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奇人変人カニバリズム  作者: カーニバル
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ちょっとグロいかもしれません。気を付けてください。


僕、橋田柳(はしだやなぎ)は、自らを『カルバ』と名乗る男と行動を共にしていた。僕とカルバは付き合いが長いわけでもなく、行動を共にしてからまだ3時間くらいしか経っていなかった。しかし、この3時間の短い時間だけでも、彼を『奇怪な男』と呼ぶには十分な時間だった。


時刻は今から4時間前の午後2時まで遡る。


この地方に旅行に訪れていた僕は、少し遅めの昼食を取ろうと思い街を探索していた。

旅行の醍醐味は、その地方でしか食べることができないものを食べることだと思っていたので、珍しそうな店を探して歩いていた。

今訪れている街は、都会の中心部からは離れており、都会の喧騒とは全くの無縁な山中の静かで小さな街だった。いくつか飲食店は見当たるものの、そば屋や定食屋といったありきたりな店しかなかった。

やはりもう少し山を抜けてから昼食を取ろうかと考え始めた時、ふと煙の臭いが鼻をついた。空腹を感じ始めていた僕のからだは、嗅覚がいつもよりも鋭くなっていた。今思うと、その敏感な嗅覚がなければ平和な生活を送れていたのにと後悔をしたくなる。

もしかしたら炭火で何かを焼いている臭いかとも思い、敏感になっていた嗅覚が捉えていた臭いの正体を確かめるべく、その臭いのほうへと足を向けた。

煙の臭いが近づいてくるにしたがって、目の前に大きな煙突が見え始めた。どうやら炭火などではなく、その煙突から出てくる煙が臭いの正体だったらしい。

しかし『こんなところに煙突?』と思った僕は、好奇心から今度は何の煙突かを確認すべくそちらへと足を向けた。

その煙突は一件の家から伸びていた。近くで見ると、普通の三角屋根の一軒家から伸びている煙突にしては大きすぎる煙突だった。だいたい20メートルぐらいはありそうだった。田舎ならではの仕様なのだろうかと思った。

その家の玄関をよく見ると、『お肉食べれます』という看板が見えた。どうやら飲食店だったらしい。

ここにきて自分の空腹を思い出した僕は、吸い込まれるようにその家へと入っていった。

「ごめんくださーい」

スライド式の入口を開くと、ドアに付いていた鐘がカランカランと音を鳴らした。

その音に反応した店主と思しき青年が奥から顔をのぞかせた。

「いらっしゃい。お客さんですか?」

「あ、はい。大丈夫でしたか?」

もしかして営業時間外だったのかと訪ねてみると、どうやら予約制の店だったらしい。ならば違う店を探そうと思った。

「お客さん、待ってください。予約制なのは、肉の準備は予約が入ってから用意するからなんです。でも今日はたまたまいい肉が手に入ったんで、料理をご馳走できますよ」

ラッキーだった。隠れ家的な店を見つけることが出来て、しかも予約制にも関わらず、予約をせずに食べられるという。店主の話だと、ここで出される肉は普段市場に上がらない肉ばかりだそうで、日本全国を探してもここぐらいしか提供できないものらしかった。少し値段は張るものの、ここまで来て引き返すわけにはいかなかった。旅行で食費がかさむのはいつものことだったから、問題はない。今の所持金は、一流のホテルのフルコースを食べても、おつりがくるぐらいは持っていた。今回の旅のメインはここに決めた。

店主が厨房でジュージューと肉を焼く音が聞こえてくる。その音で、僕の胃袋からはグルルルと唸り声が聞こえていた。

「お待たせしました。当店自慢の特製タレのかかったステーキでございます」

そう言って、僕の目の前に少し太めの骨がついたまま輪切りにされた、珍しげなステーキがでてきた。

普通ステーキと言えば、骨が綺麗に取ってあるか、食べやすいような位置に骨が付いているものであるが、このステーキは骨が真ん中にあってその周りに肉が付いている。しかも輪切りときたもんだ。

「珍しい切り方ですね」

思わず店主に聞いた。

「うちではこの切り方が一番美味しいと思ってるんですけどね。まぁごゆっくりどうぞ」

いただきますと言ってから肉にナイフを入れていく。

見た目以上に柔らかく、あまり力を入れなくてもナイフが刺さっていく。骨にもくっついているが、意外にも簡単に剥がれて、サクサクと一口サイズにすることができた。

そのままフォークを使って口へと運ぶ。口に入れた瞬間、普段食べている肉とは違う味が口の中に広がった。これが高級な肉なのか。

二口目、三口目と食べていくうちに、なんの肉なのかという疑問が生まれてきた。

豚にしてはやわらかすぎるし、鳥にしては脂身が多過ぎる。じゃあ牛?

「この肉は何の肉なんですか?」

「これですか? ・・・ここのことを広めないのであれば教えてもよろしいですが」

どういうことだろうと首をかしげながらも、特に広める気は無かったので、店主に広めないことを約束した。


「これはですね、人の肉なんです」


ここまで読んでいただきありがとうございます。

よろしければ感想とか書いていただけるとカニバリズムに目覚めるかもしれません。


今までの作風とは全然違うので気を付けてください。

次回はもう少し具体的な話が出てきます。

更新ペースなんですが、毎日更新している別の作品と並行して進めて行くので、多分一週間に2本ぐらいが限界かもしれません。

まぁ気長に呼んでいただけると幸いです。


では次回もお楽しみに。

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