3話:帝都
すいません!!!!
遅れましたーーー!
馬車が停止した。
それと同時にノックがされ、木の板を嵌めただけの窓が開かれた。
「ラヴェルミナ公爵様ですね。貴族符を出していただいてもよろしいでしょうか?」
門番と思われる騎士の人が、公爵に訊いた。
貴族符とは、縦長の御札の様なもので、その貴族が本物かを判別する為のものらしい。王族の血が持つ呪いによって、複製が出来ないようになっているらしい。
公爵が、出した貴族符は赤色で馬車にも書いてあった紋様が描かれていた。
騎士がそれを確認すると、
「確認しました。どうぞお入りください。」
と言って、頭を下げ、貴族用の通路の門を開けた。
馬車は門を濳り抜けて帝都に入る。
最初に目に入ったのはとても大きな城だった。
遠くからでも見えるほどの大きさが街の中心に建っている。
まるで自分の庭であることを主張するように、聳え建ち、城の輝きで街を照らしているようだった。
そんななかファルノモキアが驚いていたのは街並みだった。前世では、高層ビルやアスファルトの地面が最低限の当たり前で、首都ともなればネオンの明かりや魔法石の街灯で明るくない場所を探す方が難しかった。
だが、帝都を見ると今は昼だから、街灯やネオンの明かりが無いにせよ、ネオン管や街灯もなければ地面は石畳で、建物も木造建築だらけ。三階以上の建物は見つからない。
薄々感じていたが、やはりこの世界の文化レベルはだいぶ低い様だった。
彼が驚いてるのを、街の賑わいや、人の多さに驚いていのだと、公爵とララリエールは勘違いしていた。
街を眺めていると、徐々に建物の壮麗さが際立ってきていた。どうやら、貴族街らしき場所に入ったようだ。
貴族街に入ってからも更に進み、堅牢堅固でなおかつ豪華絢爛。正しく象徴と言えるような城がとても大きく目に入るようになった。
ほとんど城だろうと言うほど近づいた頃、ようやく馬車が止まった。
馬車が止まったのは城程とは言えないながらも、とても豪華な屋敷だった。
屋敷の前には、メイドと思われる人と、壱人の執事が屋敷の外門の所に並んでいた。
「お帰りなさいませ。ご主人様、お嬢様。そして、ファルノモキア様。湯浴みの準備及び、客室の準備も整っております。」
執事らしき人物が、頭を下げながら言うと、公爵が、
「セバルト、出迎えありがとう。とりあえず、ファルノモキア君を風呂場に連れてってくれるかな?そしたら、その後は食堂に連れてきてくれるとありがたい。」
「かしこまりました。」
執事らしき人物……セバルトが頭を下げながら言い、頭を上げると、それでは、ファルノモキア様どうぞこちらへ、と言って彼を風呂場に案内した。
屋敷の中は、高そうな壷や絵画が飾られていて、公爵家の財力を誇示していた。
風呂場につくと、四、五人のメイドが現れて、彼の服を脱がし始めた。
「なっ、、大丈夫です!自分で入れます!!」
ファルノモキアは、脱がされる服を掴んで必死に抵抗した。
そうすると、メイド達も渋々と言った感じに引き下がって言った。
浴室に入ると、湯気で前が見えなくなった。
目が慣れてきて、辺りを見渡すと、ドラゴンの口の形をした湯口が目に入った。
体を洗い、湯船に浸かり、はぁ゛ぁ゛ぁ゛と声を出す。
只々無になる様に、体に染み込ませる様に力を脱力させた。
風呂を上り、風呂場の前で待機していたメイドに食堂に連れて行ってもらう。
ファルノモキアが食堂に入ると、既に公爵とララリエールが座っていた。
「おぉ、上がったか、いい湯だったかい?」
公爵が笑顔で話しかける。
「えぇ。とてもいいお湯でした。特にあの竜の湯口には驚かされましたよ。」
「そうかそうか!それは良かった。あれは家の自慢でね。驚いてくれて嬉しいよ。さぁ、君も座りたまえ。」
