~瑞輝・パーティ結成その4~
瑞輝達と静月達主人公組の食堂での緩い会話はまだ続きます。
それからしばらくの間、わたしと静月さんは雪画像及び雪動画を堪能していたのだが、裕司の
『お楽しみ中申し訳ないんだけど、あんまり長く楽しんでるとご飯冷めちゃうよ』
という言葉で、一旦落ち着いて食事に戻っていた。
そういえば、食事の途中でした。
弁当はともかく、カツ丼が冷めちゃう。
静月さんと火輪さんに至っては、うどんとラーメンだ。
長々と話していれば、完全に伸びる事必至だったので、裕司GJ。
雪の可愛さは色々ともう筆舌に尽くし難いのだが、それはいつだって出来ることだ。
目の前の食事には美味しく食べられる期間というのがある。
時間的優先度が違う。
既にアツアツではなくなったけど、若干温度が下がった分、口の中に掻き込むのには困らないというものだ。
うん、美味しい。
美味しい食事は人を幸せにしてくれるね。
「いやー、ごめんね2人とも。つい熱くなっちゃって……」
雪と奏のことになると、自制が効かないときあるからね。
一応、気をつけてはいるんだけど……
「いえいえ、私もついつい我を忘れてしまいましたから御愛顧ですよ」
「そうそう、ウチら猫舌だから丁度良かったしね」
わたしが謝ると、2人はそう言ってくれた。
お気遣い有難う御座います。
「火輪さんから聞いたけど、静月さんって可愛いもの好きなんだね」
「そうなんです。特に動物とか好きなんですけど家じゃ飼えないので……」
「ウチら下に小学生以下の弟妹が合わせて4人いるから、人獣共にお互い何があるか分からないし下手に飼えないのよね。まあ、そこまで裕福でもないってのもあるけど」
「そうなんだ。静月さん的には雪はお気に召したのかな?」
「はい!それはとても!あの重量感ある大きな体でいて、愛嬌を感じる顔、綺麗な白い毛並全て素晴らしかったです!是非とも実物を見て触ってみたいです!!」
「写真と動画だけで女子のハートを打ち抜くなんて流石、雪ね。やっぱり、雪の可愛さは無限大ね!」
上気した顔で熱く語る静月さんを見て、わたしはとても誇らしい気持ちです。
家族が褒められると自分のこと以上に嬉しく感じるから不思議。
「へぇ……静月が一発でそこまでご執心になるなんてね。ちょっと、ウチにも件の愛犬の画像とかって見せて貰っても構わない?」
「僕のスマホにも幾つか写真あるから、それで良ければどうぞ」
「有難う」
わたしの位置だと対角で受け渡しは危険だと判断したのだろう、裕司は自らのスマホを取り出して、それを隣に座る火輪さんに手渡す。
無理に渡そうとして、服が食器に引っ掛かって転倒とかさせたら惨事だのもね。
「大きいねぇ。それでいて写真からでも優しそうな雰囲気が伝わってくるよ」
「ほわぁぁぁ……さっきの瑞輝さんの写真からも被写体に対する愛情がひしひしと感じられましたけど、裕司さんの写真は被写体の自然な雰囲気を壊さない且つ写り良くなるように考えられている撮り方ですね」
いつの間にか静月さんは火輪さんの後ろに回り込んでおり、火輪さんの肩越しから裕司の雪画像を見ていた。
「わたしの持ってる画像の2割くらいは裕司が撮影したものなのよね」
「おかげで、カメラ撮影の技術は上がったよ。最近では写真が趣味になりつつあるしね」
わたしも努力はしているけど、撮影技術に関してわたしは裕司に及ばない。
その代わりじゃないけど、雪に対する愛情だけなら誰にも負けない自信はあるわよ!
「そうなんだ。良かったら他の写真も見ても構わない?」
「勿論」
火輪さんに聞かれ、裕司はいつも通りの笑顔で返す。
(火輪さんと裕司結構いい雰囲気ね)
初対面にしてはぎこちなさを感じない自然な空気だ。
お互い何か感じるものがあったのかもしれない。
わたしと静月さんが意気投合したように。
(今日も良い出会いに感謝ね)
高校生活3日目の昼休み。
食堂の中でわたしは1人そんな事を思った。
ほんわか系とサッパリ系の双子の天宮城姉妹。
家では基本的に仕事で家にいない両親の代わりに、2人が親代わりを務めています。
小学生以下の弟妹4人と中学生になる弟が1人いる。
2人並んで歩く姿は完全に奥様と旦那(笑)




