隠されていた自分の血筋。
私は結構ホラー系好きなんですが、ゾンビと虫は嫌いです。
始めは逆光で全く見えなかった祖父の顔が後ろに控えていた執事さんの気遣いによって見えるようになった。
「初めまして。孫の春宮玲です」
玲は軽くお辞儀をする。
「もう少しこちらへ来なさい。念願の孫との対面なのに顔が見えないではないか」
祖父にそう言われると玲は祖父へ近づいた。
「顔は昔のあいつにそっくりじゃ。背はお前の父さんによう似とる」
「ありがとうございます」
「おじい様。そろそろこの辺で。玲にあの話を…」
急に止めたので玲は誰かと思ったら父だった。
「お前さんに言われなくとも分かっておる。ごほん。我が孫よ。今からお主に我が春家当主春宮家の真実を教えよう」
「春宮家の真実…?」
「さよう。なんせ、お前さんは次期春宮家当主なのだからな」
「えっと…どういうことでしょう?」
「千年以上前からこの世界には悪魔が存在していたのじゃ。悪魔は、地をからし、天を燃やし、海を荒らし人間を殲滅させようとしていたのじゃ。それを止めるため、一人の巫女が4人の青年と共に神にある誓をたて、力を授かったという。均衡と光を司る春。正義と太陽を司る夏。秩序と月を司る秋。平和と闇を司る冬。そして、希望を司る天。このうちのひとつ、均衡と光を司る春が、我が春家のことじゃ」
「均衡と光を司る春…」
「そうじゃ。現当主は勝正じゃが、次期当主はお前さんなのじゃ」
「そんな、急に言われたって!!」
「本来であれば6歳にこの話をする予定じゃった。じゃが、ちいとばかし言えない大人の事情で今話したのじゃ」
「そんな…」
「お前さんには酷な話じゃが、これは絶対なのじゃ。異議は認めん」
「今日は部屋に戻ってゆっくり休むが良い」
玲はもう頭が仕事をしたくないと言っているので仕方なく、豪華な部屋をあとにした。
「父上、言わなくて良かったのですか?」
「いいのじゃ。可愛い孫の顔がこれ以上暗くなるのは見たくないからな」
「あいつ、ここに来る前に悪魔に遭遇してしまったみたいなんです。その時にちょっと力を…」
「その件はわしの方で何とかしよう。お前さんは他の当主を呼び、警備の強化を徹底するようにしとくれ」
「分かりました」
その頃、使用人に案内され部屋に着いた玲はというと
「あぁー、疲れた〜。おじい様があんな人だったなんて初めて知ったよ。メンタル抉られる…。隼人はここに来てからつれない態度で飽きるし、あぁ、なんでこんなことになったんだ?」
ぶつぶつ玲が独り言を言っていると、外から変な音が聞こえてきた。
「ん?この音は?」
音はどんどん近づいてくる。だが、何の音なのかさっぱり分からないのでただ恐怖だけが募っていく。
玲はあまりホラーが好きではない。夜中に暗い部屋でホラーゲームとか怖すぎて全くできないのだ。さらに言っちゃうとグロいやつもNGだ。グロいやつをみたあとは1人でお風呂に入れなくなる。彼は意外とチキンなのだ。
そんな彼が広い一人部屋で、1人で、奇妙な音をきいている。耐えられるはずがない。
部屋の隅っこでガタガタ震えていると、その瞬間は突然現れた。