そう言って、公爵が手を向けたのはララリエールの向かいの席だった。
現在、公爵は上座に座り、ララリエールはそのすぐ横の席に座っていた。
ファルノモキアが座ると、では早速と公爵が言ってから、話し始めた。
「まずここに呼んだのは君が私たちを助けてくれたことに対するお礼と、ララの護衛に関する詳細について説明しようと思ってね。」
そのタイミングでセバルトが公爵の目の前に、何かがぎっしり詰まった麻袋と数枚の紙を置いた。
「少ないだろうけどお金だ。白金貨千枚入っている。それと、冒険者ギルドと呪法研究所への紹介状があるこれをお礼とさせて貰うよ。その他なにか欲しい物があったら言ってくれ。出来る範囲で用意するよ。」
そう言って、それらをファルノモキアの前に置いた。
「ありがとうございます。でもこんなにいいんですか?」
「娘の命が守られたんだ。白金貨を何枚積んだって足らないくらいだよ。」
そう言われては、、とファルノモキアは渋々と言った感じだったが、受け取った。
「次に呪法学園についてだけど、試験は壱ヶ月後で内容は至って簡単って言うか、実力勝負な所がある。筆記も無くはないけど九割九分が実技試験できまる。あの野盗共を倒した君なら余裕だろう。」
そう言われて、ファルノモキアは少し安心していた。転生してからまだ数時間。この世界の事などてんで分からない。そんな中で筆記試験などが重要視されていたら、護衛だなんだの前に学園に落ちてしまう。
その点実技であれば、魔法術が使えるのだから、態々呪法を壱から覚えて、それで挑まなければならないなどという心配もない。
ファルノモキアの思考が一旦落ち着いたのを感じたのか、公爵は再び話し出した。
「学園では、純血派と言われる貴族たちが威張り散らかしている。ララは純血じゃないからね。良ければそいつらから守って欲しいってのが壱つ。そして、ひと月前の出来事なんだけど、家にララを狙って暗殺者が来てね。騎士達が未然に防いでくれたが仕掛けたのが誰か判る前に自害されてね。また暗殺者を送り込まれるかもしれないから、その護衛を頼みたいんだ。」
「詳細は分かりました。全力で務め上げさせて頂きます。」
まだなにか隠してるんだろうなとファルノモキアは感じながらも、何も言わずに了承した。
「ありがとう。助かるよ。今日話しておかないといけないことはこれで全部かな。それじゃあもう後はゆっくり休んでくれたまえ。」
「えぇ。何から何までありがとうございます。」
ファルノモキアはそう言って、食堂から出てメイドの案内のもと、部屋に行った。
部屋に入る。部屋は壱人にしては大きいベッドと机と椅子といった、最低限のものだけの部屋だった。
ファルノモキアは早速ベッドに横たわり、今日の出来事を整理していた。
まず、転生は成功した。その事はとても嬉しいが、まさか異世界に転生するとは思わなかった。というか、異世界なんて存在を頭の片隅にも思い浮かべることがなかった。
そして、今の自分の体。部屋に姿見があったから確認できたが、前世同様漆黒の髪の毛に左目は濃い赤色。右目は薄い紫色だった。髪の色と目の色は前世から変わらない。たぶん、魂が認識している体に似た構造になるのだろう。
また、身体に流れる不思議な物。魔力と似ていて非なるそれが呪力なのだろう。
魔力よりも禍々しい感じがするが、今の体はそれに馴染んでいる。
野盗の頭が撃った呪法と言われるもの。ファルノモキアが撃った魔法と内容は似ていたが、僅かに。本当に僅かに違かった。そこが、魔法と呪法の決定的な違いなのだろう。
今日は疲れたし、また今度にでもゆっくり考えてみるか。
そうして、ファルノモキアは眠りについた。
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