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7

 侍女兼秘書のニコラが部屋に戻ってくるなり、私は飛びつくようにして聞いた。


「どうだった?」


 ニコラは申し訳なさそうに、ゆっくりと首を振る。


「……そう」


 私は俯きそうになるのを我慢して、ニコラに微笑んだ。


「ありがとう。また午後も確認してもらっても良いかしら?」


「っ!はいっ!もちろんですアメリア様っ!午後にはきっと届きますよっ!」


 ニコラの言葉に、私は顔が強張るのを感じた。

 もう20日以上も、ニコラにこの言葉を繰り返させているわ。


 窓の外を眺めると、鮮やかな色彩が目に入った。来たばかりの頃は、あんなに輝いて見えたエルナン国の景色が燻んで見えた。


「……帰りたいわ」


 口から勝手に、言葉が漏れていく。

 極彩色の景色より、デジェネレス王国の落ち着いた街並みが無性に見たくなった。


「アメリア」


 ボンヤリとしていたら、叔父様の声がすぐ近くで聞こえて、私は驚いてしまった。


「お、叔父様、驚かせないで下さいな」


「さっきから呼びかけているよ。どうしたんだい、ボーッとして。サリナから食事も余り摂っていないと聞いているよ?」


 叔父様が私の頭を撫で、心配そうな顔をしている。

 いけない!叔父様も疲れていらっしゃるのに、余計な心配をかけてしまうわ!


「な、何でもないの!ちょっと疲れちゃって。連日、第3王子との会食でしょう?」


 私は慌てて平気な顔を作る。

 ここ数日、エルナン国の第3王子からのお召しが頻繁で、気疲れしているのだ。会食の度にあからさまに口説かれ、最近では身体に触れようとしてくる。ニヤニヤしながら髪や頬に手を伸ばされ、叔父様が間に入って止めてくださるけど、本当に気持ち悪いわっ!手を握られただけで肌が粟立つのに、髪や頬なんて絶対無理っ!


 黒炎花の輸入の交渉は、進んだり進まなかったりしている。相手も心得ているのか、こちらが諦めて引きそうになると交渉に乗り気な態度を見せ、話を進めようとするとまた口説き話に戻る。完全に話が無くなるならこちらも諦められるのだけど、そうとは言い切れないから困るのだ。


「まあ、あの会食では、食欲もなくなるか…」


 叔父様も溜息をついて私の頭を撫でる。


「アメリア。お前はもう交渉の場に出ないで良い。これ以上はお前が危険だ。第3王子のお手がついたなどと噂されかねない。実際、そんな馬鹿なことを信じ始めている馬鹿どもがいるからね」


「でも…。私が同席しないと、第3王子は交渉すらしてくれませんわ」


「それならそれで構わないよ。これは決定だよ。お前に万一の事があったら、エリオット殿下も悲しむよ?」


 殿下の名前を聞いて、私は胸が痛んだ。


「そんな事…。殿下は私のことなんて、もうお忘れになっていらっしゃるんだわ」


「ええっ…?何でそんなあり得ないことを言うんだい?」


 叔父様の呆れた顔に、私は肩を落とす。


「だって、お手紙が届かないんです。私が滞在を延ばすとお知らせした途端、届かなくなって…」


 そう。私が滞在の延長を知らせた後から、エリオット殿下からの手紙がパッタリと止んでしまったのだ。


「きっと私が滞在を伸ばしたから、お怒りになっているんだわ」


 私は痛む胸を押さえた。

 殿下からの手紙が絶えた後、私の方から何通か手紙を送ったが、それに対して返信もない。

 出発前には絶交だなんて言ってしまったし、口も利かなかったから、私に嫌気が差してしまったに違いないわ。


「あ、あ〜。もしかして食欲がないのは、殿下からの手紙がないせいかい?まさかここまで劇的に効くとは…。ああでも、これでアメリアが健康を害してしまっては、元も子もない…」


