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14話

見上げた先には角を生やした大きな男性がいた。木々の隙間からわずかに差し込む光で、キラキラと輝く青みがかった白銀プラチナの髪に、ルビーのように赤く、鋭い目。その目が私をじっと見つめた。誰だと聞かなくてもわかる。体が、自然と反応する。人じゃない。そう、人じゃない。


「殺されそうに、なりました」

「魔物相手だ。当たり前だ。私が聞きたいのは、何故この森に入ったのかだ」


私は目をそらさなかった。怖いからじゃない。あまりにも美しかったからだ。ずっと見ていたいほどに、美しい人だった。


「連れてこられて、突き落とされました……多分、私を殺すためだと思います」

「……金髪に碧眼……あの家の子か……私の記憶が正しければ、あの家族は子供を愛していたと思うが」

「他の兄妹は、そうですね……でも、私は違います……」


助けてくれたのかな……でも、助かっても私が戻る家はもうない。戻っても、待っているのは前と同じ生活。いや、今日殺そうとしたんだ。また、私は殺される。生きてあそこに戻るより、ここで死んだほうがまだマシだ……


「お願い、します……」


正座をして、地面に額をつけて、私は目の前の人にお願いした。

ここで死んでもいい。でも、そこかしこにいる魔獣じゃなくて、目の前にいるこの人に……


「私を殺してください……死ぬなら、あなたに殺されたいです……龍族様……」


圧倒的な力、そして誇り高き龍族への敬意。美味しくないかもしれない。それでも、死に方を選べるならば……神秘的な、神に近しい彼に殺されたい。


「何故そんなに死にたい。生きて、家族に愛される努力をしろ」

「それはできません。私は呪われており、それが原因で私は家族であれ、家畜以下の扱いを受けています」

「呪い?」

「はい……生まれながら、首に二つの花の模様があり……」


その時、最後まで言い終える前に勢いよく肩を掴まれ、そのまま体を起こされた。

彼は、短く「見せろ」と言いながら、私の首に巻かれた布を外し、その下にある呪いの象徴に目を向ける。


「……なんて愚かなことを……」

「あ、あの……」


彼は何かを納得しているみたいだったけど、私は至近距離にある彼の顔に慌てふためくしかなかった。

あ、地面に膝をつかせちゃった。服を汚しちゃった。そんな、相手に対する罪悪感で頭がオーバーヒートしそうになっていた。


「人の子よ、名はなんという」

「え……ぁ……アンジュ……アンジュ・シュタッバーテン」

「アンジュ……天使か……私は、シュタルク・グナーデ。龍族の長だ」

「お、長……えっ!」


龍族だとは思っていたけど、まさか龍族の長!そんな人が、私の今、目の前に!やばいどうしよう。粗相してないかな?本当に殺される?確かに望んだけど……でも、私って美味しいのかな?その前に私の血で服を汚すだなんて申し訳なさすぎる。


「アンジュ」

「は、はい!」





「私の子に、ならないか?」





優しく私の頭を撫で、愛おしそうに私に笑いかけながら、目の前の龍族の長、シュタルク様がそうお誘いされてきた。


「子……子供?」

「あぁそうだ」


私の子供にならないか?どういうこと?つまりそれって……養子?人間で。呪い持ちの私が、龍族の長の

子供になる?

理解した途端に私は自分の体温が下がる感覚に襲われ、少し距離をとってまた土下座をする。


「そんな!私のような者が……人間で、し、しかも呪いを持っているような私が!」


そんな私が、高潔な龍族の子供になるなんて恐れ多い!子供になるぐらいなら、まだ殺してもらった方がマシだ。


「聞け。お前が先ほどから口にしている呪いは、呪いではない」

「え……」

「それは呪いではなく、《愛》なのだ」


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