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おかえり

「お連れしました。主。」

死神は頭を下げ、主と呼ばれているヒトに敬意を示している。

「ようやく来たね。ヒバナ。初めまして、私は黄泉の世界を管理している黄泉神黄泉神(よもつかみ)。」

彼…?はとても優しそうな顔をしているが神としての貫禄は五感、全てを通して伝わってくる。

「君は黄泉戸喫をしているし、特に罪を犯していないから…天国でいいんだけど。実はちょっと問題が起きてね。見てもらったら早いかな。」

そういうと奥から鏡を持った死神が現れた。鏡面が揺らいだと思うと、映像が映り、ナギサとクロが映し出された。映し出された二人はナギサの身体の横で唖然としていた。心肺停止に陥り、体に戻れなくなってしまっていた。

「もしかして…!」

驚愕し、不安の声を溢すと神は答えた。

「間に合わなかったんだ。彼女は生への執着が薄いままこちらに来てしまい普通の人間より時間が短かったんだ。」

このままではナギサは死んでしまう。何か手はないのか。二度も短期間に我が子を失う悲しみを両親に背負わせるわけにはいかない。

「お願いします。妹を助けて下さい。妹はまだ死ぬ運命ではないんでしょう!!」

涙を流しながら懇願すると黄泉神は答えた。

「…実は今回はこちらに落ち度があるんだ。八百万の神が日本にはいるんだが、今回は運命の神の事故で誤って柵が外れてしまったんだ。だが、無条件で生き返すことが厳しい。彼女がもっと生きたいと最初から願っていれば戻れていたんだ。」

「その条件は何ですか。」

「話が早くて助かるよ。君の転生する権利と引き換えに妹さんを戻す。人には転生を繰り返す権利がある。その権利を妹さんの今世の寿命として渡すんだ。」

「わかりました。やってください。」

二つ返事で承諾した私を黄泉神は驚いてみていたが、さすが姉は強いね。そう言い残し私を祭壇の前に案内した。

「それじゃ、ここに君の手をかざして。」

目の前に用意された盃に手をかざすとぽたぽたと血が垂れていき盃を満たした。そしてその盃を黄泉神が飲み干し、祭壇の前にいき置かれている小さな鳥居に吹きかけると風が吹き込んだ。そしてゆっくりこちらを向きこれでおわりだよ。そういう黄泉神の顔は申し訳さなでいっぱいだった。

「私はこれで消滅とか…ずっと現世を彷徨うとかですかね?」

そう問いかけると黄泉神は答えた。

「その件なんだけどね…今回は異例のことかつこちらに非があるから君さえよかったら何だけど、死神にならないかい?」

「死神に??」

「本来、死神は黄泉の住人、現世のものはなれないんだ。今回はお詫びとしてって感じだね。君が望まないなら残るは現世を彷徨うか、消滅かだね。」

「私も誰かを救いたいです。後悔を少しでも減らすお手伝いがしたいです。」

「君はいい目をするね。それじゃあもう一度手を貸してくれるかい?」

そういわれ手を黄泉神に伸ばすと小さく呪文を呟き、腕に蛇の模様が刻まれた。

「よし。これで君は今から死神だ。使い魔は蛇のようだね。名前を呼んでご覧。名前は君が決めるんだ。」

名前…蛇。何がいいかな。クロちゃんみたいに賢く優しい子。誰かを癒す存在に…

「…ツキ」

呟くと眩い光に包まれたと思ったら目の前には真っ黒な体に黄色く輝く瞳を持つ蛇が現れた。

「はじめまして。我が主。ツキという名の元、全身全霊をかけて主にお使いします。」

クロちゃんとは違った雰囲気で驚いたが、優しい声をしていて気持ちが落ち着いていく。

黄泉神は妹さんの様子を見てみよといい先ほどの鏡を見せてくれた。鏡を覗き込むとナギサは無事身体に戻り、クロも安心してその場から離れていた。ナギサが身体に戻ってすぐに心肺が再開し、目を覚ました。医者も奇跡だと驚愕しており、両親は涙を流して喜んでいた。ナギサも安堵していたが、どこか悲しげだった。すると黄泉神は察したかのように呟いた。

「この子…きっと気づいてしまったんだね。ヒバナ、君が何かを引き換えに自分を助けたのだと。聡い子だ。」

ナギサが私が犠牲になったと思って日々を罪悪感で過ごすのかと思うといても経ってもいられなくなった。気にしなくていい、そう伝える手段はないのかと考えたとき思い出した。マスターが助けてくれた時、クロちゃんを通して現世の母に想いを伝えれたこと。私にもできるのではと思い、ツキの方を見た。

「ツキ、現世に行ってナギサに私の想いを伝えて。」

「かしこまりました。お任せを。」

ツキはそういうと何か言葉を紡ぎ、ゲートのようなものを開き現世へと向かっていった。

「教えていないのに…君とその使い魔はすごいね。普通、習得するのに時間がかかるのに…君の妹さんを想う気持ちが強い故かな?」

そんな話をしているとツキの声が頭に響いた。

「到着しました。お繋ぎしてよろしいですか?」

「お願い。」

目を閉じるとツキが繋いでくれた寝ているナギサの意識の中に入れた。


「お姉ちゃん…!ごめんなさい。私のせいできっとお姉ちゃんが…!」

「よく聞いて。私は死神として色んな人を救うことにしたの。ナギサは何も悪くないよ。だから何も後悔しないで生きなさい。」

「うん…!ありがとう。お姉ちゃん。」

「私の仏壇にお菓子置いといてね!」

「うん!お姉ちゃんの好きだった、ちんたらしてんじゃねーですわよ!おいておくね。」

「頼むよ!」


「無事伝えれたようだね。」

「はい…!」

「それじゃツキも戻ってきたようだし、君たちの配属先を言い渡すね。君たちの配属先は…」



カランカランと小さなベルが来客を告げる。

「いらっしゃいませ!!ようこそ、黄泉戸喫茶へ!」

今日も私達はたくさんの人の後悔を救う。

「我々死神のモットーは亡者に慈悲を。ですから♪」



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