第二十一話 陰陽寮お猫様捜索大作戦!(4)
「さっきは本当にありがとう、琉衣」
「別に」
涼しい顔して彼はあんみつを口に運ぶ。
結局、おこげも見つからないので近くにあった喫茶店に入ってお茶をすることになったんだけど。
「はあ……」
私は頼んだクリームソーダに手もつけずにただただ落ち込んでしまう。
このままおこげが見つからなかったら、どうしよう。
藤四郎様のお怒りを買って、それで、そのまま陰陽寮を解雇!?
ていうか、それこそバッドエンドか!
今流行りの悪役令嬢追放ルートね!
はあ~はは~ん!
理解しましたよ、理解しましたよ。
「私ももうこれで終わりか……」
失意の声で私が呟くと、私の目の前に突然スプーンが差し出された。
「え?」
顔をあげてみると、琉衣が自分のあんみつを私に差し出しているではないか。
しかも、あ~んして食べていいという合図なのか、口が小さくあいている。
か、可愛すぎませんかっ!!!!!
「琉衣、それって」
「ほら、あんみつあげるから元気だしてよ~!!」
ああ、神様……!
追放される前にこんな役得を……!
ありがとうございます!!!!
私はありがたく口を開けてあんみつをいただいた。
「んっ! 美味しい!!」
「うん。ここのあんみつ、美味しいんだよね」
「よく来るの?」
「たまに」
「そっか~!!!」
ようやく私も自分のクリームソーダを飲み始めた。
シュワシュワの炭酸が効いていて染み渡る!
「なんかあんた思ってたよりいい人そう」
「どんな人だと思ってたの!」
すると、琉衣はすぐさま答える。
「高飛車で上から目線な人」
ああ~そうですよね……。
私(転生前)が降臨する前は大変失礼なこともしたかも……でも、琉衣とあまり関わることもなかったから、これを機会に仲良くなれたらいいな!
そう思って、私は手を差し出した。
すると、彼は首を傾げて不思議そうな顔でこっちを見ている。
「なに?」
「握手! これから、仲良くなるための!」
琉衣は何か私の圧に負けたのか、私と一緒で仲良くなりたいと思ってくれたのかわからないけど、渋々と言った様子で握手に応じてくれた。
お会計を済ませた私たちが喫茶店から出ると、そこには、見知った顔の男性がいた。
「柊也お兄様!?」
お兄様はにこりと笑った後、私たちを見て言う。
「おや、由姫。今朝私との逢瀬を終えた足でまさか他の男と逢引とはね」
ま、まずい!!
この視線、この声色、そしてこの全然笑っていない目!!
これはまたお兄様からのお仕置きだ……。
「お兄様、これは……」
そう言って弁明しようとした時、私はお兄様の手にいるモフモフに気づく。
「おこげ!!!」
琉衣もおこげの存在に気づいたようで、お兄様の近くにいってなでなでしている。
「お兄様、どうして!」
「すぐそこの路地にいたよ」
なんだ……そんな近くにいたのなら、「にゃあ」の一つくらい言ってくれてもいいのに……。
そう思ったけど、おこげは非常におとなしく、あまり鳴かなかったことを思い出した。
すると、お兄様がおこげを琉衣に引き渡した。
「琉衣、悪いけど、おこげを陰陽寮へ連れ帰ってくれる?」
「はい、ですが、由姫は……」
「ああ、そうだね。由姫はちょっとこれから私と用事でね」
そう言うと、お兄様は私の腕を引いて自分の胸元へと引き寄せて甘い声で囁く。
「ね、もちろん付き合ってくれるよね。由姫」
「あ、はい……」
きっとこれはもう断罪ルート確定だ……。
もちろん琉衣が私の危機を察知することはなく、無事に私はお兄様と二人きりになってしまった。
「お兄様、あのこれからどちらへ……」
「決まっているだろう、お仕置きだよ」
ああ、もう私の人生は終わったらしい──。




