最後のショータイム
「さて。本日最後のショータイムだが、攻撃VS攻撃と回復を同時にやろうと思う」
模擬挙式の手伝いを終えた俺たちは再び結界の中に入り、合宿の本来の目的、技の研鑽に励むことになった。
歌詠み三人によるじゃんけんで、組み合わせが決まった。
一戦目が紫VS清納、二戦目は一戦目の勝者が猿丸と勝負だった。
一戦の間で回復は三回までで、自身の回復スキルを使うのはNGだった。
時間制限はなし。
組み合わせが決まり、五分間の作戦タイムとなった。
「業平は紫と清納の勝負、どう分析する?」
「清納はくノ一を自称しているだけあって、スピードがあり、そして扱う武器が多彩です。紫がその多彩な武器に対応できるか否かが勝敗の行方を左右する気がします」
「紫は清納とどう戦うつもり?」
俺はチラッと紫を見たが、紫は既に戦闘モードで、模擬挙式など遥か昔の出来事でもう覚えていないのでは、という感じだった。
「清納はスピードがある分、スタミナはないので、いかに清納を動き回らせてスタミナ切れに追い込めるかが勝負を左右すると思っています。武器については、ある程度の想定はできますが……。火薬や遠方からの攻撃に警戒が必要かと」
「……今更なんだけど、言霊使いは覇気で戦っているんだろう? 武器の種類がいろいろあると言っても最終的には覇気なんだよな?」
俺の疑問に業平が答えた。
「ええ、そうですよ、主様。武器を使っていますが、武器自身の攻撃ではなく、武器から出される覇気で相手を攻撃しています。そういう意味では本当は武器がなくとも、それこそ猿丸のように素手でも戦えるのです。ただ、武器を使うことで、そこに集中して一気に覇気をだせます。また距離をとった戦いもできます」
「火薬に使われているものも覇気なのか?」
俺のこの問いには紫が答えた。
「はい。自身の覇気を込めたものです。清納が武器を多用するのは自身のスタミナ不足を補うためでしょう。スピード力のある清納は、短期決戦が王道。そのためにはありとあらゆる攻撃ができないとダメなのです。
つまり、紫が太刀で戦うと分かっているのに、清納も太刀で戦うとなると、勝敗の行方は長引きます。でも清納が火縄銃を使えば、即勝負がつく可能性が高まります。
敵がどんな武器を使おうと、短期決戦に持ち込めるありとあらゆる武器を用意する、それが清納の戦闘スタイルなのです。そのため火薬や飛び道具の類まで武器にして、覇気を相手にあてにいっているのです」
「なるほど……」
「主、時間もないので回復について姫天皇とも打ち合わせしませんか?」
紫の言葉に俺は頷き、姫天皇とも作戦会議を行い、そして紫と清納の戦闘が始まった。
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今日は3話公開です。引き続きお楽しみください!




