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闇への誘い

 

「?」


  路地裏に足を踏みれると、違和感に気づく。先程まで雨が激しく降っていたのに、この路地裏内は雨が一切降っていない。おかしいと思い、すぐに後ろを振り向いたがそこは歩道ではなく壁になっていた。


「どうゆう事だ?俺は歩道から入ったはず……」

『待ってたぜ……ここに人間が来るのを……』


と路地裏から低い声が響き渡る。でも周りを見渡しても人影もなく、声の主は分からないままは俺は不安な気持ちでいっぱいになってきた。


「誰だ!」

『俺は死期が近い人間に見える悪霊だ……それもめちゃ強い』


冷静に自己紹介する悪魔であり、何故か自慢もしてきた。


「悪霊⁉︎姿を見せろ!」


  状況が理解出来ないし、悪霊だの死期が近いだの訳がわからない。


『俺は死んで肉体は消えてしまっているから姿は見えない。だけど話すことは出来るんだ……』


幽霊は姿は見えるが声は聞こえない。今回は悪霊の声は聞こえるが、姿は見えない。だんだん訳が分からなくなり、混乱して来た。


「つまり幽霊って事なのか」

『あぁ……簡単に言えばそうゆう事だ。それにしても俺と話しているのにあまり驚かないな……』

「昔から幽霊が見えるんだ俺……だけど声が聞こえた事はない。一つ聞くがなんでお前は死んだんだ?」

『うぅ……痛えとこを聞きやがる……まぁ簡単に言うと昔、俺は悪魔狩りの戦争でとある剣士に斬られた。でも俺は生きながらえたが、傷は深くそのまま死んでしまったのさ』


  色々と疑問に残る事が多くきき返そうとしたが、悪霊は話題を変えるように聞く。


『ところで俺の姿は見えるか?』

「……全然見えないよ。でも声は聞こえる。だから混乱してるんだよ。それに俺の死期が見えるってどうゆう意味だ?」

『そのままだ。近々お前は死ぬ』

「はぁ?」


  余りにハッキリ言うからびっくりする雅斗。そしてすぐさま聞き返す。


「何で死ぬんだ?」

『聞きたいか?』


悪霊のくせになぜか焦らして来る。予想とは全然違う感じだ。


「聞かせろ!」

『それは……』


悪霊が言おうとした瞬間、後ろから女の子の声が……


「雅斗!そこで何してんの〜」

「み、美呼⁉︎」


  声と共にびっくりして後ろを振り向くと壁だった場所が、歩道に戻っている。先程までのどんよりと空気は消えた。

  美呼が俺に向かって何か言っている。


「何、さっきから呆け〜っと突っ立ってんの?早く学校に行こう!ってずぶ濡れじゃない!どうしたの!」

「あっ……本当だ」


  路地裏にいた時は、雨が降っていなかったのに今は降っている。それに制服やカバンがずぶ濡れになっていて、悪霊の声は聞こえなくなっていた。魔界、悪魔狩りの剣士、悪魔狩り戦争、謎の事が多い事を喋っていたが、考えるのは後にして学校へと足を運ぶ事にした。


  時雨美呼(しぐれみこ)俺の幼馴染だ。昔からの仲だ。小学生の頃幽霊が見える事を言うとみんなバカにするが、美呼だけは信じてくれだ。


「私には見えるけどなぁ〜幽霊さんが、でどんな幽霊?」

「……」


  こんなちょっとおとぼけた性格にとても助けられた。それから少しずつ仲良くなっていった。それから中学校でも俺は美呼と一緒にいる事が多かった。そして美呼は頑張って勉強し、俺と同じ高校へ通う事が出来た。ポニーテールの髪型が特徴な女の子だ。


「何であんな所にいたの?また何か見えたの?」

「まぁそんな所だな……」

「ふ〜ん」


  悪霊の声が聞こえたなんて言っても多分、同じ返事をされただろう。でも一体何だったんだろうか?

  そう考えている内に学校へと到着した。結局服は濡れたまま学校に到着してしまった。高校に進学して友達は全くいない。俺は1人席に座る。美呼は女友達とも遊びながら俺の相手をしてくれている。俺は常に窓の外を眺めているだけだ。そうしていると心が安らぐ気がする。


「雅斗、近々宮下先生のお葬式があるけど、一緒に行く?」

「あぁ……もちろんだ」


  宮下先生……先ほども道路にいた先生。俺が入学して学校にクラスに馴染めなかった時も、悩みや趣味など色んな事を話してくれた。だけど先日、暴走族の車に轢かれて即死だった。それ以降俺の心に大きな穴が開いてしまった。それに加えて悪霊に出会うわ、とても頭が疲れた。今日も授業に集中出来ないだろう。そんな時は、授業をサボり屋上に行くが今日は雨が降っている為、体育倉庫のマットの上で寝る。

