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平凡な高校生が対魔士とかいう職業(家業)になりました。  作者: 華月 まほ
春宮家の跡継ぎは何も知らない
1/4

誕生日に悪魔って冗談だろ?

えっ、前書きなんてあるの!!



じゃなくて、華月 まほです。


初めての投稿なので、至らない点が多々あると思いますが、よろしくお願いします。


人気(ひとけ)のない森の広場で、()は誰かを待っている。


時折自由に吹く風が()の髪をなびかせ、誰も来ないのだと伝える。



「誰も、いないのか…」



思わず口から出た悲しげなその声は、人気(ひとけ)のない森に響くにはあまりにも小さく、容赦ない風に消されていった。


()天宮 龍(あまみや りゅう)は誰も返事をしてくれないと分かると悲しそうに森の広場の中央にある台座を少し見た後、向きを変え戻ろうと歩き始める。



「龍、私がここにいるじゃないですか」



誰もいないはずなのにふと聞こえたその声は、龍には届かず、誰も聞くことは無かった。



























春宮 玲(はるみや れい)の耳元で大音量の目覚まし時計が残酷にも朝の7時を知らせる。


時計を止めようと布団から手を出してみるが時計は無い。


おかしいと思い、布団から出てみると、足元で何かぐさっと刺さったようだ。


…時計だ。


昨日の夜まではちゃんとベットの横の机の上にあったが、床に落としたようだ。



「あっ…また今日もやっちまったわ…。はぁ…」



朝からかなりテンションが下がりながら、階段を降りる。



「おはよう、玲。朝食作ったから一緒に食べよう?」


「あぁ。ありがとう…って、えっ?」


「ん?どうしたの、玲?」



一人暮らしにはやたらと大きすぎるマンション。


親が、心配性なのでこの広さなのかと思いきや、まさか…と春宮は嫌な予感がした。



「なっ、なんで隼人がここにいるんだよ!!」


「あぁ、聞いてなかったの?おばさん、玲が一人暮らしなのやっぱり心配みたいだから合鍵渡されて、玲の世話も頼まれてるんだよ」



そう言いながら春宮の幼馴染みの桜木 隼人(さくらぎ はやと)はテーブルの上に朝食を用意する。



「朝から、オムライス…」


「あれ?オムライス、嫌いだった…?」


「まぁ、嫌いじゃないけど、朝食は和食派」



少しすねながらスプーンを手に取る。



「明日からは和食にするよ。あっ、玲。ケチャップかけ忘れてる。ほら」


「ん?」



笑顔で桜木はケチャップではなくタバスコを持っている。



「ちょっ、隼人、それはタバスコだろ!」


「違うよ。俺特製のケチャップだよ?」


「絶対かけるなよ!」



そういって、桜木からオムライスを遠ざける。



「分かったよ。玲がそこまで言うならやめるよ」


「あっ、あぁ」



思わぬ一言に驚いたが、春宮はオムライスを再び食べ始める。



「そういえば、隼人。今日は何しに来たんだ?今日、学校ないし、休日に家に来て朝食作ってはい終わり〜ってな分けないだろ?」



残り半分になったオムライスを食べながら春宮は桜木にきく。



「そうだった。玲、今日誕生日だろ?」


「えっ?」



慌ててカレンダーをみると5月3日、俺の誕生日だった。



「はい、プレゼント」



桜木が渡したのは小さな包みだった。



「なんだこれ?」



春宮は疑問を持ちながらも、包みを開けてみる。



「これって…!!」


「前に欲しいって言ってたイヤホン」


「ありがとう、めっちゃ嬉しい!!」


「あっ、そういえば玲の親父さんがこっち来るって」


「えっ、マジ?」


「うーん、何だったっけ?大事な話があるとか無いとか…?」


「どっちだよ、それ」


「まぁ、いいんじゃないか?」


「あっ、そうだ。親父が来る前にちょっと買い出しに行ってもいいか?冷蔵庫の中空っぽだから、親父が来てもなんにも作れねぇわ」


「んー、その心配は無用じゃないかな?多分、マンションには入らないと思う」


「でも…」


「まぁまぁ、せっかく誕生日なんだし、のんびりしたらいいじゃん」


「それもそうか」


「あっ、食器片付けるよ」



そういうと、桜木はなれた手つきで食器を片付ける。


ついでにお茶もいれる。



「玲、緑茶でいい?紅茶もあったけど…?」


「紅茶飲めないから、別に、緑茶でいいよ」


「だろうと思った」



何となく、二人の間に沈黙が流れる。


春宮が口を開こうとした瞬間、電話がなった。



「あっ、ごめん。俺のだ」



桜木はすぐに電話を手に取り、応答する。



「はい、桜木です。…はい。分かりました。大至急そちらへ向かいます。玲の方は…?…。分かりました。連れていきます。それでは失礼します」


「隼人、誰からの電話?」


「玲の親父さんからの電話。玲に迎えに来てほしいってさ」


「分かった。なんか必要なものってあるか?」


「特に要らないよ」


「じゃあ、出るか」



二人は、マンションを出て春宮の親父さんのところへ向かう。



「…。隼人、道どっち?」


「だろうと思ったよ。玲、こっちだよ」



歩いて10分、目的地まであと少しなのだが、何か騒がしい。



「隼人、なんか騒がしくないか?」


「そうか?そんなことより早く行かないと玲の親父さん、悲しむぞ?」


「そうだな」



すると、突然悪魔のようなやつが目の前に出てきた。



「なっ、なんだ!!」


「ヒッヒッヒッ、イイエサハッケーン」



そう言うと、悪魔のようなやつは玲に向けてナイフを出す。



「魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力魔力マリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョクマリョク」


「おい、近づくなよ、こっちに来るなよっ!!」



悪魔のようなやつが春宮の前でナイフを振り上げる。

春宮は、恐怖で立ち上がれない。体が動かない。



「イタダキマァ〜ス、ヒッヒッヒッ」



もう、終わりだと思った、その瞬間。



「玲に触るな」



桜木が剣を悪魔のようなやつに突き刺していた。



「悪魔よ、安らかに眠れ」


「イッ、イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤだイヤだイヤダイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!」



イヤだ、ど言ったすぐ後に悪魔のようなやつは緑色の血を流し、春宮達から離れる。



「やッと、コこまデコれた。ここデオワりたくナイ!!」


「なっ、アイツ!!」


「ジャまをすルナ、しュゴしゃ」



次の瞬間、桜木に向かってナイフが飛んでくる。


桜木はかわしていくが、一本、また一本と当たる。



「シゅゴシゃもタイしたこトネぇな。ヒッヒッヒッ」



桜木は疲弊していくが、ナイフの速度はどんどん早くなる。


そして、背中に刺さった。



「隼人!!」


「れ、い…。ここ、から、にげ、ろ…おまえの、、親父さんを…」


「いやだ!!隼人を置いていきたくない!!」


「おれは、だ、いじょ、うぶだか、ら…」


「そんな風に見えないっ!」


「いいから、いけよ。れい」



桜木はそれから反応しなくなった。


待っていたかのように、彼に大量のナイフが突き刺さる。



「ヒッヒッヒッ。いイナがめだ。さぁ、メいんでィっシュをたベヨウか」


「許さない」


「あぁ?キコえねェなァ?」


「お前を許さない!!」



春宮の周りから金色の光が溢れ出す。



「こっ、コノひカリはっ!!」


「我、…の光を継ぐもの。今ここに、裁きを与えん!!セイグリッド・レイン!!」



大きな光に包まれ、何が起こったのか誰にも分からなかった。


ただ、悪魔のようなやつが消えたのだけは確かだった。

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