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18話

森を抜けた先は圧巻だった。

それはもう、大きな国だった。

人間種の王都には行った事はないけど、恐らくこれほど賑わっている事だろう。

住んでいる人々も、龍族ということもあって、ツノや羽、尻尾が当たり前のように生えている。でも、中には龍族以外の種族もいるみたいだった。流石に、人間はいないけど。


「鳥族に獣族もいるんですね」

「国は国民あって成り立つものだ。住む種族などは関係はない。この国に住んでいる以上、王である私にとっては、守る対象だ」


か、かっこいい!!

龍族だからっていうのもあるけど、それ以上に人がいいというか、中身が最高にかっこよすぎる。ホント、アレ(元家族)とは大違いすぎる。

今日からこの人の娘か……漫画や小説、まぁ現代社会でもそうだけど、親が立派すぎると子供はそうならないといけないと無意識に義務感を感じてしまう。

私も、この人の娘になったからには、恥ずかしくないように、と思ったけどそれは義務感じゃない。心からの尊敬と憧れだ。


「お、シュタルク様!」

「あ、シュタルク様!」

「シュタルク様だ!」


街の人たちがシュタルク様に気づけば、あっという間に囲まれてしまった。

私は抱き寄せられて彼のそばにいたけど、今になって気づいた。

みんな大きい……普通に180以上はあるであろう身長。女性でも、170はあるだろう。龍族って、みんなこんなに大きいの?獣族や鳥族は種類にもよるけど、結構小さい。それでも160〜175ぐらい。

そばにいるシュタルク様は平然としてるけど、初めて来た私にとってはとても大変な状況だ。は、早くこの輪から抜け出したい。


「おや、そちらのお嬢さんは?」


すると、シュタルク様を囲んでいた龍族の一人が私に気づいた。それにつられるように、視線が私に集まり、口々に「見かけない子だね」「小さーい」「何処の子だい?」などなど。私は辺りをキョロキョロしながら慌てふためいた。

その時、不意にシュタルク様に抱きかかえられた。所謂お姫様抱っこだ。


「紹介しよう。私の娘だ」


優しい笑顔。何処か、誇らしげな表情にも見える。

それがなんだか堪らなく嬉しくて、胸がぎゅっと苦しくなる。


「娘?4人のご子息ご令嬢以外にお子様がいらっしゃったのは初耳ですね」

「いや、先ほど娘になったんだ。元は別の種族だ」

「なんと!ではこの方は、あのシュタルク様からの種族転生を受けて無事龍族になられたのですか!?」

「まぁ、それはなんとすごい!」

「しかもこの見た目、シュタルク様に瓜二つだ!」


途端、私たちを囲んでいた人たちが急に手を合わせて膝をついて来た。

何が何だかわからず、また私はキョロキョロしてしまった。


叛龍はんりゅうではあるが、私の魔力によって龍族になった子だ。よくしてやってくれ」

「はい、もちろんでございます」

「新たな子の誕生、おめでとうございます」


よくは理解できてはいないけど、快く迎えられているという事でいいのかな……ちょっとびっくりしたけど。

その後、集団の輪から抜けた私たちだけど、シュタルク様は私を抱えたまま、徒歩で城へと向かった。道中国民たちに手を振ったり、言葉を交わしたりなどをして、交流を深めていた。

