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完結●歌詠みと言霊使いのラブ&バトル  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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静かに流れる時間

小笠原久光は次の仕事があるからと、紫が札に戻ったと同時にもう移動を開始していた。


蒼空は、紫を札に戻してから一週間、病院にいた。だが退院するとその翌日には、歌合せの儀式を行い、新しい言霊使いと出会っていた。


蒼空が出会った新たな言霊使いは、清納せなと名乗った。


清納……清少納言はステータスは攻撃、だが回復も得意とした。


快活でよく笑い、底抜けに明るい清納を蒼空は気に入ったし、紫の不在を埋めるのに十分な存在だった。


さらに神器としてクロスボウを黒狐くろこから贈られた蒼空は、師匠である莉子先輩と黒狐に使い方の特訓を受けていた。


俺は九月の文化祭に向け演劇部の練習に通ったり、律や蒼真と会い、そして小町と姫天皇ひめみことと時間がある時に巡回を行った。結界の展開にも慣れ、祓いも短時間で集中して行えるようになった。


ふとした瞬間に紫のことを思い出すことはあった。

髪の長い女性とすれ違う瞬間や、涼やかで爽やかな香りを感じた時だ。


でも俺は一人の時間がほとんどなかった。


常に小町や姫天皇ひめみことがそばにいて、二人がはしゃいだり、ふざけたり、喧嘩していることでいつも騒がしかった。


だから俺は紫を失った悲しみに苦しむことなく、なんとかやり過ごすことができていた。



八月が始まり、一週間が経った時、突然白狐が俺の部屋に現れた。


「やあ、おはよう、湊」


俺は白狐の声で目覚めたが、その瞬間、自分がどこにいるのか分からなくなった。


なぜなら自分の部屋に白狐がいるはずはないと思ったからだ。


でも俺が抱き枕のように抱きしめていたのは姫天皇ひめみことで、俺の背中に寄り添っているのは間違いなく小町だった。


そこで俺は一気に覚醒して、ベッドから飛び起きた。


「な、どうして白狐が俺の部屋に⁉」


俺が飛び起きたので、姫天皇ひめみことと小町も目を覚ました。


主様あるじさま、もう起きる時間ですか~?」


白狐がいると気付いていない姫天皇ひめみことが腕を伸ばし俺に抱きついてきた。


「ちょ、姫天皇ひめみこと、やめろって。起きろ、白狐がいる」


俺が姫天皇ひめみことを振りほどこうとすると、小町が後ろから俺に抱きついてきた。


主様あるじさま、また姫天皇ひめみこととばかり~。ずるいです~」


「違うって、二人とも寝ぼけていないで起きてくれ!」


俺の剣幕にようやく二人ともちゃんと起きたようだった。


俺は目線を白狐に向けた。

二人は俺の視線を追い、「えっ」「きゃあ」と声を挙げた。



「別にぼくは風紀委員ではないからね。君たちがどんな関係でどんなことをしていようと気にしないから大丈夫だよ」


白狐はニッコリと笑った。


「それにぼくは心配していたんだ。湊は紫に命を救われていたし、結界の展開を習ったのも紫からだというじゃないか。だから紫が札に戻ったことで、落ち込んでいると思ったんだ」


白狐はそこで尻尾をふわっとふり


「でもこうやって小町と姫天皇ひめみことと仲良く元気にやっていてぼくは安心したよ」


言葉の一つ一つが針のようにチクチクと刺さった。


別に嫌味を言っているわけではないだろうに、俺の中にどこか後ろめたい気持ちがあるからだろう。


「……それで、白狐、わざわざ部屋まで来た理由は……?」


「ああ、それはそろそろいい頃かなと思って」


「……?」


「湊は結界の展開も祓いの腕も短期間でかなり上達した。今の所、呪魂じゅこんの襲撃はないけど、小笠原久光インパクトも道鏡の中で収まってきた頃だろう。何より昨晩、小笠原久光はこのエリアを離れたしね」


「え……、昨日までこの辺りにいたんですか?」


「うん。ずっとこのエリアにいたわけではなく、このエリアを拠点に動いていた、って感じかな。せっかくここまできたからって、何体かのあやかしを調伏していたんだよ」


「そ、そうなんですね……」


「まあ、そう言うわけでまた道鏡が何か仕掛けてくるかもしれないし、そろそろ湊も三人目の言霊使いを迎えてもいいのかなと」


「……!」


三人目の言霊使い……!


嬉しいという気持ちと同時に、これ以上今の状況を複雑にしたくないという、なんとも言えない気持ちになった。


百人一首は圧倒的に男の歌人が多いはずだ。

莉子先輩の言霊使いは四人も男がいる。

なのになんで蒼空も俺も女の言霊使いばかりなんだ……?

……もしかして、男の歌詠みには女の言霊使いと相場が決まっているのか⁉

もしそうならそれは男にとっては夢のような話。まさにハーレム……。

いや、俺にはその器量はない。

五人もの女子とうまいことやるなんて無理だ……。


「あ、湊、それじゃまた連絡するから」


白狐は逃げるように去っていった。


……どうしたんだ?


その瞬間、俺は殺気を感じた。


主様あるじさま、今、絶対やらしいことを考えていましたよね⁉」


姫天皇ひめみことが怒りで両手を震わせていた。


小町は涙をにじませ抗議した。


「可愛い女の子の言霊使いが増えたら嬉しいって顔をしていました。姫天皇ひめみことと小町がいるというのに!」


「いや、誤解だ、誤解……か?」


主様あるじさま‼」


「うわぁ、ごめんなさい!」



本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


湊に訪れる新たな言霊使いとの出会い。

どんな言霊使いと湊は出会うのでしょうか……?


それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう

良かったらブックマーク登録をよろしくお願いいたします。


それでは午後もお仕事、勉強、頑張りましょう!

明日、また続きをお楽しみください!

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