1. 関わることのなかった二人
今回はいつものようにAIの助けなしで自力で作成しました。間違いや誤字、文法等の間違いがあるかもしれません。どうか、よろしくお願いします。誤字報告などは、遠慮なく!
教室の窓をピンポイントで狙い打つかのように、春の太陽が差し込んでいた。まだ電気のついていない室内を、その光が白く浮かび上がらせる。 一番窓際の、前から三番目。蟹谷翼はそこに座り、春のわずかな冷気など一切感じさせないほど、温かな陽光に包まれていた。
私立南石川台高校二年生、蟹谷翼。彼はホームルームが始まるおよそ十五分前に着席し、一時間目の授業に使う教材を静かに眺めるのを日課にしている。これといって勉強が得意なわけではない。ただ、彼にはそれ以外にやるべきことがなかった。
整った顔立ちに、黒髪のセンター分け。 黙って座っている姿を見れば、誰もが『スポーツに打ち込み、社交的で、成績も優秀な男子』という印象を抱くだろう。しかし、現実はその真逆であった。 スポーツは不得手。女子とのコミュニケーション能力は皆無。成績にいたっては、驚くほど平均的。周囲が彼につけたあだ名は、『陽キャの見た目をした陰キャ』。翼は、自分の外見が作り出す「理想の虚像」と、冴えない自分自身との違いを、常に冷めた目で見つめていた。
「お、翼おはよ〜」
のんびりした声とともに、翼の席に一人の少年が近づいてきた。 黒髪に丸眼鏡。少しぽっちゃりした体型のその少年は、自他共に認める「オタク」の緑川忍だ。このクラス、いやこの学校において、翼が唯一友達と呼べる存在である。
「忍、おはよう。昨日はレベル上げ手伝ってくれてありがとな」
「ああ気にすんな。俺も楽しかったし。……てか、それ社会の予習? 偉っ!」
「別に。こういうことやっても成績上がってないしな。ただの暇つぶしだよ。」
「そうか……まあ頑張れよ。」
忍はひらひらと手を振り、廊下側の一番前の席へと戻っていった。 翼の席からは、教室の対角線上。その距離は、今の翼には酷く遠く感じられた。周囲では女子たちの談笑が始まっている。その輪に割って入る術を、彼は持ち合わせていない。 翼は再び教科書に視線を落とし、一人、静かな孤独の中に沈んでいった。
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同じころ。 大田区最難関の女子高『都立東池上女子高等学校』では、谷川すみれが教室のカーテンを開けていた。 基本、一番乗りで登校する彼女にとって、教室に朝の光を招き入れるのは、もはや神聖な儀式のようなものだった。
「おっはよ〜。えーん、また負けちゃった〜!」
嘆き声を上げながら入ってきたのは、友人の川口玲奈だ。最近、彼女たちはどちらが早く登校できるかを競い合っていた。
「川口さん、おはよう。今日の校庭の桜、ちょうど満開で綺麗よ。」
「あー! そういう優等生っぽい堅苦しいのなし! 昨日言った通り、国語の漢詩教えてよ。全くわかんないんだから〜!」
「ふふ、いいわよ。宿題が分からないだけでしょ? でも無理もないわ。この学校、たまに大学レベルの問題を混ぜてくるものね。」
談笑する二人のもとへ、次々と他の生徒たちが集まってくる。
「谷川さんおはようございます! 昨日教えてもらった方法でやったら、少し球技が上手くなった気がします!」
声をかけてきたのは大江亜由美。(おおえ あゆみ)彼女もまた、すみれを慕う友人の一人だ。
谷川すみれは、この『大田区の学習院』と称される名門校に、首席で入学した。 一年経った今もその座は揺るがず、スポーツも万能、友人関係も良好。次期生徒会長候補として、生徒からも教師からも絶大な期待を寄せられる、完全無欠の存在だった。
私立校の隅で息を潜める蟹谷翼と、名門女子高の象徴である谷川すみれ。 接点などあるはずもなく、住む世界すら違っていた二人の運命。 それが、この日の放課後――唐突な出来事によって、強引に結びつけられることを、この時の二人はまだ知る由もなかった。
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