 叔父様が何かブツブツと仰っているが、悲しみに囚われていた私の頭には一つも入ってこなかった。


「アメリア。実はね…」


 その時、叔父様の言葉を遮るように、遠慮がちなノックの音が聞こえた。


「申し訳ございません。オリバー様、アメリア様…」


 サリナが部屋に入ってきて、困ったような顔をしている。


「その…、第3王子から、アメリア様に明日の王国主催の夜会の招待状が届きまして」


「またかい。はぁ…」


 叔父様が嫌な顔をする。気持ちは分かるわ。5日に1度は届くのよね。どれだけの頻度で夜会をしているのかしら…。


「それと、その…」


 サリナが言い辛そうにして差し出した物に、私は目を剥いた。

 そこには、箱に納まったドレス…と言っても良いのかしら?何ていうか…。布地が極端に少なくて、おまけに透けているわ。


「何だこれはっ!!」


 叔父様が顔を真っ赤にして怒鳴る。私も多分、今顔が真っ赤だわ。

 夜会の招待状には、第4夫人のお気に入りの店で人気のあるドレスを贈るとあったわ…。第4夫人って、元踊り子の方よね…。


「信じられないよ!国柄の違いとはいえ、こちらの文化にもっと配慮出来ないのか?未婚の淑女に何て物を贈るんだ!」


 叔父様の言う通り、淑女が肌を晒す事など許されない我が国とは余りにも感覚が違いすぎて、到底受け入れられないわ。でも、エルナン国でお会いした他の方々は、文化の違いは感じたけど、こちらへの配慮が出来る方ばかりだった。やっぱり私が、第3王子から軽んじられているだけなのね。


 私は自分の力不足に情けない気持ちになった。

 デジェネレス王国で事業を行う時には、こんな壁にはぶつからなかった。いえ、壁が取り除かれていたと言った方が良いのかしら…。

 ただの伯爵令嬢が事業を行うなど、男性優位の考え方が根強い我が国では、普通受け入れられるものではない。私がオースティン領や国中の治水工事の事業に関われたのは、エリオット殿下の後ろ盾があったからだ。王太子が進める事業だからこそ、私はのびのびと事業のことだけを考える事ができた。彼の手の中で守られていたのに、功績がエリオット殿下のものになったことを恨んでいたなんて、後からお父様や叔父様から諭されて、穴があったら入りたい気分になった。


 私一人では何も出来ない役立たず…。

 だからエリオット殿下も私に愛想を尽かされて、離れていってしまったのね。


 ズキズキと胸が痛んだ。

 エリオット殿下は、私にちゃんと謝罪をして、その心の内を伝えて下さったのに、私は自分が傷ついたことだけに目を向け過ぎて、聞く耳を持たなかった。今頃になって殿下が自分にとってどれほど大事な人か気づくなんて。遅すぎるわ。

 もう二度とエリオット殿下に笑いかけてもらえないのだと想像するだけで、苦しくて苦しくて、息をするのも辛くなる。

 立っていられなくて、私はフラリと椅子に崩れ落ちた。


「アメリア!」


「アメリア様っ!」


 崩れ落ちた私に駆け寄り、叔父様が抱き起してくださったけど、身体に力が入らなかった。

 ニコラが慌てて、医者を呼びに飛び出して行く。


「ニコラ…大丈夫よ…。叔父様、ニコラを止めて…」


「ダメだよ、良い子だから大人しくしなさい。今、お医者様に来ていただくからね。あぁ、ゴメンよアメリア。私がイタズラなんかしないで、君に伝えれば良かったんだ」


 叔父様が私の頭を撫で、悲痛な顔をしている。

 イタズラって、何のことかしら。

 ボンヤリとそんなことを思っていたら、飛び出して行ったばかりのニコラが、騒々しい音を立てて戻ってきた。


「アメリア様っ!来てますっ!来てますっ!」


「…ニコラ?え?…もうお医者様がいらしたの?」


 なんて素早いのかしら?今飛び出して行ったばかりなのに。でもお医者様は必要ないわ…。私に必要なのは…。


「アメリアっ!大丈夫か?!」


 よく通る、低い声が聞こえた。

 バタンとドアが開いて、そこには、やや髪を乱した、エリオット殿下が立っていた。


 私は夢を見ているのかと思った。それとも、会えない悲しみのあまり、幻覚を見るようになったのかしら?

