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完結●歌詠みと言霊使いのラブ&バトル  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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激闘

「では両者位置について」


莉子先輩の言葉に、紫と猿丸が対峙した。


紫は猿丸との勝負は距離だと言っていた。


「始め――」


猿丸は素手だから必ずや近接戦に持ち込もうとする。


だから距離をとることが重要だと――。


……!


速い。


始めの合図と同時に猿丸は猛スピードで紫に向かって走り出した。


土埃が舞い、まるで猛進する猪のようだった。


紫は後ろへとジャンプしながら、いきなり大技の一撃を放った。


菅家が俺たちを覇気の振動から守るため、防御結界を展開した。


猿丸はまるで急ブレーキをかけたかのように止まり、土煙を立てながら防御結界を展開した。


だが紫の一撃は防御結界を破壊し……。


いない、猿丸は⁉


……!


防御結界を展開し、ジャンプして遥か後ろへ後退していた。


猿丸は後退したその場所でも防御結界を展開していた。


だが紫の強烈な覇気はその結界をも破壊し、猿丸を直撃、猿丸は吹き飛ばされた。


俺たちのところにも振動が起こり、覇気が直撃していた。


猿丸は⁉


地面に倒れていたが、すぐに起き上がった。


何事もなかったように。


「二回の防御結界を通過させることで、覇気の衝撃を抑えたのですね」


業平が横でため息をついた。


なるほど。


猿丸といえば、とにかく攻撃に特化していると思った。


だが防御結界も瞬時に展開できるし、二つの結界で覇気の衝撃を緩和している。


一見力任せに見えるが、それは違う。ちゃんと考えながら動く、戦略家だった。


「覇気の衝撃を和らげたとはいえ、紫のさっきの一撃は相応なダメージを与えたはずです。今なら距離もある。畳みかけるなら今です」


業平の言葉通り、紫は再びあの大技を放った。


「防御結界、展開。鉄壁の守り、石神いしがみ


猿丸が展開した結界、あれは小町がやっていた結界だ。


あの時、確かに清納の攻撃を防いでいたが、紫のあの覇気を防ぎきれるのか⁉


さっきの一撃より、猿丸と紫の間には距離があった。


だから石板に覇気が到達するのに少し時間がかかった。


だが。


来る――。


先に俺たちの結界の方に覇気が到達し、振動が起きた。


そして、石板に覇気が……。


凄まじい光景だった。


覇気が当たった石板の真ん中が、まるで板チョコをパキッと割ったように、真っ二つになり、崩れかけた石板にさらに覇気が当たり砕けた。それが四方に展開された石板でほぼ同時に起きた。


猿丸はあの石板の中……なのか⁉


業平が指さした。


主様あるじさま、上です」


「上⁉」


猿丸はなんと石板の天辺にいて、覇気が当たる瞬間にさらにそこからジャンプしていた。


そして、そのまま前方に大きく飛び、紫へ向かっていった。


なんてジャンプ力、そしてスピード。


さっきまでの間合いが半分以上に詰められた。


だが紫は三度目となる覇気を既に放っていた。


猿丸は着地するとまたもや鉄壁の守りを展開し、石板の天辺にのぼり……。

石板に覇気があたり、崩れ、そして猿丸はジャンプし……。


紫がまさに四度目となる覇気を放とうとしたまさにその時、猿丸が間合いに入った。


紫は太刀をおろすとすぐに防御結界を展開した。

猿丸の素手による覇気の攻撃が始まった。


紫が展開した防御結界は四神の守り。

猿丸は素手で青龍の相手をしていた。

しかも笑っている……。

まるで強い者と戦うことを楽しんでいるかのように。


青龍の援護に朱雀と玄武が加わった。


だが猿丸はひるむことなく、その三霊獣を相手に素手で戦っていた。


一方の紫は、防御結界の中で猿丸の戦闘の様子を真剣な面持ちで見ていた。


「これはどうなるんだ……」


俺の呟きに業平が答えた。


「恐らく、結界は破壊されます。猿丸のあの攻撃、紫も気づいていると思いますが、三霊獣の決まった場所に執拗に繰り返し打撃を与えています。三霊獣が落ちるのは時間の問題……」


「そうなると残りは白虎。白虎が破られたら?」


「猿丸は間違いなく一撃必殺で紫を倒そうとするでしょう。もし紫がそれを避け、逃げきれても、間合いが狭い状態では紫が圧倒的に不利です」


……。

紫……。

今、どんな思いで猿丸の戦闘を見ているんだ?


業平のように分析できているなら、勝ち目がないと気付いているはずだ。


ここからでも猿丸が三霊獣に放っている打撃の一撃一撃が重く、強力であることは分かる。


あの打撃を紫が受けるのか……?


「……業平、リタイアしようと思う」


「え……」


「お前の言う通りだ。白虎がやられたら猿丸は必ず紫に一撃必殺を仕掛ける。俺は……紫が傷つく姿を見たくない」


主様あるじさま……」


業平はしばし紫の姿を見つめ


主様あるじさまは、紫が諦めていると思いますか?」


「え……」


「紫の目を見てください」


俺は紫の目を見た。


鋭く澄んだ瞳は、真剣に猿丸の動きを追っている。


「あの目が戦いを諦めた目に見えますか?」


紫はまだ諦めていないのか……?


その時、三霊獣が一斉に円陣に沈んだ。


素早く白虎が前に出た。


猿丸が打撃を白虎に放ったその瞬間。


白虎が消え、紫が前に出て、太刀の柄で猿丸のみぞおちに一撃を加えた。


まさに不意打ちで猿丸は吹き飛んだ。


そこから紫は四度目となる大技を放った。

さらにその大技と同時に白虎が駆け出した。


猿丸は咄嗟に防御結界を展開したが、白虎がその結界を食いちぎった。


猿丸に紫の凄まじい覇気が直撃した。

猿丸が吹き飛んだ。

俺たちのところにも振動が伝わってきた。


とんでもなく遠くに吹き飛ばされた猿丸は地面にぶつかり、地面は陥没した。

覇気による振動ではなく、猿丸が地面に当たった衝撃で、大地が揺れた。

激しく土煙が舞った。


「……これは驚きだ。猿丸が地面に沈むのを初めて見たよ」


流石の莉子先輩もその一言しか出ないようだった。


だが、猿丸は陥没した穴から立ち上がっていた。


まだ、戦えるのか⁉


「リタイアしよう」


その言葉に驚き、俺は莉子先輩を見た。


「回復すればまだ戦えるだろう。だが、今の一撃は魂の核こそ傷つけていないが、確かに核まで届いていた。だからこれは引き際だ。リタイアする」


莉子先輩はそう言うと


「右近」


「はい。主様あるじさま


右近が猿丸の方へ向かった。


「ではわたくしも少しばかり手伝いましょうか」


菅家が莉子先輩を見た。


莉子先輩は頷き、高らかに宣言した。


「この勝負、湊チーム、紫の勝利」


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

また昨日に続き、来訪くださった方も、本当に感謝でございます。

今日は2話公開です。引き続きお楽しみください!

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