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俺よさらば

 そこは日本の、東京の、ごく普通の、どこにでもある高校の、よくある教室で、そこにいる平凡な、そのへんにいる男子生徒だったのが俺だ。でもまあ、普通と違うところもあったのが俺だが、俺は小さいときから脳に悪いところがあった。簡単に言えば突然スイッチが切れちまうって障害だ。起きているときに突然プツリと意識がなくなるってことで、親からしたら目が離せない感じだっただろうさ。それでも俺は一人前に生きているし、別にそれを障害だなんて思ってなかった。寝不足のやつがどこでもかまわず爆睡しはじめるのと同じことさ。そういうことってよくあるだろう?

 だから俺はよくいる平凡な高校男子なんだ。ってことにしといてくれ。

 でも、おかしなことってやつは突然起きるもんさ。「悲劇はいつも幸福の最中に訪れる」って言葉があるけど、それとはベクトルの違う話でさ、怪奇現象ってやつは嵐みたいに突然起きる。これはマジな話だ。



 俺は退屈な国語の授業を受けてた。教師は中二病をこじらせた俺のことが嫌いだったから、俺の目を見ることもないだろうし、俺のことなんか気にしてないだろうから、俺としちゃラッキーな話だった。でもそれが退屈な原因さ。人間が退屈を感じない一番の方法は? それは緊張することだ。緊張してれば退屈なんて思わない。もちろんいつもびくびくしてろってことじゃないさ。適度な緊張ってやつが脳には一番いいらしいって話をどっかで聞いた。まあそれはいいんだけど、俺が気の遠くなるような時間の中で時計の秒針を追ってたとき、突然意識が飛んだんだ。意識が飛んだら意識がないんだから記憶がないはずだって? だから正確に言うと、つまりは意識が飛んだ瞬間を感じだってことさ。プツリと切れた意識の、そのプツリの瞬間を俺は覚えてる。

 そして、それが俺の退屈な生活の最後だったってことだ。

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