山間ドライブ
あらすじ
真夜中に峠を走る車が一台、その車内での会話劇
大学時代に作ったボイスドラマのセリフ部分をアップしただけ。
登場人物
川原光孝
運転手、沸点が低く切れやすい
山本信治
テンションが高い馬鹿
海鳥美月
クールさん
水澤結城
マイペース、関西人
草加静
口数すくない、テンション低め
女将
モブ
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暗闇の峠を走る車が一台。
川「今、何時だ?」
山「えーっと、午後11時をお送りします。」
川「おい。」
山「なに?」
川「なんか喋れ。」
山「なんで?」
川「いいから、しゃべれ!黙って運転してると眠くなるんだよ!」
山「えー、旅先とかけまして。」
川「なぞかけ!?」
山「だって、喋る内容なんてもうないよぉ。」
川「えぇい、いつもは黙れって言っても喋るくせしやがって!」
山「まさか、こんな時間になるとは...。」
川「お前が鍾乳洞で迷子になるからだろが!」
山「なにおう、なにも言い返せん!」
水「言うてることが、さっきと真逆やな。」
海「やめなさい。二人とも」
草「喧嘩ダメ、絶対」
川「なんだよ!こいつが馬鹿だから悪いんだろ!」
山「否定できん!」
川「黙れぇ!」
草「でも、悪いのは山本くんだけじゃない...」
水「道に迷ったんは、きみが近道やって言うたんが最初やん?」
川「うっ」
山「そうだ、そうだ。俺が迷子になったの差し引いても、
お前が迷ったのが決定打じゃん、俺、汚名挽回じゃん。
海「挽回するのは名誉にしときなさい。」
水「汚名は返上しよな。」
川「なんっだよ!おまえ、こいつにやさしくねぇか!」
草「それは、そうだよ。」
海「だって、この車は信治の家の物で、宿も知り合い価格で安くしてもらってる。」
水「そうなんや。」
山「あ、さっきメールしたら晩飯、着いたらすぐ出してくれるって。」
草「役にたってる。」
川「認めたくねぇー!」
海「役にたたないあんたは黙って運転しときなさい。」
山「ちょw流石にかわいそうになってきたからやめたげてw」
川「お前に同情されんのが一番かわいそうだわ!」
草「どうでもいいけど、旅館、どれくらいで着きそう?」
水「そうそう、どんくらいで着くの?」
山「えーっと、もうすぐ着くと思うけど...あ。」
川「どうした?道間違えたとか言わねぇよな?」
水「どうなん?」
海「もし、そうだとしたら、功労者でも殴るわよ?」
草「異議なし。」
山「違いますぅ、道はこの道沿いにありますぅ。」
草「だったら、なに?」
山「いやね、このあたりで、よく出るって噂が...。」
川「やめてよ、ほんとにでそうなんだから!」
草「意外、海ちゃんは幽霊とか信じてないと思ってた。」
海「信じてないけど、怖い話は嫌いなの!」
川「ほー、よし、信治話せ。」
山「んじゃ、始めまーす。」
海「やめてぇぇえぇ!?」
川・水・草「まぁまぁまぁまぁ。」
山「どっかの大学のサークルで、今、向かってる旅館に行こうとしてたらしいんだけど、途中で迷って着くのがだいぶ遅くになったらしんだ。」
川「まんま、今の俺らだな。」
山「で、いそいで向かってたんだけど、この先の急カーブ曲がりきれなくて、崖からおちたんだ。」
草「ありがち。」
山「落ちた車に乗ってたのは五人。四人は助かったんだけど、一人は死んじゃったんだ。」
海「聞こえない聞こえない...」
山「それから、夜中にこの道通ると、その死んだ一人が旅館に行きたがって、車に乗り合わせるって話。」
川「怖いか、これ?」
草「正直、微妙...。」
海「でも、今乗ってるかもしれないんでしょ?」
水「かもなぁ。」
草「噂だし、よくある話。暇つぶし程度に聞いてればいい。」
川「乗ってくるだけだしなぁ。」
山「ちなみに。」
草「ん?」
山「乗った車が崖から落ちるらしい。」
川「さらっと事いうなよ!」
海「死ぬ、あたしたち死んじゃうんだ!」
水「キャラ壊れた!」
川「うお、暴れんな海鳥!草加押さえろ!」
草「落ち着いて、噂だから」
山「あ、そのカーブ。話のとこね。」
川・海・草「ぎゃぁぁぁぁああぁぁぁああぁあ!?」
山「おぉ、ドリフトカーブ。」
水「余裕やな君。」
川「乗りきった、乗り切ったぞ!」
山「ちなみに、別の話で翌日誰かが死ぬって噂も」
水「それはホンマ。」
海「黙りなさい!黙って旅館の場所をいいなさい!?」
山「ちょ、言ってる事が無茶苦茶。」
海「どこよ?どこなのよ!?」
山「ちょ、見えてるから、もう見えてるから後ろから首絞めない...。」
川「山本ぉぉぉぉぉ!あれか旅館。」
草「早く入る。海ちゃんが山本くんを絞め殺す前に!」
・・・
川「よし!到着。草加、海鳥降ろせ。」
草「海ちゃん、着いたから旅館に着いたから、降りよう。」
海「うぅぅぅぅ、くぅちゃん、怖いよぉ。」
水「誰や、この弱々しい子。」
山「三途の川って、綺麗だった。」
川「臨死体験だな。とりあえず、旅館に入ろうぜ。」
山「そうだねぇ、あぁ、空気がおいしい。」
川「いくぞ、すいませーん。」
女将「はーい、いらしゃいませ。」
山「お世話になります。」
女将「あら、坊ちゃん?お顔色が優れないようですが?」
草「いろいろ、ありまして。」
女将「そう、なんですか?とりあえず、お夜食ご用意いたしますね。」
海「お腹へってきたわね...。」
草「いつもの調子に戻ってきた。」
女将「あ、ご予約の確認なんですけど。」
山「はい。」
女将「映画サークル、四名様でよろしかったですしょうか?」
山「はい。」
〈了〉