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長い一日

一話の続きです。

口開けから、一時間。


開店当初からの常連の方たちが、自分たちの時間をそれぞれに楽しんでいたころ。


突然、店の扉が勢いよく開かれた。


店にいる全員の視線を浴びて、固まってしまった中年の男性。




初めての顔に皆からの視線が外れない。




バーテンダーが声をかけたが聞こえないようだ。



あのう、っと二言目をかけた時にようやく気付き、男性がお騒がせしましたとばかりに、お辞儀をして席に着く。



ご注文は?と声をかけると、カウンターを見回し、そして、5分ほど経った頃、お目当てのお酒を見つけたらしく注文してくる。


メタクサをダブルのロックで。あと、炭酸を1杯つけてください。



かしこまりました。



注文が決まり、周囲の目も男性から外れ、皆、自分の時間を取り戻した。






メタクサが出てきたので、男性は少しずつ味を確かめるように飲んでいく。





この店は、カウンターがL字型に配置されており、席数は16。




カウンターの一番奥に陣取っている見た目は30前後の年中トレンチコートを羽織った男性が、


今日3杯目の、酒を頼んできた。


ジン&ビターを1つ。ジンはプリマスで。


毎週のように現れる男性は、謎が多いが、ここでは暗黙の了解で誰も素性を聞かない。


ただ、1つわかっていることは、ジンが好きだとゆうことだけ。


もう、3年目を迎えるお店だが、この男性は、ジン以外を口にしない。








ジン&ビターを出した頃合いを見計らってか、2つ隣のL字型のカウンターの角という、場所が好きな女性が注文をしてきた。




えっと、おなかが空いたので、ジャンバラヤとお酒はいつものスピリタスをダブルのロックで。




すると、メタクサを飲んでいた男性が、少し驚いたような顔して、女性をちらっと見た。




しかし、雰囲気を読んだのか、すぐに自分の世界へ戻る。




その態度を、感じ取ったのか、バーテンダーはかしこまりましたと注文をコンピュータのタッチパネルに打ち込んでいく。




この階には厨房がないのだ。


1つ上の階に広い厨房があった。


注文が表示され、料理人は手際よく、調理していく。


10分後、料理を乗せたエレベータのランプが点く。


女性が待ちかねたとばかりに、手にしてたグラスを置いた。


美味しそうな匂いが一瞬でカウンターを包む。






匂いに誘われて、メタクサの男性がメニューをくださいと小さな声で話した。


ここにはメニューが1冊しかないため、カウンターにはなかったのだ。


男性は食事のメニューの多さに驚き、あれこれと悩んだ末に、骨付きのから揚げとオーブンポテトを注文した。


バーテンダーが20分ほどかかりますがよろしいですか?と尋ね、男性は了承した。






コートの男性が時計をちらりと見て、最後の注文をしてきた。


タンカレーのダブルをロックで。


バーテンダーはいつもの注文通り、冷凍庫からロックグラスと丸い氷とタンカレーの瓶を出してくる。


時間はいつも通りの22時。定刻であった。






そして食事を終え、お酒を楽しんだ女性が、瞳で清算をしてきたので、レジに移動する。


そして、今日も楽しい時間が過ごせたわと、一言言ってまた来週ねと店を出ていく。








メタクサの男性も4杯目のロックと食事満足したのか、ロックグラスを片手に笑みを浮かべていた。






23時、コートの男性が帰宅する時間だ。席を立とうとしたとき、扉が開いた。





食事に行っていたOLと男性が戻ってきた。


バーテンダーは目でコートの男性に話しかけ、しばらくお待ちをと。


男性も座り直し、バーテンダーに合図する。






バーテンダーが扉のほうを向き、おかえりなさいませと声をかけた。


その声を聞いて、2人が一番手前の席に並んで座った。


レストランでの食事の味が濃かったのでと、2人で、ミントジュレプを頼んできた。


かしこまりました。


鮮やかな手さばきで、2杯のカクテルを作る。






そして、何事もなかったようにコートの男に目をやり、レジに立つ。


男はゆっくりと、席から移動して静かに店を後にした。




カップルが小声で話しながら、カクテルを飲んでいく。






そして、そろそろ土曜日になるとき、低く小さな声で、来店初日の男性が、会計をと。


そして、スーズありますか?と聞いてきたので。もちろんですと答えると、ではまた来ますと。


店の営業時間の書かれた名刺と取っていく。








そして0時もまわりカップルは、シングルトンとロックで楽しみながら時間を忘れて、話していた。




そして、深夜の2時過ぎ、静かに扉を開けて初老の老人が入ってきた。



一言、おはようとバーテンダーに声をかけて、席に着いた。


カウンターのほぼ真ん中に位置するいつもの指定席である。


そして、目でいつものと、注文し、バーテンダーも静かにカクテルを作る。


老人は、ラスティネイルしか飲まない。


何回目かの来店でそう告げると、老人はバーの雰囲気と溶け込むように、グラスを手に飲んでいく。








3時を回り店も営業時間を半分終えて、ほっとした頃。





話の尽きなかったカップルがギネスを注文してきた。


最後かなと思いつつグラスを出す。


喉の渇きを潤すように飲み干し、ありがとうございましたと一言。



楽しい記念日になりました。また来ますと2人から言われた。


バーテンダーは優しい笑顔を浮かべ、お待ちしておりますと言った。







店には恰幅のいい和装の老人が残り、時間だけが過ぎていく。


グラスが空になると、同じものを作り、それが5回続くと清算の合図なのだ。


いつも同じ量しか飲まないのだ。


自分の時間を過ごして満足したのか、今日は早い目に5杯を飲み干す。



朝が白み始めた5時過ぎ、今日は終わりかな?と思ったバーテンダーは、食事を休憩を取っていた。



料理人と2人でバーカウンターの奥にあるスペースで休憩を取る。


夏から秋のこの時期は、フードのメニューがあまり出ない。


しかし、材料を無駄にも出来ないので、2人の知り合いの店に材料を安価で持っていく。






もう少し気温が下がれば、店自体も忙しくなるだろうと毎年のことを思い、2人で話していたのだった。






午前9時を回り、お客様が来ないと2人で判断して、CLOZEの札を掛ける。





仕入れた食材整理や掃除をして、気がついたら12時を回っていた。



食材を2人で抱えて、店にシャッターを下ろして、店を後にする。



初秋の一日が終わり、知り合いの店でランチを食べて、2人はお互いの生活に戻っていく。



また来週なと声を掛け合って・・・・・






日常に流される一週間を切った。
































2人の普段の仕事はおいおい書いていきます。

関係はお互いに五分と五分のようです。

では、またの更新を待ってください。

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