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完結●歌詠みと言霊使いのラブ&バトル  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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夢魂(むこん)の儀式

「湊、頭の中は疑問符でいっぱいだと思うが、今は状況が状況だ。とりあえずすべての疑問を飲み込んで動いてくれ」


莉子先輩の言葉に俺は頷いた。


「まず、蒼空。白狐に連絡して、可能な限りの歌詠みを集めるように伝えてくれ。道鏡は泡をくっているだろうが、遅かれ早かれ小笠原久光がこの場にいないことに気づく。


と、なれば大将クラスの呪魂を送り込んでくるだろう。逃げても無駄だ。迎え撃つしかない。ここが決戦の地となる。防御結界を含め、結界を展開してくれ」


「分かりました、師匠」


「菅家、蒼空を手伝ってやってくれ」


「かしこまりました、主様あるじさま


「小町、神域の結界は展開できるか?」


「……! はい! 先日、菅家に教えていただいたばかりです」


主様あるじさま、小町の神域の結界はレベル7です。問題ないかと」


菅家の言葉に莉子先輩がニヤリと笑った。


「よくやった、菅家。それなら丁度いい。では小町と紫はこちらへ。姫天皇ひめみことと業平は蒼空を手伝ってくれ。あと……納言パパも蒼空のことを頼む」


莉子先輩、猿丸、蝉丸、紫、小町、そして俺は空間転移の結界から出た。


結界から出ると、そこに美しい双子の着物姿の女性がいた。


「莉子、ですね」


髪が赤茶色で、朱色の生地に大輪の花が描かれた着物を着た女性が尋ねた。


莉子先輩が頷くと


「私は小笠原久光の式神、べにです。夢魂むこんの儀を行うのであれば、手伝うようにと言われ、お待ちしていました」


その言葉に莉子先輩は破顔した。


「はっ! さすが、小笠原久光。お見通しということか」


莉子先輩の言葉に紅はにっこり笑った。


「こちら妹のあおです。碧も夢魂の儀をお手伝いさせていただきます」


蒼黒い髪で濃紺の生地に艶やかな蝶が描かれた着物を着た碧がニッコリ笑った。


「分かった。ありがとう。助かるよ。役者は揃ったということか。よし。すぐに部屋へ移動し、始めよう」



部屋に向かう道中、紫の顔色が悪いように感じた。


「紫、大丈夫か?」


俺が声をかけると、紫は泣きそうな顔で俺を見た。


えっ……⁉

な、なんで突然、何があった⁉

……これから始まる戦いに恐怖を感じているのか……?

いやそんなわけないよな。

あ、これから行う夢魂の儀というのが不安なのか?


「紫、大丈夫だよ。みんないるし、これから何をするか分からないけど、きっと道鏡に勝つための儀式だよ」


紫は必死に頷いた。


何かを堪えているようなので、これ以上声をかけるのは止めた。


部屋に着くと、莉子先輩は簡単に説明を行った。


「これから湊の魂に刺さった欠片がなんであるのか確認するための、夢魂の儀式を行う。結界を使い、神域を作り出すから、湊はそこで寝ているだけでいい。


湊が眠ったら、小笠原久光の式神が湊に術をかける。この術で魂に刻まれた記憶を呼び出す。断片的で様々な夢を見るかもしれない。


湊の夢は天狐てんこが監視する。欠片が何であるか、すなわち、誰の魂であるか分かったら……。うん、その先は未知数だ」


「えっ……」


「正直、夢魂の儀式自体はそう珍しい儀式ではないんだ。だが、小笠原久光が言っていた魂の欠片の融合なんて聞いたことがないし、やり方が分からない。


小笠原久光は分かっているんだろうが、説明する時間はなかった。だからヒントを残していった。それは紫、そして紅と碧。役者は揃ったから後はやってみるしかない」


莉子先輩は俺に「真に強い奴は無茶をしない。運でどうこうはしない。ちゃんと勝ち筋を捉えて、動いているんだよ、湊」と言っていた。


でも、これは全然勝ち筋が見えない。


本当にここで夢魂の儀式なんかやっていていいのか?


結界に戻り、道鏡が送り込む大将クラスの呪魂を迎え撃つ準備をした方がいいんじゃないか……?


「み~な~と、その顔はこの説明では不服だって顔だな。でもな、小笠原久光は紅と碧をここに寄越した。ということは夢魂の儀式はやる意味があるんだ」


「……分かりました。でもなんで紫がヒントなんですか?」


「小笠原久光は時間がなかった。わたしとの会話、聞いていただろう? あの時わたしの無駄口を一切無視して、小笠原久光は自分の言うべきことだけを言って去った。その小笠原久光が最後に声をかけたのは紫だった。紫は夢魂の儀式で何か果たす役割があるのだと踏んだわけだよ」


紫は相変わらず顔色が悪いが、莉子先輩の言葉を黙って聞いていた。


「では始めよう」


俺は莉子先輩の言葉に従い、ベッドに横たわった。


「湊さま、力を抜いてくださいね」


紅はそう言うと、俺の瞼を閉じた。


そしてゆっくり俺の頭をマッサージし始めた。


莉子先輩の指示で小町が神域の結界を展開する声が聞こえた。


猿丸と蝉丸は万が一の敵の襲撃に備え、警戒態勢に入った。


そういえば当たり前のようにてんこと言っていたが、てんこってなんだ……?


なんだか頭がぼーっとしてきた。

それに何かとてもいい香りがする。


全身の力が抜けた。


本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


湊の魂に刻まれた記憶、それは一体……?


それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう

良かったらブックマーク登録をよろしくお願いいたします。


それでは午後もお仕事、勉強、頑張りましょう!

明日、また続きをお楽しみください!



【お知らせ】5作品目、毎日21時に更新中


『千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~』

https://ncode.syosetu.com/n8017hs/


天界との戦に負け、アジアの島国・日本に堕とされた魔王。

魔力もなく、羽もなく、無一文になった魔王は

残された側近――美貌の秘書と2人の騎士のために

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その秘密が次第に明らかになり……。


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全41話、毎日更新でサクサク読めると思うので

ぜひチェックいただき応援をいただけると幸いです。

ご訪問、心からお待ちしています!

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