地獄の凶星三漢勝
静かな夜、誰1人歩いてなく住民は皆眠りについていた。だがそこに大きなエンジン音と排気ガスが吹き出し、1台の改造オートバイが街中を猛スピードで走り回る。
暴走族を待ってたのか、道の端に何台も待機していたパトカーも何台もサイレンを街中に響くほどの音量で鳴らし追いかけ始めた。パトカーはすぐさまバイクの後ろについた。
「そこのバイクに次ぐ!直ちに暴走行為をやめなさい!!さもないと……」
するとバイクは道の真ん中で急に止まり、パトカーも急ブレーキを掛け警察が何人も出て来た。
「もうすぐで応援のパトカーも来る!観念しろ!!」
警官は持っていたライトをつけバイクにライトを当てるとバイトに荒々しくとある四字熟語が書いてあった。
天下無双
「この文字……まさかお前は!!」
警官はライトを顔に当てようとした瞬間。
パリン!!
「うわっ⁉︎」
警官のライトが急に割れ腰を抜かした。そしてその男はバイクに乗り、何処かへと走って行った。
「まさか、今のバイク……浅桐……清政……」
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朝……雅斗は久しぶりの学校登校。晴天の中、美呼と共に学校へと向かう。
悪魔との戦いで教室は崩壊し、特別教室で授業する事になった。
「久しぶりの学校だね!」
「あぁ……生きてるって心地がするよ」
教室に到着すると、大勢の生徒が一気に近づいて来て壁に追いやられた。
「学校で何があったんだ⁉︎」
「爆弾魔って本当なの?」
色々と質問攻めに遭い戸惑う雅宗。困り果てる雅斗を見て、美呼が盾になるように現れる。
「質問はそこまで!雅斗はまだ退院したばっかりなんだから」
生徒達はそそくさと席へと戻って行った。そして美呼は雅斗を特別教室の1番後ろの窓際にある自分の席へと案内される。
(人気ものじゃんお前)
「……ん?」
雅斗の後ろにも席がひとつある。
「これ誰の机だ?」
「今日転校生か来るみたい」
チャイムがなり、全員席に着いた。そして先生が教室に入って来るが、廊下の窓には転校生と思われるシルエットが一目で分かる。
「今日は新しい仲間が増えるぞ!では入ってくれ!」
先生の高いテンションで入って来たのは……
「転校して来た神沼兵治です。よろしくお願いします」
「⁉︎」
落ち着いた表情と声で挨拶し、丁寧に深々と頭を下げたのは、数日前に戦った祓魔師の少年こと神沼兵治だった。まさかの事で雅斗もびっくりだ。
「雅斗どうした?」
「い、いや何でもありません……」
「兵治君、今言った雅斗という生徒の後ろの席に座ってくれないか」
「はい」
キリキリとした歩き方で、雅斗の後ろの席に座る。教室からは女子のヒソヒソ声がやらた目立つが雅斗はそれどころではない。
HRは終わり、多くの女子生徒は兵治の元に集まる。
「どこから来たの?」
「好きな食べ物は⁉︎」
「音楽とか好き?」
雅斗が退院初日の日なのに話題は全て兵治にもって行かれた。兵治は女子生徒の質問を華麗に答える。
「京都から来て、そばが好きかな。それに音楽は和楽器が好きで僕も少々横笛を吹けるくらいかな」
女子生徒の喜びの悲鳴が前の席にいる雅斗にストレス与える。美呼も苦笑いするだけだ。すると兵治は椅子から立ち上がり、女子達の中をくぐり向け雅斗の元に来る。
「雅斗君ちょっといいかな」
「あぁ……」
雅斗も椅子から立ち上がる。
「雅斗どこ行くの?もうすぐ授業よ!」
「大丈夫。すぐ戻って来るから」
兵治について行くように雅斗は廊下を出る。美呼が兵治を見て不思議に思う。
「あの人何処かで見たような……」
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屋上……
屋上に来て早速、雅斗が質問をする。
「お前なんでここに来たんだ!俺を倒しにきたのか⁉︎」
