる事忘れてない」

「そうゆうのは他所でやってくれないか⁉︎」


 兵治と清政が困り顔で雅斗達を見ていた。雅斗と美呼は赤面になり、すぐさま離れた。


「あっ……⁉︎居たの忘れてた……」

「2人ともいるならいると言ってよね‼︎ははは……うっ‼︎」


 突如美呼の右腕が光り始めた。


「な、何だ⁉︎」

「う……右腕が……疼く……」


 すると美呼の右腕に三十の漢字が浮き出て来た。これを見て兵治がまた真っ青な顔で驚いていた。


「これはまさか……死痕印(しこんいん)…」

「……死痕印?」


 この死痕印の正体……そして骸骨騎士の目的とは……一体……



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