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最強術師、転生して学園へ  作者: 蘭
01:白樺の木と白㛲の少女
3/5

2話:公爵家

 馬車の前に着くと、弍人の騎士が、馬車に向かってノックをした。

 すると、扉が開かれ、そこから(よんじゅう)歳かそこらの白髪(しらが)混じりの壮年の男と、十二歳程光を反射しうるほど透き通った白㛲(はくはつ)の少女が馬車から降りてきた。


 明らかに貴族と分かる豪華な服。だが、(いや)らしくない程度の豪華さ。これぞ正に伝統のある貴族なんだろうと感じられる。


 ファルノモキアは平民として、(ひざまず)こうとすると、アブァリスが、彼の腕を掴んで止めた。


 ファルノモキアが疑問に思ってアブァリスの方を見ると、壮年の男が微笑みながら話し始めた。


「君は命の恩人だ。跪かなくてもいい。出来ることなら、こちらが膝を付いて感謝を述べたいくらいなのだ。本当に、本当にありがとう!!私と娘が生きていたのは、君のおかげだ。いくら感謝してもしきれない!」


 壮年の男は俺の両肩を掴み目を潤ませながら、そう言った。


 しばらくして、落ち着いたのか、少し恥ずかしげに(せきばらい)をしてから、自己紹介を始めた。


「さっきは少々取り乱してすまない。自己紹介をしようかね。私はソレリア帝国公爵、リュクドガルド・リア・フォン・ラヴェルミナだ。そして、隣にいるのが娘の」


「ララリエール・リア・フォン・ラヴェルミナです。助けて頂き本当にありがとうございました。」


 白㛲(はくはつ)の少女こと、ララリエールが、言葉と同時に深めのお辞儀をした。

 それに少し驚きつつも、ファルノモキアは

「頭を上げてください。たまたま居合わせただけですので。助けられて良かったです。」

 と言った。


 それを聞いた公爵は、益々(ますます)彼を気に入ったようで、最初は護衛として騎士団と共に外を歩く予定だったのが、馬車の中に乗りながら、帝都に向かうことになった。


 帝都に向かう最中、公爵からファルノモキアにとある質問がされた。


「君は不思議な術を使う見たいだけどそれは呪法(じゅほう)なのかい?」

「呪法……ですか?」


 ファルノモキアは少し首を傾けながら聞き返した。


「あれ?呪法を知らないのか……相当な田舎から来たんだね。」


 という事は、呪法という物の存在はだいぶ広く認識されているのだろう。だが、辺鄙(へんぴ)なところだと、広まってないこともあるのか…とファルノモキアは安心した。


「えぇ。実は祖父と弍人で山の中に住んでいたんです。祖父が亡くなるときに世界を見てこいという事で、こうして街に向かうことにしたんですが、如何せん街の場所が分かんなくてですね」

 と即興で考えた嘘を弍人に伝えた。

「そうか、なら街についても色々教えよう。」


 そうして、公爵から呪法と街について教えてもらった。


 まず、呪法は呪力と言われる力を使って起こす現象のことで、先程の野盗の(かしら)が使っていたのがそれに当たるらしい。今後は、呪法師と名乗った方がいいだろう。


 次に街については、基本的には街の入口に大きな門があり、そこを門番が守っている。街に入るには、その門番に市民票か、身分証を提出し、既犯測定器(きはんそくていき)と言われる水晶に、手を(かざ)して、問題がなければ入ることが出来らしい。


「今回は、私が後見人になるから、そこら辺は全部カットでいけるかと思うよ。」


 そう言われて、公爵の権力えげつなっと思ったファルノモキアだった。


 説明が終わり、しばらく無言の時間が流れていた時、ララリエールが少し緊張した面持ちで、ファルノモキアに話しかけた。


「ファルノモキア様!帝都に着いたらなにかご予定はあるのですか?」


 その質問に少し考える素振りを見せるが、実際のところ帝都に何があるのか、どんな職業があるのかすら分からない状況だ。なので、すぐさま首を横に振る。

「いえ、特に何も決めてないですね、なにか自分にもできる仕事がないか探してみようと思ってます。」

「そうですか……」

 少しほっとした様な表情をした、ララリエールに続いて、公爵が、

「それなら学園に通ってみないかい?」

 と訊いてきた。


 学園とは帝国において、呪法について学ぶ学園で、帝都にある学園は呪法の勉強をする上で最高学府だとされており、ほとんどの王侯貴族の子息令嬢も通うほど大きいものらしい。入学金は基本的に無料で全寮制となっているため、受験で合格すれば、貴族だろうと平民だろうと平等に入学出来るらしい。


 学園の説明を受けたファルノモキアは、壱つ疑問を持った。それは、


「なんで、その学園ってのに、俺を誘うのでしょうか?いくら無料と言っても態々(わざわざ)誘うようなものなのかなって思ってしまって。」


 ファルノモキアがそう言うと、公爵は壱度大きく笑うと微笑みながら喋りだした。


「単純に、君に色んなことを学んで欲しいんだ。君の実力は、うちの騎士団長の折り紙付き。そんな君が、一般常識や色んなことを学ぶことそのものが、君の将来に繋がるだろうと思っている。」


 そう言って壱度言葉を止め、今度は壱転して深刻そうに話し出した。


「それとね、今、娘のララが何者かに狙われているんだ。学園は全寮制()つ関係者以外立ち入り禁止。うちの騎士も護衛として入ることは許されない。だから君に学園に入学して、ララの護衛をして貰いたいんだよ。」


 なるほど、確かにそれなら納得出来る。それに、この世界の常識や、呪法の情報は気になる。


「その狙っている者の詳細は判ってない感じですか?」


「そうだね。検討は付いているけど、確証はね。そこら辺は後でって感じかな?それで、この依頼。受けてくれる?」


 ファルノモキアは少し間を空けて、

「その依頼。お受け致します。」

 と言った。


 公爵はほっとしたように気を緩ませ、ファルノモキアに感謝の言葉を述べた。それから、ララリエールは、弍人の会話が終わったのを確認して、公爵、ファルノモキアに向けて、こう言った。


「それなら、ファルノモキア様。入学までうちで過ごすのはどうでしょう?部屋の余りもありますし、お金もかかりません。」


 それに乗っかって、公爵も、

「それはいい案だ!ぜひともうちで過ごしてくれ。満足のいく(もてな)しをしよう!助けて貰ったお礼もまだ出来てないしね。」


 俺は弍人の圧に気圧されながら頷いた。


 そこからしばらくは他愛のない話をしていると、扉を三回ノックされた。どうやら帝都に着くようだった。

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