ループ
ずきんずきんと音がして、僕の頭のてっぺんを殴られたような衝撃が走った。
背中にひやりとした汗が伝う。
「―――――」
ああ、あの時きみは何と言っていたのだろうか。
一緒に歩いた小道も、一緒に見た映画も、一緒に食べた物も、何もかも忘れたものなど何一つないのに、あの時の言葉だけが思い出そうとすると靄がかかったように霧消してしまうのだ。
ふいに目に留まったのは真っ赤なルビー。
真っ赤な、ルビー。
僕の指に、不自然なほどきらきらと輝くその石は確かに僕がきみにあげたものだった。
僕が、きみに。
そういえば「きみ」って、誰なのだろうか。
目の色は?髪の色は?長さは?声の調子は?身長は?どんな顔をしていた?
鏡に映るのは真っ赤なルージュ。
「わたしはお前だよ」
何度も何度も「きみ」の言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡る。
「―――――」
いま、僕はなにをしていたっけ?
何もしてない。そうだ。僕は今日もまた現実から目を背ける。
久々に小説を書いたのでまとまりの出ない文章になってしまいました。