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完結●歌詠みと言霊使いのラブ&バトル  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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合宿

「どうだ、すごいだろう?」


莉子先輩が経営する結婚式場は郊外にあった。


コンセプトは草原の結婚式場ということで、広大な草原の中にチャペルがあり、そこから少し離れた場所に結婚式場と宿泊施設が併設されていた。


例年お盆の時期は結婚式の予約が入らないので、式場は休みだった。

ただ、チャペル見学や挙式相談、宿泊施設のレストランは営業していた。


そこでちょっとだけ結婚式関連の仕事を手伝うことで、宿泊施設に俺たちは無料で泊まることができ、かつ食事も無料で提供してもらえることになった。


結界を使えば言霊使いも霊体化せずに自由にできたし、技の披露も研鑽も可能だった。


ということで部屋に荷物を置くと、早速、莉子先輩が空間転移の結界を展開した。


「今回の合宿の目的は、互いの技を見せあい、いい技については学び、弱い技についてはどうすればそれを強化できるか考える場にしたいと思っている。そのため参加者は自身の持てる力を存分に出し切ってくれ。ということでまずは『防御』だ。さあ、ショータイムのスタートだ!」


莉子先輩の合図で『防御』を披露しあうことになった。


防御結界を展開し、そこに五分間攻撃を行い、守り切れば防御側の勝ち、結界が破壊されたり、解除されれば攻撃側の勝ち、というものだった。


「では防御は湊のチーム、攻撃は蒼空のチームだ」


蒼空が「手加減はしないよ、湊」と微笑んだ。

俺は「ああ、望むところだ」と頷いた。


俺は小町を呼んだ。


「小町、頼んだよ」


「はい、主様あるじさま


小町はやる気満々だ。


「小町、負けたら主様あるじさまのベッドで寝るのは三日間お預けよ!」


姫天皇ひめみことの言葉に小町は「え~⁉」と動揺していた。


「小町、清納せなの攻撃はスピードがある。間髪をいれずに攻撃を繰り出してくる。だがその分、スタミナがない。恐れず、耐える。そうすれば勝機はある」


蒼空のあの口ぶりから、紫は蒼空が清納を出してくると考えていた。


その紫はというと、戦闘モードのスイッチが入ったようで、口調も変わり、そして的確なアドバイスを小町にしていた。


「小町、気負わなくても大丈夫ですよ。もしもの時はわたくしが別の勝負で挽回しますから」


業平の言葉に小町は瞳を潤ませた。


なんか、いい感じじゃないか、俺のチーム。


「では、対戦者は位置について」


莉子先輩の言葉に小町は位置についた。


「湊のチームは小町か。では小町、防御結界を展開して」


小町は頷いた。


「防御結界、展開。鉄壁の守り、石神いしがみ


小町が展開した円陣から、巨大な石板が現れた。


重い地響きが聞こえてきた。

全部で四枚。分厚く、高い石板だ。


囲まれた小町の姿は見えなくなった。


「蒼空のチームは清納せなか。では攻撃を始めてくれ」


莉子先輩の言葉に、清納が石板に向かい歩いて行った。


「うわーっ、何ですかぁ、この結界。こんなの初めて見ました」


清納は武器である鎖鎌くさりがまを手に、石板の周囲を歩いて回った。


「どうしますかね~。力押しで倒れますかね⁉」


そう言うとものすごい勢いで、清納が鎖鎌を石板に突き立てた。


ドォーンという音が響いた。


でも石板はビクともしなかった。

ビクともしなかったが、清納の一突きの威力は相当なものだった。


「じゃあ、上からですね」


清納は手甲鉤てっこうかぎを手に装着すると、まずはジャンプし、石板の半分ぐらいまでの位置に到達した。そして手甲鉤を使い、そのまま物凄いスピードで石板の上まで到達した。


清納はくノ一の装束を纏っていたが、まさにしのびそのもので、動きが早かった。


「じゃあ、これで決まりかな」


清納は焙烙玉ほうろくだまを投げ入れた。


「ちょ、これはまずいんじゃないか⁉」


俺が立ち上がると、姫天皇ひめみことが制した。


「⁉」


清納が投げ入れた焙烙玉が、石板から降りようとする清納のところへ飛んできた。


小町が投げ返した⁉


「マジ⁉」


清納は慌てて避け、焙烙玉は上空で爆発した。


地面に降り立った清納はスタミナが切れたようでため息をつき


「もぉ~、こんなの無理~」


と言った後に、何かを思いついた顔になった。


そして石板のすぐそばに立つと


「とてもすごい爆発でした。……ええ、でも怪我はないです。心配してくださってありがとうございます、湊さま」



俺は何も言っていないぞ⁉


「対戦相手の言霊使いなのに、湊さま、どうしてそんなに優しくしてくれるのですか?」


清納は一人芝居を始めた。


「え、そんな、私のことを⁉ 本当ですか! そんな秘めた想いをお持ちだったなんて……」


なんとなくストーリーが見えてきた。


「あ、ダメです、湊さま」


いや、こんな芝居に小町が騙されるはずが……。


主様あるじさま~~~」


防御結界が解除され、小町が姿を現した。


「四分二十九秒、攻撃側、蒼空チームの勝利!」


本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


冷静に考えるととんでもない場所で合宿している気がするんですが……。

でもみんな結界の中で楽しく勝負を始めました。


それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう

良かったらブックマーク登録をよろしくお願いいたします。


それでは午後もお仕事、勉強、頑張りましょう!

明日、また続きをお楽しみください!

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