21話
「てい」
「あいたっ」
どれだけたっただろうか。夢中になって本を読んでいたけど、誰かに額を硬いもので押されて我に帰った。
目の前には、椅子に座っている私を覗き込むようにしゃがんでるラフィネ様の姿があった。
「あ、戻った」
「え……ラフィネ様!」
いつの間に目の前にいたんだろう。というか、なんか辺りが暗い!私どれだけ読んでたの!?
私は慌てて目の前のラフィネ様に謝罪をして、そそくさと出したいろいろな本を本棚に戻していく。
でも、まだ読みたいと思う本が数冊あって、できればすぐにでも読みたかった。
「あ、あの……ラフィネ様」
「なに。本って、持ち出していいんですか?」
「……たくさんはダメだけど、2、3冊ならいいと思う」
「そ、そうですか。では、2冊ほど読みたいものがあるので持ち出してもいいですか?」
「えぇ。汚さないようにね」
「はい!」
厳選に厳選を重ね。2冊の本を選んで、私はラフィネ様と書庫を出た。
もうすぐ夕食の時間になるらしく、一度本を部屋に置いてから、一緒に食事をする部屋へと向かう。
家族全員揃っての食事は、よっぽどの事がない限りは絶対とされている。つまり、もちろんフィエルテ様もいらっしゃるという事。気が重いな。
「……お兄様は、バカがつくほどの真面目なの。だから、王族であることに誇りを持ってる。そのせいで偏った考えを持つけど、尊敬できる人よ」
私が、フィエルテ様のことを気にしているのを悟ったのか、少し前を歩くラフィネ様がそう話された。
あの席で、お二人は少し言い合いをしてはいたけど、お互いになにが納得できてなにが納得できないのか、それをわかっているんだろう。
「しばらくは、まぁ喧嘩腰というかひどいことを言うかもしれないけど、少しずつ理解してあげて。今はもう、あなたの兄なのだから」
「……はい」
そうだ。彼は兄で、ラフィネ様は姉。彼女、彼らは私の新しい家族。怖いとは思うけど、前とは環境が違う。少なくとも、ほとんどの人が受け入れてくれている。全面的に否定されてるわけじゃないんだ。
これから、今の暮らしに慣れていく。それと一緒に、家族との関係も築いていけばいい。
(大きな山場は、兄のフィエルテ様)
目標を立てながら、少しずつでも歩み寄って行こう。
まずは、とりあえず呼び方になれないと。シュタルク様もお父様と呼んで欲しそうだったし、頑張らないと。
「しばらくは、部屋と書庫、食事をする場所を行き来するだけだから、道を覚えてね。興味本位で、ほかの場所にいかないこと」
「はい」
「それじゃあ、行きましょうか」
書庫から私が与えられた部屋まではそんなに遠くなかった。
ラフィネ様の話では、シュタルク様が書庫への出入りが一番多いだろうからと、そこから一番近い部屋をくださったとのことだ。
「あの、龍族はどういうものを召し上がられるんですか?」
道中、私は頑張ってラフィネ様に話しかけた。無視されるかと思ったけど、意外にもちゃんと答えてくださった。
「龍は肉食だからお肉がメイン。魚はあまり食べないわ」
「そうなんですね」
「人間はなにを食べるの?」
「基本雑食なので、お肉も食べますし、お魚や野菜。キノコや穀類とか色々です。地域によっては、虫を食べるところもあるとか」
「へぇーそうなの。興味深いわね」
ラフィネ様は食事が好きなのか、意外にも食べ物の話は道中盛り上がった。
お肉はお肉でも、どういったお肉を主に食べるのかや、魚の青臭さが苦手とか、キノコは栄養になるの?とかそういった感じ。
この世界での食べ物事情はわからないけど、とりあえず前の世界の食料の話をする。これについては、もう少し仲が深まったら話そうかと思った。