「姉さんに言われた。もっと強くなれとだからここに来た」
「どうゆう事だよ⁉︎」
「お前と居れば何か強くなるコツがあると思ってな……」
「はぁ……」
「早速だが今日の放課後空いてるかい?」
「いや、今日はダメだ」
声が低くなる雅斗。疑問に思った兵治は質問する
「何でだ?」
「私情でな」
「まっ……いいさ。これからよろしくね雅斗君
そういやらしく言うと兵治は教室へと戻っていった。
そして1日が終わった。帰りのチャイムがなり、みんな帰る準備をしていたり、部活に向かう者いる。だが兵次の周りには多くの女子生徒が群がっている。雅宗はその間校門を抜け、美呼にも何も言わずにとある場所へと向かった。ロジも何処に行くんだと聞く。
「この付近で、暴走族の場所はあそこだけだ!先生の仇を取る!」
雅斗は1人で暴走族 天下無双 の文字を掲げる者を探しに、山の麓にある廃工場に着く。窓は無残な割れ、壁にはスプレーで落書きされ、天下無双と書かれた旗が工場のてっぺんに吊るされている。
「ここか……」
歩き出そうとした瞬間……
「なんでお前がいるんだ」
兵治が後ろからついて来ていたのだ。
「ちっ……バレたか」
「これは俺の問題だ。お前には手出しさせんぞ」
「もとより手出しはしない気さ」
すると廃工場の屋上から無数のバイクのエンジン音が鳴り響く。
「なんだ?」
そしてバイクは走り出し、屋上から釘バットや鉄パイプを持った暴走族が乗る何十台ものバイクが雅斗と兵治の元に降り注ぐ。
「に、にげろぉぉ!」
バイクは綺麗に着地し、雅斗達を素早く囲んだ。そして暴走族の1人が鉄パイプを雅斗達に突き出し、大声で言い放つ。
「お前ら!俺達の島に何の用だ!」
「俺は薊清政に用があるんだ!!」
すると暴走族は一斉に笑い始めた。
「ふはははは!!!お前らみたいな学生のお坊っちゃんが清政さんに!こりゃ面白い!!」
雅斗と兵治はお互いに背を向けあって相手の様子を伺っている。
「ふざけやがって!」
「かたずけようならすぐ出来るが、上を見ろ」
兵治が屋上を指すともう1人金髪の長髪暴走族がいた。バイクには天下無双の文字が書いてある。
「俺が薊清政だ!!」
バイクと共に屋上から飛び降りた。綺麗に着地し、バイクを降り雅斗の元に近づく。
「お前の名はなんだ」
「俺は影山雅斗!」
「雅斗か……それで何の用だ?」
「お前は俺の先生を轢き殺した!!その件で来た!」
そう言われると清政は頭を掻き、考え込む。
「俺じゃないな」
「何⁉︎」
清政が犯人だと思っていた雅斗は、俺じゃないなと言われ更に問い詰める。
「お前が殺ったと聞いたんだ!」
「まっ……何がともあれ聞きたい事があるなら、俺と勝負だ!そしたら俺も正直に話そう。真犯人がこの中にいるかもしれないしな」
「あぁ……わかった」
「河川敷に行くぞ!乗れ!」
雅斗は清政のバイクに乗り、兵治も別の暴走族のバイクに乗り清見橋の下に雅斗と清政の2人が立っている。他の暴走族は橋の上や土手の上で応援している。兵治も河川敷で雅斗を見てる。
「始めるぞ!天下無双流決闘法!凶星三漢勝勝負は3本勝負!まずは心闘四煉打だ!!用意しろ!!」
清政の声につられるように橋の上にいる暴走族達が、手際よく橋の両脇の上から5つの武器を紐にくくって吊るした。
「お互いに吊るされている武器は4つ。金属バット、釘バット、鉄パイプ、木刀だ。お互いはその武器を使い戦う。その武器を落としたり、壊れたりしたらその武器は使用不可能となる。最終的に4つ目の武器が使用不可能になった方が負けとなる。もちろんこの橋の下からは出てはダメだ」
「分かった……」
「もし逃げたらあいつがお前をボコボコにするだろう」
雅斗は制服の上着を脱ぎ捨て、真剣な目になり勝負の態勢になる。清政も余裕の表情で雅斗の様子を伺っている。
「ふっ……なら行くぞ!凶星三漢勝!心闘四煉打!!開始だ!!」




