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プロローグ 義姉から妹に届いた手紙

この物語は時代劇にあまり馴染みがない方でもお読みいただけるよう、『越前守えちぜんのかみ』『左衛門尉さえもんのじょう』などの受領名ずりょうめいではなく教科書などに記載される名称で呼んでおります。


違和感を感じる方もおられると思いますがご了承ください。


年齢も生年から計算した実年齢で書いているため、数え年で書かれた書物と違いがあると思いますが、そちらもお目こぼしくださいますようお願い申し上げます。

 天保10(1839)年、韮山に居る義姉から手紙が届いた。


 渡辺崋山(わたなべかざん)という田原藩(愛知県渥美(あつみ)半島)の家老が『蘭学者達の元締め』として蘭学を嫌う者達から(おとしい)れられ、ほぼ無実なのに牢屋に繋がれてしまったらしい。


 兄であり義姉の夫である韮山代官・江川太郎左衛門(えがわたろうざえもん)英龍(ひでたつ)も関係者として厳しい取り調べを受け、老中・水野忠邦(みずのただくに)様の取りなしがなければ危ないところだったと、12代将軍・家慶(いえよし)様お付きの御小姓(おこしょう)で兄の友人でもあられる権太泰従(ごんたやすより)様から先日聞かされたところだった。


 地獄の沙汰も金次第で、牢屋の番人に賄賂を渡せば牢屋での生活も少しばかり良くなるらしい。渡辺崋山殿を師と仰ぐ兄は何とか金銭援助をしたいが、多額の借金を抱える我が家の懐事情では難しい。


 健気な義姉は、自分の嫁入り道具などの私財を売って崋山殿への援助にしたいと考えているらしく、大奥に勤める私の伝手(つて)で良い買い取り先を紹介して欲しいと(つづ)られていた。


「義姉上様、申し訳ありません…。」


 義姉・(えつ)様は我が江川家がかつて主君と仰いだ北条早雲(ほうじょうそううん)公の流れを汲む高位旗本・北条氏征(うじまさ)様の娘である。

 人にかしずかれて大切に育てられた姫君であったが、借金を抱える我が家に嫁いでからは下女に任せるはずの料理や掃除も担っている。

 一方、そんな貧乏旗本の妹に過ぎない私は、絢爛豪華なここ大奥で将軍世子(せいし)(世継ぎ)・家祥(いえさち)(後の家定(いえさだ))様の御簾中(ごれんじゅう)(将軍世子の正室)であられる鷹司任子(たかつかさあつこ)様に仕える中臈(ちゅうろう)格として華やかな衣装を(まと)い不自由なく暮らしている。


 義姉の願いは承ったが、この国の未来を憂慮(ゆうりょ)して清貧に生きている兄夫婦のために、私にも何かできることはないだろうか…。


 

ナレーション…英龍の妹の『たい』

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