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完結●歌詠みと言霊使いのラブ&バトル  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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35/68

幸福な目覚め

カーテンが少し開いていて、そこから差し込む日差しが丁度顔にあたり、俺は目を覚ました。


ゆっくり目を開け、横を見ると……。


……!


一気に目が覚めた。

そして俺は自分の寝相を確かめた。


大丈夫だ。

どこにも触れてない……。


俺は安心すると同時に、その綺麗な寝顔に見入っていた。

霊体化したはずの紫が、俺の隣で眠っていた。


紫の顔にも少し日が差し込んでいて、綺麗な肌を照らしていた。

瞳は静かに閉じられ、頬はうっすらと桜色に染まっていた。

桃色の唇からはささやかな寝息が漏れていた。


なんて美しく、そして無防備なんだ。


俺は手を伸ばし、紫に触れたいという衝動に何度も耐えながらその寝顔眺めていた。


ゆっくり抱き寄せ、きつく抱きしめ、紫の涼やかで爽やかな香りを思いっきり吸い込みたい……という気持ちを必死に抑え、その寝姿を見つめていた。


そして。


言葉にすることができない幸福感に満たされていた。


紫がそこにいて穏やかに眠りについている。


その現実がまだ夢のようで信じられず、喜びで胸がいっぱいになった。


すると。


俺があまりにも見過ぎていたからか、紫が目覚めてしまった。


「……!」


紫は俺に見られていると気が付き、慌てて体の向きを変えた。

そして「寝ている場合ではない!」と気づいたのか、起き上がろうとした。


俺は咄嗟にそんな紫に後ろから抱きつき、その動きを止めてしまった。


紫は驚いたようで、そのまま固まってしまった。


「あ、あるじ……」


紫が小さく声を漏らした。


紫の涼やかで爽やかな香りに俺はすっかり酔ってしまい、すぐに放そうと思ったのに、逆に腕に力を入れていた。


「紫……」


艶やかな紫の髪が俺の頬に触れていた。


俺は首を伸ばし、紫のうなじに口づけをしようとして……。


主様あるじさま‼」


突然、姫天皇ひめみことが空から降ってきて、俺の腰辺りにお尻から着地した。


「うわぁ」


俺は驚いて紫から手を離し、その隙に紫はベッドを降り、そして背後では小町が目覚めた。


主様あるじさま姫天皇ひめみことがありながら、朝から、許しません‼」


スリーパーホールドを決められ、俺は撃沈した。


そこに朝帰りした業平は「おやおや」と目を丸くし、紫も唖然としていた。



「合宿ですか⁉」


今日は午後から補習があり、いつも使っている教室が使えず、部活は午前中で終了だった。俺は学校を出ると、律と昼ご飯を食べ、その後ゲーセンで少し遊び、帰宅するところだった。


そこに莉子先輩から連絡がきた。


「そう、合宿だ。新しい言霊使いも増えた。お互いの技の完成度を披露し、研鑽しあうのにいい機会だと思うんだ。わたしはなんちゃってサークルに入っているが参加は気分で決められるし、蒼空は部活をやっていない。だから湊の都合に合わせられるが、いつなら空いている?」


お盆の時期は部活が休みだった。


でもお盆だと帰省やら家族行事があるのではと思ったが、蒼空の両親は海外に住んでいて、蒼空は一人暮らしをしていた。


莉子先輩は実家への帰省はいつもお盆の時期を避けていた。


「どうせ親戚と顔を合わせても小言を言われるだけで面倒くさい。それにうちは幸いなことに兄弟が多いから、わたし一人ぐらいお盆にいなくてもみんな気にしない」


ということだった。


ちなみに俺は生まれも育ちも実家があるこの場所なので、そもそも帰省とは無縁だった。


昔はお盆の時期に親戚が集まることもあった。だがそれもだんだんなくなり、お盆だから家にいないとダメ、ということはなかった。


その結果、合宿はお盆の時期に二泊三日で、莉子先輩が経営する結婚式場で行われることになった。そう、莉子先輩は大学生をやりながら実は会社を五社ほど経営する、凄腕の実業家でもあった。


本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


何気に朝帰りした業平がそれまで何をしていたのか……気になるところです。


それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう

良かったらブックマーク登録をよろしくお願いいたします。


それでは午後もお仕事、勉強、頑張りましょう!

明日、また続きをお楽しみください!

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