ちゃっかりはぐらかすって酷くないか?
ちょっと短めです。
と言うより、これから先はこんな感じの短さです。
【追記】
春宮から玲、桜木から隼人に表記を変更しました。
また、少しだけ修正をしました。
誤字、脱字などありましたら、コメントしていただけるとありがたいです。
誰かが呼んでいる。
だが、その声が誰のか分からない。
(俺、死んだのか…?)
さっきまでの事が嘘なのか、本当なのか、分からない。
(玲、玲!!)
(うるさいなぁ…。死んだなら静かに寝かせてくれよ…)
(玲、しっかりして、玲っ!!)
「…うるさいなぁ!!」
ぱっと急に目の前が明るくなった。
「ここは…どこだ?」
「ここは、さっきの道路だよ。玲、急に倒れたからびっくりした」
ふと、さっきの出来事が頭をよぎる。
「そういえば、隼人怪我は!!」
「大丈夫だよ。玲のお陰で全部治った」
「俺の…お陰?」
「そう、玲のお陰。ありがとう」
「じゃあ、親父の所に行くか」
玲が立とうとすると、力が全く入らなかった。
「あれ?なんか立てない…」
「ちょっと待ってて」
隼人はちょっと玲から離れ、電話をかける。
玲は、先程から気になっていた視線を見てみる。
どうやら、何が起こったのか、皆分からないようで、騒ぎの中心にいた玲達のことを凝視していた。
(なんか、居心地悪い…)
すると、隼人が戻ってきた。
「今、車を呼んだからもう少し待ってくれる?」
「少しなら待つ」
「りょーかい」
隼人はさっきの事は夢だったかのように何も話さない。
というか、もしかして忘れているのかもしれない。
「なぁ、隼人」
「ん?どうしたの」
「さっきの…その…」
「あぁ、さっきの悪魔の事?あれは気にしなくていいよ」
「そうじゃなくて…」
「玲はまだ知らなくていい」
有無を言わせない隼人の態度に玲は黙ってしまう。
沈黙を待たずして車がきた。
「お疲れ様です。迎え、ありがとうございます。さぁ玲、乗るよ」
「えっ、あっ、あぁ…」
玲は立とうとするがやはり立てない。
そんなことは分かっていたかのように隼人は春宮のことをお姫様抱っこし、車の中へ入る。
「えっ、ちょっ、隼人、おろせよ!!」
「だって、玲、歩けないじゃん。こうするのが一番早い」
「でも、俺のプライドがっ!!」
「うるさい」
「んな!!」
すると、車内から笑い声が聞こえてきた。
「玲、わがまま言ってるからめっちゃ注目されてるぞ」
「父さんっ!」
周囲は、男がお姫様抱っこされているのに凄く注目していた。
「じゃあ、乗るよ」
「うぅ…」
こうして玲は渋々お姫様抱っこされ、車内に運ばれた。
「いやぁ〜、迎えに来てもらうはずが、こっちが迎えに来るってどういうことだろうねぇ〜、玲?」
「うっ、うるさいなぁ!!こっちだって悪魔のようなやつが出てきて大変だったんだよ!!」
一瞬、玲の父の表情が変わったが、そんなのは気にしない。
「隼人だって、ナイフで刺されてさ!!」
「本当なのか?」
「はい…少々、しくじって…」
「はぁ…。お前ら、少し気が緩んでないか?」
「いや、そんなことないって、父さん!!」
「そんなこと言って玲、地学の成績が2ってどういう事だ?ほかの教科は5なのに地学だけ低いとは、おまえの気が緩んでるからじゃないのか?」
「うっ…それは…」
「玲、後で話がある。後で私の部屋に来なさい」
「分かりました…」
車内の沈黙は、目的地に着くまで続いた。