姫天皇と俺の関係
公園でいくつかの結界の展開の仕方を教えてもらい、俺は家に帰った。
そして食事などを終え、自室に戻ると、待っていましたとばかりに、小町と姫天皇が現れた。
二人ともいきなり抱きついてきたので、俺はそのままベッドにひっくり返った。
「も~~~、主様、姫天皇は、ずっとこーするの我慢していたんですよ~」
「わ、私も主様のおそばにいたいのに、我慢していました」
「わ、分かった。今日は忙しかったから、とりあえず、二人とも起き上がって」
二人は起き上がると、思い思いの姿勢でベッドに座った。
俺は勉強机の椅子に座った。
「霊体化していたけど、二人とも俺のそばにいたんだろう?」
「はい」「もちろんです」
小町も姫天皇も即答した。
「だったらそんなに大騒ぎしなくても……」
「えー、主様はプラトニックラブ派ですか⁉」
姫天皇が目を丸くした。
「は?」
俺も目を丸くした。
「だって、主様ぐらいの年齢の男子であれば、好きな相手とは触れ合いたいと思いますよね⁉」
「……え」
「も~、主様、そんなとぼけなくても。恥ずかしがらなくていいんですよ」
「……」
姫天皇が俺に注いでくれる愛情、それは嬉しいのだが……。
俺はなんでこんなに可愛い子に熱烈に好かれるのかが分からず、正直戸惑っていた。
何よりあまりにも積極的にぐいぐい来られると、逆に引いてしまうというか……。
……あ、でも俺の言霊使いになるのは二度目と言っていた。
……。
前回、俺と姫天皇は一体どんな関係だったんだ⁉
まさか、恋人同士とか⁉
姫天皇は記憶があると言っていた。それを聞いてみるか……。
「なあ、姫天皇」
「なんですか、主様」
「姫天皇が俺の言霊使いになるのはこれが二度目なんだよな」
「はい」
姫天皇は嬉しそうに微笑んだ。
「……その、前回、俺の言霊使いとして現出した時はどんなだったんだ?」
「どんな、と申しますかと?」
姫天皇はキョトンと首を傾げた。
うっ、なんだか聞きづらいな。
俺はとりあえず当たり障りないことから聞いてみることにした。
「そうだな。前回はどんな敵と戦ったの?」
「覚えていません」
「え⁉」
「残念ながら戦闘の記憶はないんです」
「記憶があると言っても部分的ということか」
「そうみたいなのです」
「なるほど……。呪魂とは遭遇したのかな」
「多分」
「姫天皇以外の言霊使いは誰がいたの?」
「えーと、それは……すごいイケメンとあとすごく綺麗で賢くて眼鏡をかけていた女性がいました。あと二人いたと思うのですが、思い出せないですね……」
「……俺と姫天皇の関係は?」
「え」
姫天皇が顔を赤らめ、そこで考え込み
「……そ、それはですね。それはもう……周りが羨むぐらいラブラブでした‼ あ、主様は常に姫天皇のことをそばにおいて、片時も離さない、って感じで。御寵愛を賜っていました♡」
「嘘です!」
小町が声を挙げた。
「な、ヒドイ、小町! 姫天皇は嘘なんてついていない~」
「だって姫天皇、主様との関係について話す時だけ、視線がずっと右上でした。それに話し方もしどろもどろでしたし」
「そ、そんなこと関係ないでしょー」
……なるほど。
小町の言うことは一理ある。
となると、姫天皇の答えで参考にできそうなことは、以前、俺の言霊使いは五人いて、そのうちの一人が姫天皇で、あとはイケメンと、綺麗で賢くて眼鏡をかけていた者がいたということだけか。
今後歌合せの儀式をしたら、このイケメンと綺麗で賢い眼鏡女子と出会えるのか……?
記憶があるというから期待したけど、結局ほとんど覚えていないんだな。
うん?
となると、姫天皇の俺への熱烈な愛情はどこからきている感情なんだ?
もしかして前回もこんな感じで一方的に俺にアプローチしていたのか……?
「主様~、小町がいじめる~」
姫天皇が抱きついてきて
「そんな、小町、いじめてなんかいません。真実を言ったまでです~」
小町が抱きついてきて、なんだか振り出しに戻った感じだ。
「えっと二人とも、今晩も巡回をお願いしてもいい?」
「えーーー」
二人とも明らかに「ノー」の声を挙げた。
「二人が頑張って巡回してくれると、俺、すごく嬉しいんだけどな」
すると。
「……仕方ないですね。主様のためなら……分かりました。姫天皇、巡回に行きます」
「も、もちろん、小町も喜んで巡回します!」
……なんとなく二人の扱いが見えてきたぞ。
「ありがとう、二人とも。気を付けて頼むよ。俺は防御結界を展開するのに歌詠みの力を使うけど、二人は気にせず巡回に集中してくれ」
二人は頷いて霊体化すると町へ出て行った。
本日公開分を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は湊が防御結界を展開させるところからスタートします。
それでは明日も11時に公開となるため、迷子にならないよう
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明日、また続きをお楽しみください!