 叔父様に支えてもらいながら体を起こし、じっとエリオット殿下らしき人を見つめる。


「エリオット殿下?どうして此処へ…」


 叔父様が決まり悪そうに頬をかいている。


「ごめんよ、アメリア。手紙が届かなくなったのは、殿下がこちらに向かっていたからなんだ。こちらにいらっしゃる事は国から知らされていたんだけど、内緒にしていたら驚くかなぁと思ってね…」


 叔父様の言葉に、私は目を丸くした。

 殿下のアメジストの瞳が私を捉え、一瞬で険しくなる。


「アメリア…。真っ青になっているじゃないか!大丈夫か?」


 殿下が、悲鳴のような声をあげ、私に大股に近寄ってくる。


「あぁー。アメリア様。もしかしてこんな遠くの地まで殿下が追いかけてきて、気味が悪くなったんですか?」

 

 今にも殿下の手が私に触れようとしたときに、エリオット殿下と一緒に部屋に入ってきた側近のアルト・スタック様がそんな事を仰ったものだから、殿下はビクリと動きを止めた。


「アルト!なんて事を言うんだっ!そんなことっ…そんな、あぁ、アメリア、もしかしてそうなのか?私がこんな所まで来たから、怒っているのか?」


 エリオット殿下が眉をへにょりと下げた。


「すまない、アメリア…。君の手紙に、滞在を延ばすとあったから、どうしても会いたくて居ても立っても居られなくなって、大急ぎで仕事を片付けてこちらに来てしまったんだ…」


「陛下と王妃様にしつこい男は嫌われるからと止められたんですがね。私はお目付役です。アメリア様が嫌がったら、殿下を縄で縛り付けて国に連れ帰れと、陛下より厳命されています」


「アルトっ、少し黙れっ」


 私はエリオット殿下とアルト様のお話するのを呆然と眺める事しか出来なかった。

 

 本物の殿下…?

 私に会いに来てくださったの…?


 視界が滲むのを感じた。気がついたら、私の目から涙が溢れていた。


「アメリア…。どうしたんだ?そ、そんなに私が来たのが嫌だったのか?」


 エリオット殿下が、私の傍でオロオロと狼狽えている。

 私は首をゆるゆると振った。


「お手紙が…」


 私は涙を拭って、殿下に必死で伝える。


「うん?手紙?」


「お手紙が…、殿下からのお手紙が届かなくて…。私、殿下に嫌われたのかと…悲しくて…」


 グズグズと泣き続ける私に、殿下が唖然とした顔のまま、私の頭に手を伸ばし、柔らかな手つきで髪を梳く。


「嫌うなど…。そんな訳ないじゃないか。アメリアに手紙を送るのが、最近の私の一番の楽しみだったんだぞ。君から返事を貰って、どれほど嬉しかった事か」


 殿下の手が、私の頬に伝う涙を拭う。その手に頬を擦り寄せると、殿下に優しく抱き寄せられた。


「アメリア、泣かないでくれ。君に泣かれると、どうしたらいいか分からない…」


「エリオット殿下…」


 壊れ物を扱うように優しく抱きしめられ、私は心が喜びに満たされるのを感じた。殿下の胸に顔を埋め、ピッタリと寄り添っていると、辛い事など何もないと思える。


 殿下に優しく触れられるのが嬉しくて、私はギュッと殿下に抱き付いた。


「あー、二人の世界に浸っている所、悪いけどねぇ…。我々もいる事をそろそろ思い出してくれないかなぁ」


 そこに気まずそうな叔父様の声が聞こえて、私はハッと我に返る。

 そっと目を開くと、呆れ顔の叔父様と、「うわぁ、殿下を受け入れられるんですか、アメリア様、心が広い」と驚愕しているアルト様、顔を赤らめワクワク顔のニコラとサリナが私たちを見守っていた。


