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完結●歌詠みと言霊使いのラブ&バトル  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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道教の狙い

誰も病室を案内していないのに、小笠原久光は迷うことなく蒼真の部屋にたどり着いた。


スライド式のドアの脇には蝉丸がいたが、一瞥して小笠原久光は中へ入った。


そしてそのまま蒼真が眠るベッドへ近づいた。


立ち止まって腕組みをして数秒眺めると「なるほど」と頷いた。


「……最近の道鏡の標的は?」


「そこにいる湊という少年だよ。四日前に歌詠みになったばかりだ」


白狐が答えた。


「攻撃方法は?」


「最初は少将クラスの呪魂じゅこんで、次は大将クラスの呪魂を送り込んできた」


「湊に道鏡が執着する理由は?」


「まだ分かっていない。湊が歌詠みとしての力が強いということ事実だが、道鏡がその理由だけで彼を狙うとは思えない」


「眠っているコイツ以外の、直近の一般人の道鏡のターゲットは?」


「高校一年生の男子。二週間前に中将クラスの呪魂を……」


「そいつがなぜターゲットだったのかは分からない、と」


「そうだね」


「で、今眠っているコイツも狙われた理由は不明、と」


「その通りだよ。蒼真が狙われた理由は不明だ」


「おい、歌詠みの奴らはいつからそんなに腑抜けになったんだ?」


「……」


白狐は無言だ。


「時代は変わった。昔みたいな暗殺はやりにくくなった。道鏡もやり口を変えてきたんだろう。直接、ターゲットを狙わなくなった」


突然、小笠原久光が俺を見た。


「湊、お前は蒼真のことを知っているな? 同級生……いや、友達か?」


……なんで分かるんだ……⁉


俺は頷いた。


「じゃあ、蒼真の父親の職業も分かるか?」


「蒼真の父親は政治家だ。次の総裁選への出馬も噂されている、今一番勢いのある政治家だ」


小笠原久光は俺から視線をはずし、蒼真のそばに立つと、その場にいる全員の顔をゆっくり見ながら話し出した。


「道鏡はこれまで、これから時代を動かしそうな人物を闇に葬ってきた。でも今はそういう人物への警備体制は厳重になった。だからやり口を変えた。本人を直接狙うのではなく、ターゲットに近い人間を狙うことにした。


穢れを装った呪詛。歌詠みの基本は祓いだ。穢れを見つければ当然祓おうとする。そこを逆手にとった。祓おうとする歌詠みに呪詛を移す。まあ、こっちはお遊び、というより嫌がらせだな。


本命はこっちだ。そう、ターゲットに近い人間にはビックリ箱のような呪詛を体内に残す。祓うと何が起きるか分からないが、歌詠みには祓うしか手段はない。早晩、祓いを試みる。するとターゲットに何かが起きる」


そこで小笠原久光は言葉を切った。


「さっき言っていた中将クラスの呪魂を送り込まれた高一男子の名は?」


鈴野すずの りつ。わたしと蒼空で彼を襲った呪魂は核ごと破壊した」


莉子先輩が答えた。


え、律⁉ まさか律も襲われていたのか⁉


「……蒼空」


小笠原久光は蒼空の名を一瞬口にしたが、すぐに


「湊、その表情、律を知っているのだな?」


「蒼真と同じ、俺の友達だ。律の父親は俺たちの通う高校の理事で、母親は確か……地震を研究する国の機関で働いていたと思う」


「地震……。なるほど。律の母親はもしかすると地震に関して何か重要な発見をしたか、これからするのかもしれない。道鏡は何か情報を掴んだ上でターゲットを選んでいるはずだ。


律に送り込まれた呪魂はブラフだ。呪魂に歌詠みが気をとられている隙に、律には穢れを装った呪詛がかけられた可能性が高い。……いや、これが正解だ。蒼真も呪魂に襲われているはずだ。確認しろ」


小笠原久光の言葉に白狐が頷き、姿を消した。


「穢れを装った呪詛は、ターゲットに近い人間に入り込んだ後、沈黙を続ける。それは待っているからだ。祓われることを。そしてターゲットである人間が現れることを。


この二つが重なった時、呪詛は祓われ、そしてターゲットは死ぬ。ビックリ箱の正体は、祓われると同時にターゲットを死に至らしめる呪いだ」


その場にいた全員の間で緊張が走った。


「呪詛を体内に宿した律と母親が一緒にいる場に歌詠みが現れ、祓いを行えば、呪詛を祓うことはできるが母親は死ぬ」


そんな……!


「湊、鈴野律に連絡を取れるか?」


莉子先輩の言葉に頷き、俺はスマホを取り出した。


メッセージアプリの通話ボタンを押す。

しばし呼び出し音が流れ


「ああ、湊か。どうした?」


いつもの律の声が耳に届いた。


「律、今、どこにいる? 何してる?」


俺はスピーカーをオンにした。


「ああ、今、空港にいる。母親がさ、出張から戻ってくるんだ。で、俺は夏休みで暇なんだから迎えにいけって、親父に言われて」


その瞬間莉子先輩が黒狐に何か話し始めた。


小笠原久光が俺にスマホを渡すように目で合図した。


「律、お前は腹の調子が悪いはずだ。今すぐトイレに行って、個室にこもれ。ぼくが声をかけるまでそこにいろ」


そう言うと、スマホを俺に返した。


駐車場の時と同じだ。何かの力を感じた。

小笠原久光は間違いなく術を使った。


男子トイレの個室にこもった律と母親が会うことは絶対にない。


俺は小笠原久光を見た。


「空港に行くぞ」


小笠原久光が歩き出した。



本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


陰陽師の小笠原久光の登場で、事態は大きく動き出します。


それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう

良かったらブックマーク登録をよろしくお願いいたします。


それでは午後もお仕事、勉強、頑張りましょう!

明日、また続きをお楽しみください!

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