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完結●歌詠みと言霊使いのラブ&バトル  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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ある一点を除いては

……。


背中に何かが当たった。


いや、ぶつかった?

うん?


俺は体を起こそうとしてそのまま何かから落ちそうになり、慌ててうつ伏せになると、両手でその何かに掴まった。


全身に風を感じた。


……!


俺は巨大な鳥の背に掴まっていることに気づいた。


あの時見えた、オオワシか?


俺は地上の方を見た。


うわぁ、すごい高さだ。


信長がいたであろう場所ではまだ炎が燃え盛っていた。


それを皆が一斉に消そうとしていた。


本陣にはさっき見た白い狩衣の人達が沢山いて、怪我をした言霊使いや歌詠みを介抱しているようだった。


……!


俺の方を見る、フードを被った少年……小笠原久光が、本陣にいた。



「これはどういう風の吹き回しなのかな?」


先ほどの激闘で賀茂かもう 莉子りこの眼鏡はついに壊れたようだ。


見慣れた眼鏡がないその顔は、それはそれで綺麗なもんだった。


「まあ、織田信長なんて滅多にお目にかかれないからな。一目見ておこうと思ったまでだ」


ぼくの言葉に莉子は


「わたしが心配で駆けつけたんだろう」


そう言ってぼくの首に腕を回した。


顔に柔らかいものが押し当てられ、ぼくは慌ててその腕を振りほどいた。


「莉子、お前に求めるのは今回の対価のみだ」


ぼくの言葉に莉子は「つまらんな」と呟き、焼け野原となった激戦地を見渡した。


「しかし、この結末も、小笠原久光、君にとっては想定通りだったのか? 絶妙なタイミングでの登場。常に先を見て無駄なく動く君のことだ。この展開を読んでいたのだろう?」


莉子はこう見えて意外に鋭い。


「まあ、な。湊の魂の異物が義経の魂と分かった時点から、なんとなくこの結末は読めていた」


「動物の呪魂が現れることも?」


「少将、中将クラスの呪魂は僕がごそっり片付けた。そうなれば道鏡が虫や動物に手を出すことは想定の範囲内だった」


「じゃあ、大将クラスの呪魂が三十体現れることは?」


「はっ。そんなの簡単じゃないか。今、動いている歌詠みの状況、悪いがこっちでは把握させてもらっている。微妙に同業他社だからな。


それで白狐が声をかけてかき集められる人数、そんなものは簡単に割り出せる。抱えている案件の程度から、手を離せない歌詠みの数は一目瞭然だ。


その人数に対し、どれだけの大将クラスの呪魂をぶつけるのが効果的か、なんて道鏡じゃなくても分かるさ」


「はぁー。なんでもお見通しか。でも流石に信長は……」


「来るだろうとは思っていたよ。僕の予想では織田信長か土方歳三だった。でもまあ、与えるインパクトとしては織田信長はダントツだ。ただ、道鏡のおっさんに、信長を扱いきれるのか、という懸念はあった」


「ご推察の通り、扱いきれず、大将クラスの呪魂は信長が潰してくれたよ」


莉子が伸びをした。形のいい胸がぷるんと揺れた。


「まあ、信長を呼び出す、ということは、そういうことだ」


「で、信長公登場ですぐに駆けつけなかった理由は?」


「それはぼくが出るまでもなく倒せると踏んだからだ」


「……こちとらかなりの苦戦を強いられたのに?」


「それはぼくの責任ではない。ぼくは陰陽師、君たちは歌詠みだ」


「まあ、そうだな……」


「紅と碧を遣わせた時点で、義経と湊の魂が融合することは見えていた。義経は本来呪魂になるような男じゃない。しかも湊と過ごした時間は長いはずだ。それは怒りを鎮め、冷静になるには十分な時間だったはずだ。そして義経がついたとなれば、信長に負けるはずがない」


「……だが、奴は策士だったぞ。わたし達には三本の矢作戦を勧めておきながら、密かに紫と業平を使い、天柱を攻撃し、信長を倒そうとしていた。本陣にいたわたし達はおとりに使われたんだぞ」


「その本陣には義経もいた」


「……」


「義経は大局を見ていた。ここで信長を倒さなかったらどうなっていた? 全滅していたら、結界はなくなる。信長は再び、葦原の中つ国に君臨することになっていたんぞ、莉子。しかも呪魂の状態で。背後には道鏡もいるのに」


「それは……返す言葉がないな。義経は……何も間違っていなかった」


「間違っていなかっただけじゃない。義経は俺と同じだ。勝ち筋を見ていた。どんなに火を使おうと、天柱に覇気が触れた時点で信長は紫と業平に気づく。気づいたその時に気を逸らすために、義経は本陣に残った。湊が気付いたのは偶然じゃない。義経が湊を動かしたんだよ」


「……なるほど。そして天柱への攻撃、義経による腕への一撃は同時に起きると予想した。そこで落下する湊を助けるために式神のオオワシを遣わした。さらに本陣へ陰陽師を引き連れ、消火と救助を行ったと」


「感謝こそされても、文句を言われる筋合いはないはずだ」


「無論だ。小笠原久光、君は完璧だったよ。ある一点を除いては」


「何⁉ なんだ、その一点というのは?」


ぼくは心外だという顔で莉子を見た。


莉子は腕を伸ばし、ぼくの頬に手を添えると


「小笠原久光、君はわたしのハートを盗んだ。想定外、だろう?」


莉子はそう言うとぼくの唇を奪った。


本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次回更新タイトルは「約束」です。

激闘のその後が描かれます。


それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう

良かったらブックマーク登録をよろしくお願いいたします。


それでは午後もお仕事、勉強、頑張りましょう!

明日、また続きをお楽しみください!



【お知らせ】5作品目、毎日21時に更新中


『千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~』

https://ncode.syosetu.com/n8017hs/


天界との戦に負け、アジアの島国・日本に堕とされた魔王。

魔力もなく、羽もなく、無一文になった魔王は

残された側近――美貌の秘書と2人の騎士のために

千年守った禁欲の誓いを遂に破るのか⁉

快楽を好む悪魔だったのになぜか童貞の魔王。

その秘密が次第に明らかになり……。


Hなのにピュアな魔王のキュンキュンなところが見どころです。

全41話、毎日更新でサクサク読めると思うので

ぜひチェックいただき応援をいただけると幸いです。

ご訪問、心からお待ちしています!

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