魔王だって楽じゃない
「はい?なんですって?」
俺は思わずそう言った
暗い部屋で椅子に腰掛けている神のようなものに言われたことに反応してしまった
俺は山田コウスケ
名前からして普通の高校生だ
ただ俺はゲーマーでネットでは少し有名ではある
だがそれだけしか才能がない
運動能力学年最下位
テストすこしできるだけ
そんななんでもない俺がこんな状態になっているのはついさっきのことである
秋葉原のゲーム屋
俺はふつう外にあまりでないのだが今日は新作のゲームを買いに列に並んでいた
しかし売り切れてしまって不機嫌になった俺はゲーム屋の中をうろうろしていた
気分転換に面白そうな中古のゲームを探していたのだ
特によさそうなゲームを二三個見つけてはかごにいれた
そこで特に目を引いたのは
『バーチャルリアルタイムズ』というネーミングセンスの欠片もないゲームだった
題名はつまんないものの説明書きを読むと面白そうだと思った
『本当にそこにいるようなドキドキとわくわくがあり時間設定をするとその時間通りにゲームの時も動きます』とかかれていた
そんなゲーム見たことがなかった
そうして『バーチャルリアルタイムズ』をやろうとカセットをいれた瞬間
目の前には神?のようなやつが現れた
そいつの格好は布一枚で体を覆っていて男のようなみためだった
羽と天使の輪がなければ
「ようこそ、山田コウスケさん
早速ですがあなたに魔王になっていただきたい」
と言ってきたのだ
色んなゲームをやって来た俺は転生系のゲームも多少やっていた
だが魔王になれなんて言われたことがないし聞いたこともなかった
きっと勇者と魔王をいい間違ったのだろうと思い
「はい?なんですって?」と聞いたが返ってきた答えは
「魔王です、魔王になっていただきたいんです」
なに言ってんだこいつ…と思ったが口に出しては言わないでおこう
「最近異世界の人間が力をつけてきまして、これだと地球とおんなじ環境汚染につながり絶滅の一途を辿るはめになります
それはどうしても避けたいんです」
そんなの知らねーよなんで俺なんだししかも人間が人間を殺さないといけないなんてやだし厄介ごとを頼まれたもんだと俺はあんなちっぽけなゲームを買ったのを悔やんだ
「とりあえず、魔王になっても人を殺せなんて言いませんのでどうかお願いします」
こいつ心読んでんのか?
顔に出てたか?
どっちでもいいがすこし聞きたいことがある
「僕に利益はあるんですか?」
そう人を殺すのはいやだが利益がないと動きたくないものだ
「まあー勿論、現実世界に戻ったら大金持ちになれますよ?悪くない話でしょ?」
「マジスッか?!」
俺は大金持ちという魅力的な言葉にひかれてしまった
「はい、家中札束だらけになってますよ」
「この世界にいた時間は現実でも反映されてるんですか?」
「いいえ、反映されませんよこのゲームの中の時間はすべて現実では1分くらいのことですよ」
「そうですか、ならやります!」
俺は大半利益を重視して神の申し出を快く受けた
「ならば契約成立ですね
あっ、ちなみに向こうの世界で死ぬと二度とこちらの世界には戻れませんので気を付けてください」
「えぇぇぇ!?」
なに今ごろ言ってんだ!くそ神!!
「ちょっとまっ」
そして俺は異世界にいくはめになった