 一気に顔に血が昇るのを感じて、私は慌てて殿下から離れようとしたが、殿下が離してくれない。


「あ、の、エリオット殿下…」


 羞恥に耐えられず、身体を離そうとするが、殿下の腕はビクともしない。


「もう少し堪能させてくれ…」


 殿下にますます深く抱き込まれ、そう呟くように言われると、私は抵抗する事ができなくなってしまう。


「はあ。仕方ない。スタック殿、相談したい事があるから別室へ移動しましょう。ニコラ?サリナ?」


 叔父様の言葉に、ニコラがニヤニヤしながら、サリナに目配せした。


「アメリア様は殿下にお会い出来ない寂しさで朝食を殆ど残してしまわれたので、何か軽食を準備してまいりますっ!さ、行きましょう、サリナ」


 何気に恥ずかしいことをニコラに暴露され、私はますます顔を赤らめた。4人は私たちを残してサッサと部屋を出て行く。


 皆が去った後、暫く二人で何も言わずに抱き合っていたが、殿下に促され顔を上げた。


 至近距離に殿下の麗しいお顔があって、私は顔が恥ずかしくなった。泣いたので酷い顔をしている筈だ。


「アメリア…。自惚れかもしれないが、もしかして私を想ってくれているのだろうか」


 熱を孕んだアメジストの瞳が私を射た。羞恥に俯きそうになるのを必死で堪え、私は自分の気持ちをちゃんと伝えようと思った。意地を張って、もう後悔なんてしたくない。


「はい。エリオット殿下をお慕いしています」


 はっきりと、殿下の瞳を見つめて応える。アメジストの瞳が幸せそうに緩んだ。


「アメリア…。私の最愛…。私も愛している」


 とろりと甘く蕩けた声で呟くと、殿下の唇が私の唇に触れた。軽く、柔らかく触れていたのが、段々と深くなるにつれ、私の意識は沸騰した。


 貪るような口付けが終わると、私はグッタリと殿下の胸にもたれた。

 は、初めての口付けだというのに、激し過ぎないかしら?


 そんな私を気遣いながら、エリオット殿下はクスクスと笑う。


「婚約もまだだというのに、こんな風にアメリアの唇を奪ったと知られたら、バーンスタイン伯爵に殺されるな…」


 ボンヤリとする意識の中、私は思った事を口にした。


「お父様が…?いいえ、私も望んだことですから、お父様は許して下さると思います…」


 私の言葉に、エリオット殿下が一瞬硬直し、顔を赤らめる。


「アメリア…意味が分かって言ってるのか?…まったく」


 先程よりも激しく、再度エリオット殿下に貪られるように口付けられた…。なんで?!