とても豊かで、平和な国。平和なのはまぁ、龍族が圧倒的だから攻められても簡単に撃退できるからというのもある。

豊かな理由は、国民の種族が龍族だけじゃないとういうのもあるのかもしれない。多種族の知識や技術。それらを使う事でたくさんのものが生まれて、生活が豊かになっている。


「素敵な国ですね」

「あぁ、私の国だからな」


嬉しそうなシュタルク様。そんな顔を見たら、私まで嬉しくなってしまう。

国民と交流しながら約2時間かけて、やっと龍族の城へとやって来た。


「ご苦労だな」

「あ、シュタルク様。お戻りになりましたか」

「あぁ。変わった事はないか」

「はい、問題ありません」

「そうか、引き続き仕事に励め」

「はい。ところで、その者は?」


城の門を守る門番が、不思議そうな顔をしながら私に向かって指を指す。まぁですよね。それ聞いちゃいますよね。


「娘だ」

「あぁ、そうなんですね。……娘?」

「あの、シュタルク様……まさかとは思いますが、その方、叛龍ですか?」


アワアワと冷や汗を流す門番に対して、シュタルク様は優しく私の頭を撫でてくださる。人前でされるとちょっと恥ずかしい。


「それがどうした」

「どうしたって!龍族の長が叛龍を生むなど!龍の王族は代々聖龍だというのに!」

「そうですよ!それに、フィエルテ様がなんというか!」

「私に意見するのか?」


ギロリと、鋭い視線と、とんでもない圧力。流石の私もゾッとした。どんなに高潔な存在だと思っても、やっぱりこの人は龍なのだ。人間では到底叶うことのない存在。


「い、いえ……そのような事は……」

「私は私の意思でこの子を娘に迎えたのだ。それに、お前たちは理解していないのか?この子は、私の魔力を受けて叛龍として生まれたのだ」

「っ!申し訳ありません、シュタルク様」

「我々が愚かでした!」

「問題ない。引き続き仕事に励め」

「「はっ!」」


随分と怯えた様子の門番の横をすり抜け、城の敷地内へと入り、その時やっと私は降ろしてもらえた。

先ほど、というか国の入り口付近で囲まれていた時にも疑問に思ったことが色々あって、私はシュタルク様にいくつか尋ねた。


聖竜については、軽く説明されていたからわかる。龍の血だけをもつ、純血の龍族。シュタルク様やその子供達。この国の王族は、全員が聖竜。

そして、叛龍はんりゅう。この言葉には二つの意味があるそうだ。

半分龍族、ということで半龍という者と元の種族(血)に叛いて、龍族になった者のことを叛龍というそうだ。つまり、龍族の血を引いておらず、魔法によって龍族となった私は叛龍と呼ばれる存在だ。

そして、そこに関わることでまたしても疑問。私が、シュタルク様の魔法によって叛龍として生まれたことに対して、なんだか「すげー!」みたいな反応をされた。

なんでも、シュタルク様の魔力はとても濃いそうで、普通のものがその魔力を体内に入れると、魔力酔いを起こしたり、体が拒絶して血を流したり、最悪死んでしまうらしい。

シュタルク様は500年生きる龍族。今までにも自分の子にしようとした人はいたらしいけど、全員が魔力に耐えきれずに死んでしまったらしい。つまり、唯一シュタルク様の魔力に耐え、子となったのが私だということらしい。


「なるほど……そういうことだったんですね」

「先ほど森でも話したが、この魔法は上位魔法の分類で、一歩間違えれば死んでしまうとても危険なものだ。相手が魔力に耐えられなくて死んだり、魔法を使った方が必要な魔力が足りずに、成功しても術者が死んでしまうことが多々ある」


変身魔法とは違い、生身の体を1から作り変える魔法。そりゃあ、命がけの魔法になるだろう。でもそんな魔法を、彼は私にかけた。シュタルク様は成功すると思われていたのだろうか、それとも前と同じように失敗すると思っていたのか……。


「どうした?」

「あ、いえ。なんでもありません」

「……城に入ったら、まずは家族を紹介しよう」

「家族……」

「あぁ。構成は、お前にとっては辛いものかもしれないが、兄と姉が一人ずつ妹と弟も一人ずつだ。この二人は双子だ」


あの家族と同じ兄弟構成……違う、とわかっていてもあそこでの仕打ちを嫌でも思い出してしまう。

兄や姉だけじゃない。年下のくせにばかにしてきた妹や弟。本当にろくでもない兄妹だった。


「皆いい子だ。まぁ、一人頭が硬いやつもいるがな」

「不安を煽らないでください」

「大丈夫だ。そうは言っても、根はいいやつだからな」


城の大きな門がゆっくりと開く。今日から私が住む家。ちゃんと住めるかわからない。なんて思うのはやっぱり前のことがあったからだろうか。

不安は消えない。だけど、その不安が消えるようになんでもやらないと。今度こそ私は、平穏で、幸せな生活を送るんだ。


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