約束
「主様~、無茶しちゃダメじゃないですか! 覇気による攻撃なら姫天皇が治癒できますが、そうではない怪我だと姫天皇では治せないんですよ!」
「はははは。そうだね」
俺は「無茶しちゃ」の言葉にドキドキしながら紫を見たが、紫は小町と話していたので俺はホッとした。
「ということは主様の火傷は姫天皇で治癒できたわけですね。あとは足と背中の打撲。それに細かい擦り傷やかすり傷。そして全身の筋肉痛。……なるほど。義経の動きについていくには、主様は体を鍛える必要がありそうですね」
業平はベッドで横になる俺を冷静に分析した。
結局。
俺は小笠原久光の式神のオオワシに助けられ、無事に本陣へ戻ることができた。
その時点で結構火傷を負っていて、それを見た姫天皇は号泣しながら俺を治療した。
俺が治療を受けている間に紫も業平も無事帰還して、二人はすぐに莉子先輩につかまり質問責めとなった。その後もいろいろあったが、今はようやく部屋に戻り、俺はベッドで横になることができた。
病気ではないので元気なのだが、筋肉痛と打撲でもうこれ以上動けない、ということでベッドに横になっていた。
「今日はもう何もないですよね」
小町がみんなを見た。
「ええ。さすがの道鏡も完全に弾切れでしょう。穢れについては今日の午前中にかなりの範囲で祓ったので、今日は……巡回は休んでもいいのではないでしょうか」
紫が俺を見た。
俺は頷いた。
「では主様、小町は菅家に会いに行ってもいいですか……?」
小町、可愛いなぁ。
こんな戦いの後だ。
菅家に会いたい気持ちはよく分かる。
「行っておいで、小町」
俺の言葉に小町の顔がぱあっと明るくなった。
「ではわたくしも失礼させていただきますね」
業平はさらっとそう言って姿を消した。
「業平さ~、今日の戦闘でめっちゃモテモテだったの、主様、知ってます?」
姫天皇が頬を膨らませた。
「え、そうなの?」
「第二防衛線にいた言霊使い全員と連絡先交換していましたもん」
まあ、業平はイケメンな上に強いからな。
まさに紫の男版。
「では姫天皇は他の言霊使いの回復を手伝いに行ってきますね」
姫天皇は立ち上がるとそのまま姿を消した。
紫が俺を見た。
「む、紫、ただの打撲で骨が折れたわけでもないし、擦り傷かすり傷なら蒼空も莉子先輩も」
……!
紫が俺を抱きしめた。
涼やかで爽やかな香りが俺の鼻孔をくすぐった。
「主、本当にご無事で良かったです」
「紫……」
「大きな怪我もなく、本当に良かったです。無茶はしないという約束を守ってくださって、紫は嬉しいです」
その言葉に俺は驚き、紫から離れ、その顔を見て思わず尋ねた。
「え、信長の腕を切り落とした件、もしかして不問⁉」
「はい。猿丸に放り投げられた主を見た瞬間は、なんという無茶を、と思いましたが、すぐに宙返りをされるのを見て、義経が動いていると分かりましたので。……その後の動き、どれ一つとっても激しい筋肉痛を伴うものとは思いましたが、紫としては範囲内でしたので」
「そっか……」
てっきり怒られると思ったので、俺は胸をなでおろした。
「でも今後のことを考えると、業平の言う通り、体を鍛えた方がいいでしょうね」
「うっ……そうだな。あ、紫、座ったら?」
俺は枕をずらし、紫が座れるようにスペースを作った。
「いえ、それでしたら椅子をとってまいります」
俺は紫の手首を掴んだ。
「主……」
無言で俺が紫を見つめると、紫は「分かりました」というように目を閉じた。
俺は紫の手を離した。
紫は甲冑をはずし、ベッドに腰を下ろした。
本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回更新タイトルは「秘密」です。
紫がいろいろな秘密を明かしていきます。
それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう
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明日、また続きをお楽しみください!
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