◇◇◇



 暫くして叔父様達が戻ってきた。

 抱き合うのはやめたが、ピタリと寄り添っている私たちに目を細め、叔父様が臣下の礼をとる。


「エリオット殿下。アメリアの王太子妃へのご推挙、バーンスタイン家は謹んでお受けいたします」


 エリオット殿下が目を見開く。私も驚いて叔父様を見つめた。


「バーンスタイン家の当主の許可なくそのような返事をしてもいいのか?」


「兄からは、アメリアが望むならそうお答えするよう申し遣っております」


 エリオット殿下に嫁ぐ事を反対されるかと思っていた私は、驚いて思わず口を開いた。


「お父様も叔父様も、反対なさっていたのに…」


「いやぁ、だって、アメリアはエリオット殿下の事がお好きなのは分かっていたからねぇ」


 叔父様に苦笑混じりにそう言われ、私は首を傾げた。

 私でさえついさっき殿下への気持ちを自覚したばかりなのに、どうしてお父様と叔父様はそんな事を仰るのかしら。


「だって、アメリアはエリオット殿下に触れられるのを嫌がっていなかったからね。絶交を宣言している時でさえ、額に口付けられるのを受け入れていたじゃないか」


 あ…。そ、そういえば、そうね。

 チラリとエリオット殿下を見上げると、殿下は微笑んで私の頬に口付けた。


「前の婚約者のルイスの時は、手を握られてもさり気無く逃げていたし、第3王子が髪や頬に触れようとした時は、毛虫が近づいたような顔をしてたからね」


「た、確かに…」


 前の婚約者のルイス様に触れられると、気持ち悪さでゾワゾワしたのよね。それに第3王子は…。あれはどんな女性でもそう感じると思うから、比較の対象にはならないわね。


「第3王子がアメリアの頬や髪に触れようとしたのか…?」


 私が思考を巡らせていると、傍から何やら不穏な声が聞こえた。


「アメリア…?第3王子の話は手紙になかったが、どういう事かな?」


 殿下の静かな声に、私は嫌な汗が背中を流れるのを感じた。


「あ、あの、その」


 殿下はどこか迫力のある笑顔で、私を抱く腕に力を込める。痛くはないけど、逃げられる気がしないわ。


「アメリアは慎み深い淑女ですからね。父親よりも歳上の男から第5夫人にならないかと口説かれているなどと、殿下に相談出来なかったのでしょう。しかしやはり外交は難しい。国風の違いというのに戸惑いますね。このようなドレスを送られて、アメリアはショックで倒れてしまったんですよ」


 叔父様がさり気無く、第3王子から贈られたドレスをエリオット殿下の前に晒す。

 叔父様?私のフォローをしてくださったのかと思ったら、殿下を煽ってらっしゃいますね?

 それに私、ドレスを見て倒れたんじゃないですよ?


 殿下はドレスを見て、愕然としていた。

 

「なんだこの、破廉恥な布はっ!」


「我が国では新婚夫婦の夜着ぐらいにしか使いませんよね、このような布は。これを着て夜会へ出席するよう求められていまして」


 し、新婚夫婦の夜着?!こんな恥ずかしいものを纏わなくてはいけないの?

 無意識にイヤイヤと首を振っていたら、殿下が咳払いをする。こちらを期待したような目で見てらっしゃるけど、着ませんよ!着ませんからね!?


「しかし、アメリアを第5夫人だと…?しかも女狂いが過ぎて政権争いから落ちこぼれた第3王子如きが…」


「エリオット殿下。本音がダダ漏れています。お気持ちは分かりますが、国際問題になりかねないので謹んでください。お気持ちは分かりますが」


 アルト様が殿下を押しとどめる。

 第3王子は昔、高位貴族の妻に手を出して政権争いからいち早く落ちこぼれたらしい。他の兄弟は現王から領地を賜りとうに独立しているのに、女性問題ばかり起こす第3王子は王宮で飼い殺しになっているのだとか。


「性懲りも無くまた女性問題で我が国と諍いを起こすとは…。愚劣な王族としてエルナン国の歴史に名を刻ませてやろうか」


 不穏っ!不穏ですっ!誰か止めて?!


 そう思って見回すと、全員同じ顔で嗤っていたわ!?ちょっと、ここに常識人はいないの?

 仕方ないわ。私が殿下をお止めしなくては!

 でも、どうやって…。


「エリオット殿下…。喧嘩はダメです!穏便にっ!」


「大丈夫だよ、アメリア。私が負けるはずがないだろう?」


「一番の目的は民のための特効薬です!」


「分かっているよ。その交渉はもちろん成立するさ。ついでに第3王子に誰に手を出そうとしていたのか、キチンと理解してもらうだけだよ」


 にっこり。

 エリオット殿下が綺麗な笑顔を浮かべる。

 いつもの私の大好きな笑顔だけど、全然嬉しくないわ!




 

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[気になる点] 王子が進める事業だから、手柄を横取りとかを考える己を 恥じてるけど、自分の手柄にするなら自分でやるべきだっ たんじゃ?主人公の場合、上の人間が部下の手柄を横取り する典型的な例だと思い…
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