  授業が始まる前に美呼に見つかる前に教室を立ち去り、体育倉庫の行き、マットの上で頭に手を組み仰向けで寝た。美呼に見つかると耳を思いっきり引っ張られて教室に連れ戻さらて正座させられる。


「先生……」


 先生との思い出を考えてるといつの間にか眠りについていた。



  雅斗は霧が出ている湖の上に立っていた。足は水の上に付いているが何故か沈まない。そして遠くには山も見え、湖の外は木が生い茂っている。静かで何も音は聞こえない、不思議な場所だ。


「雅斗君……」

「⁉︎」


  後ろから優しい声が聞こえ、後ろを振り向くと宮下先生が湖の上にいた。


「先生……」

「雅斗君……僕の所へおいで……」


  だが違和感を感じる。無表情で、感情がなくまるで人形みたいだ。


「さぁ……来るんだ……こっちに……」

「宮下先生……いや、あんたはそんな荒い口調じゃないはすだ」「さぁ……さぁ……」

「お前は誰だ!!」


  戸惑う雅斗、そしてゆっくりと近づいて来る宮下先生。自分を呼んでいる事からあの悪霊の仕業だと冷静に推測する。


「悪霊!またお前か!」


  静かな空間に1つの大きな声が響き渡る。だがその瞬間、先生はその場から消えた。

  だが、いきなり背後から宮下先生が現れて首を両手で力強く握りしめる。必死に手を首から離そうと首から手を離そうとしたり、蹴ったりするが抵抗するが異常なほど強い力で握られ雅斗の力では外すことは出来ない。


「は、離せ……」

「……」


  宮下先生は無表情のまま、首を握りしめる。


「い、息が……」


  意識を無くなり、目をゆっくりと閉じた。


「うわっ!!!」


  目を開けると美呼がびっくりした顔で雅斗を見ていた。


「雅斗?だ、大丈夫?」

「はぁ……はぁ……夢……だったか……」

「びっくりしたわよ。それにすごい汗掻いてるわよ」


  俺は体から異常な量の汗を掻いていた。そして息も荒かった。


「み、美呼か」

「美呼か……じゃないわよ!何時間授業サボってたと思うの!」

「どんくらい寝てたんだ俺は」

「もう昼休みよ!どんだけ寝不足なのよ」

「す、すまない……」

「……って首どうしたの⁉︎赤くなってるわよ!」

「えっ?」


  美呼に廊下を手洗い場の鏡まで引っ張られ、鏡を見たら首全体が少し赤くなっている。何かに首を絞められたかのように。あの夢が関係しているのか……その事が雅斗の頭によぎり、ヒリヒリとした痛みがまだ残っていた。


「保健室行かなくて大丈夫?」

「なんとか大丈夫だ……それより、弁当を食わせてくれ……」

「じゃあ、教室戻ろっか」


  そして美呼と共に教室へと戻り弁当に思いっきり口の中に掻き込んだ。それと同時にさっきの夢の事を美呼に話した。


「宮下先生が夢の中に出てきて、それに首を絞めた。変な夢ね」

「首が赤くなった理由はそれかもしれない……あの時、本当に痛みを感じた」

「ちょっと気味が悪いわね……」

「……」


  美呼には朝の悪霊の事は言えなかった。昔から幽霊の事をよく言っていたが、今回のは流石に危険すぎる。そんな予感がした。

 話して美呼に何か起きたら、と考えるとご飯が喉を通らない。そして俺はご飯を無理やり食い教室を出て行く。


「どこ行くの?」

「ちょっと気になる事があって」

「待ってよ!授業は!」


  ぎこちない言い方で教室を後にする。だけど、美呼は何も言わなかった。俺は再び体育倉庫へと向かう途中廊下の窓から、校庭に人影が一瞬だけ見えた。


「まさか……」


  もう一度校庭を見たら、誰も居なくなっていた。やはり悪霊の仕業だ。奴は俺を殺すつもりなのか。結局俺は午後の授業もサボり、体育倉庫のマットの上で倒れた。でも寝たいという感情はなく、ただずっと寝転がりたかった。それにまた夢を見たらまた何かされるかもしれないと。

  すると体育倉庫の中でまた人影が見えた。


「⁉︎」


  見ると人影は消えていた。


「鍵を絞めたはずなのに……悪霊の仕業か……」


  寝ないと決めてたのに結局寝しまった。ぐっすりと寝てしまった。

  そして午後の授業を受けている美呼は雅斗が言っていた事を心配に思っている。昔から幽霊の話はよく聞いたけど、今回のはどうしたのかな。あんなに必死に言っていたし、首が赤かったのも何か……宮下先生がいなくなって寂しいのかな……と不安に思う美呼であった。

  不安な顔をして雨が降る外を眺める。今日も止まない雨が依然と降り注ぐ。


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